北朝鮮の人権状況を国際刑事裁判所(ICC)で取り扱うよう促す内容の北朝鮮人権決議案が18日(現地時間)、国連総会の第3委員会で圧倒的な差をもって採択された。
第3委員会は、ヨーロッパ連合(EU)と日本が代表して提案したこの決議案を、賛成111票、反対18票、棄権55票で採択した。第3委員会は国連総会の加盟国がすべて参加し、人権・社会問題を扱う役割を持っている。ここで採択された案は来月開かれる国連総会でほとんどそのまま採択される可能性が非常に高い。
今回採択された決議案は、初めて北朝鮮の人権状況を国際刑事裁判所に持ち込み、北朝鮮の人権侵害に最も責任がある人々を対象に選別的制裁措置をとるよう国連安全保障理事会(安保理)に勧告する内容である。
この決議案が来月の国連総会で採択されたとしても、法律的な拘束力はない。安保理がこの件を扱うかどうかは安保理の理事国に懸かっている。安保理は常任理事国である5か国のうち1か国でも反対すれば案件として採択することはできない。安保理の案件として採択される可能性は、現在中国とロシアがこれに反対しているため今のところ期待できない。しかし、この決議案が大差で採択されたため、国際社会での北朝鮮のイメージは相当な打撃を受けることになった。
この日の会議は序盤からキューバが決議案の修正を提案したことにより緊張が走った。キューバ代表は「特定国家の人権問題を国際刑事裁判所に付託させるという条項は、開発途上国に対する攻撃であり、国連の仕組みを政治的に利用するものである」と主張し、この条項の削除を主張した。北朝鮮との人権についての対話や、国連人権特別報告官が北朝鮮を訪問することを勧告する内容も追加された。中国とロシア代表も国連が加盟国の内部事情に介入することは好ましくないとの理由でキューバの修正案に賛成した。しかし、キューバの修正案は賛成40票、反対77票、棄権50票で否決された。
北朝鮮代表はキューバの修正案が否決された後、原案の票決に先立ち「ヨーロッパ連合と日本が提案した決議案が根拠としている国連北朝鮮人権調査委員会の報告書はねつ造された証言を集めたものに過ぎない」とし「決議案は米国の対北朝鮮政策によるもので、今後予期しがたい深刻な結果を招来するだろう」と発言した。