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衆議院議員選挙、嫌でも続く安倍政権

登録:2014-12-07 23:00 修正:2014-12-08 08:13
D-6…民心は
今月4日、日本東京の自民党党舎に掲げられた安倍晋三首相の顔を使った自民党選挙ポスターの前を、市民が通り過ぎている。 14日に行われる衆議院議員選挙(総選挙)で自民党の圧勝が予想されている。 東京/AFP連合ニュース

集団的自衛権や原発再稼働など安倍政権の2年間の政策には反対だが
支持率34%で民主党の3倍…自民党牙城は依然堅固
連立与党の過半数獲得が有力…「憲法改正に必要な議席確保」の予想も

 「関心がない。私の目にはみんな同じように見えるから」

 神奈川県川崎市に住む主婦フジモリ キクコ氏(仮名・38歳)に14日行われる衆議院選挙に対する意見を聞いたところ、帰ってきた答えは「関心がない」という一言だった。 少ししてから彼女は、現在の日本の政治状況に対する長い不満をならべ始めた。

 彼女は安倍政権がこの2年間に推進してきた集団的自衛権行使や原発再稼働政策などに反対するという明確な立場を持っている。 しかし、野党の中で支持できる政党が見つからないと話した。 彼女は「現在、安倍政権が推進している政策は支持しないし、自民党も好きではないが、維新の党(日本の第2野党)も生活の党(小沢一郎 元民主党幹事長が消費税の増税に反対して創党した党)も信じられない」と話した。 公務員の妻である彼女は、4月に断行された消費税増税(5%→8%)の余波について「ある程度の負担は感じるが、大きな打撃はない。 アベノミクスによって株価が大幅に上がったので、経済が少しは良くなったのではないか」と話した。

 14日に行われる日本の衆議院議員選挙を眺めるフジモリ氏の冷笑は、日本の有権者が持っている平均的な視線でもある。 安倍晋三政権は2012年12月執権以後の2年間、アベノミクスと呼ばれる経済政策、集団的自衛権などに代表される外交・安保政策、原発再稼働をはじめとするエネルギー政策などを推進してきた。 これに対する日本人の評価は高くない。朝日新聞が1日に報じた世論調査結果によれば、安倍政権の経済政策が「成功した」という回答は37%にとどまり、集団的自衛権に対しては「評価しない」(反対を意味する)という意見が50%、原発再稼働に対しても反対が56%にもなった。

 経済週刊誌『週刊東洋経済』の福田恵介副編集長は「アベノミクスによって株価は上がったが、賃金は上がらず、韓国や中国との関係も悪くなった。 経済と外交の混乱で安倍政権に対する信頼度が下がったことは明らかな事実」と語った。 彼の言うとおり、安倍政権執権2年間に日経平均株価は2012年12月の1万円水準から今年12月現在で1万7920円台に約80%も上がった。 しかし、株価の上昇で利益を得る人は一部の階層に限定されている。

 これに比べて、急激な円安によって物価が上がり、実質賃金は昨年7月から今年10月現在まで16か月連続で減っている。 そのうえ、昨年12月の安倍晋三首相の靖国神社参拝などで、韓国や中国など周辺国との関係が悪化し、閣議決定を通じて40年余り維持されてきた“集団的自衛権を行使しない”いう憲法解釈を変え、日本の立憲主義が危機に陥ったというきつい批判が相次いだ。 東京在住のハヤシバラ ケイゴ氏(39歳)は「政治の役割は再分配にあるので、株価を上げて投資家を豊かにさせることではない。今回の選挙を通じて集団的自衛権行使、特別秘密保護法制定など、この間の安倍政権の政治手法に対する審判がなされなければならない」と話した。

 しかし、自民党の牙城は依然として堅固だ。朝日新聞の調査によれば、自民党の支持率は34%で、第一野党の民主党(13%)より3倍近く高いことが明らかになった。安倍政権の具体的な政策には反対しつつも、支持率は高いという奇形的な現象が続いているわけだ。

 最大の原因は、日本の野党が信頼するに足る代案勢力になれずにいるためだ。 特に民主党は、今回の選挙で衆議院の過半数(238人)の候補を立てられず198人の立候補に終わった。 今回の選挙が政権を選択する選挙ではなく、安倍政権に対する中間評価程度にまで意味が縮小されてしまったわけだ。 そのためNHK放送が2日に行った世論調査結果によれば、選挙が2週間先に迫った状況で「今回の選挙に大きな関心がある」と答えた人は全体の23%にとどまった。 これに対し、民主党が歴史的な政権交替を成し遂げた2009年8月の選挙では、この比率が50%、自民党の劇的な復帰をもたらした2012年11月の選挙では42%だった。 麻生太郎副総理の状況分析どおり、現在「どの党にも風が吹いていない」状況が続いているわけだ。

 しかし安倍政権の今後の政局運営方向が、今回の選挙によって決定されるという点では、選挙の意味は決して小さくない。日本経済新聞は3日付で今回の選挙結果とそれにともなう影響を三つのシナリオに分けて分析した。 第一に、自民党・公明党の連立与党が、現状(326議席)と同じく衆議院の3分の2以上(317議席)を確保する場合だ。 この場合、安倍首相は集団的自衛権を巡る安保関連法制改正、法人税減税などの措置を自身が願っているとおりに強力に推進できることになる。 慰安婦問題など韓日間の歴史懸案に対しても、今と同じく強硬な立場を維持するものと見られる。 読売新聞はさらに一歩踏み出し、「3分の2以上の議席を確保すれば、憲法改正の実現も視野に入れられるようになる」と指摘した。

 第二は、連立与党が絶対安定多数の議席(266議席)を確保する場合だ。 絶対安定多数議席とは、衆議院の17のすべての常任委員会で、連立与党が委員長および過半数を獲得できる議席数を意味する。 現在最も可能性が高いシナリオであり、茂木敏充選挙対策委員長など自民党が公式に掲げている目標(270議席)でもある。 この場合、関心は連立与党が270議席からさらに何議席を上積みできるかに集中する。

 第三に、連立与党が80議席近く議席を失い、かろうじて過半数(238議席)を維持する場合だ。 この場合、選挙直後から自民党内で本格的な”安倍首相下ろし”が始まりうる。 安倍首相が当面政権を維持することはありうるが、来年秋に行われる自民党総裁選挙で再任できないこともありうる。

 このような選挙結果により最も影響を受けると見られる政策は、日本人の過半数以上が反対している集団的自衛権行使を巡る安保政策だ。 自民党は7月に集団的自衛権を行使するよう憲法解釈を変更した後、自衛隊法、周辺事態法、武力攻撃事態対処法など、具体的な安保関連法の改正を準備している。 自民党は当初この法律を年内に改正しようとしたが、来年4月に行われる統一地方選挙に対する影響を最小化するため、議論をその後まで封印した状態だ。 このような状況で連立与党の議席が大きく減るならば、安倍首相が主導する法律改正作業は難航を繰り返すことになる。 しかし、韓日間の核心懸案である慰安婦など歴史問題に対しては、選挙結果と特別な関係なく日本が特別な誠意を見せはしない可能性が高い。

 東京在住の会社員 オクムラ ユリカ氏(38歳)は「今回の選挙で再び自民党が勝てば、安倍首相は今まで推進してきた政策をさらに積極的に推進するだろう。 集団的自衛権に対しては明確に反対しているので、必ず選挙に参加する」と話した。 難しい状況だが、変化の兆候がまったくないわけではない。

東京/キル・ユンヒョン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/667930.html 韓国語原文入力:2014/12/07 20:42
訳J.S(3239字)

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