北情報局の核心要人ソ・デハ“電撃”登場
「ストックホルム合意を履行する意志」歓迎
日本は拉致被害者問題のみに限定
北は国交正常化圧迫カードを活用
神経戦伯仲…対話継続可否に関心集中
「ソ・デハといいます」
日本人拉致被害者問題などを調査するために、今年7月にスタートした北朝鮮特別調査委員会のソ・デハ委員長(国家安全保衛部副部長)は、背が低く眼鏡をかけた屈強な顔つきの人物だった、彼は28日午前9時半、軍服を着て平壌市内中心部にある国家安全保衛部の建物の前で日本政府代表団の伊原純一外務省アジアオセアニア局長を出迎えた。 韓国など世界の情報当局に一度も公開されたことがないソ・デハという人物が多くの日本メディアのカメラの前に姿を現わした瞬間だった。
日本は拉致被害者問題に関連して北朝鮮の“一歩譲歩”を勝ち取れるだろうか。 28日、日本政府代表団が10年ぶりに平壌を訪問し、拉致被害者問題解決のための協議を始め、今回の会談結果が朝日が今後対話を継続するか否かの決定的分岐点になるという展望が出ている。
ひとまず初日の交渉の雰囲気は肯定的だったと把握されている。 ソ委員長が直接協議に加わるかが核心の関心事であった状況で、彼が日本メディアの前に電撃的に登場する破格の演出を見せたためだ。 ソ委員長はこの日の全ての発言で「伊原局長と皆さんの訪問を歓迎する。皆さんの訪問と関連して、日本で種々交錯した主張があったことと理解している。 そのような中で皆さんが訪問したことは朝日平壌宣言により朝日政府間のストックホルム合意を履行しようとする日本政府の意思を反映した良い行動だと考える」と話した。 今回の交渉が日本が望む拉致被害者問題の解決だけでなく2002年9月の北朝鮮と日本の平壌宣言に明示された朝日国交正常化会談へ向かう飛び石になることを願うという北朝鮮の期待と認識を表わしたわけだ。NHK放送は「この日、北朝鮮ではソ委員長と拉致被害者調査分科会責任者カン・ソンナムら8人が参加した」と伝えた。
伊原局長は「拉致被害者などすべての日本人に対する調査のための特別調査委員会が7月に調査を始めて4か月が過ぎた。 日本政府は拉致問題が最も重要と判断する」とだけ話した。 今回の対話の範囲を拉致被害者問題に限定しようとする日本政府の意志を表わした応酬であるわけだ。
日本のマスコミは、政府代表団が今回北朝鮮からどの程度の譲歩を勝ち取れるかに注目している。 日本政府は北朝鮮が拉致被害者問題に対する調査を急いで終わらせることを願っているが、北朝鮮側は日本人遺骨・配偶者など比較的容易で政治的負担が少ない調査結果を先に公開し、拉致被害者に対する調査結果は日本を国交正常化会談まで引き込むための最後の圧迫カードとして活用しようとする態度を見せている。
菅義偉官房長官が27日「北朝鮮に、調査を迅速に進め誠実な回答を出すよう強力に要求する」と明らかにしたことに見られるように、日本政府は今回の代表団派遣に相当な政治的な負担を感じている。 「北朝鮮のペースに巻き込まれかねない」として、代表団を送らないことを要求した拉致被害者家族会などの引き止めを押し切って、安倍首相が22日に北朝鮮との対話のひもを継続するという次元で派遣を決断したためだ。
過去の北朝鮮と日本の交渉の歴史を見れば、日本が北朝鮮に政府代表団を派遣して望ましい結果を得た例は殆どない。最も代表的な例が、2004年11月の藪中三十二アジアオセアニア局長の訪朝だ。 当時、日本は北朝鮮が設置した調査委員会との50回余りの面談、16人の証人との対話、現地視察などを行ったが、特別な成果は出せなかった。 また、当時北朝鮮が伝達した横田めぐみ氏の遺骨に対して日本政府がDNA鑑定を行った結果「他人のDNAが検出された」という発表が出て、北朝鮮に対する日本の世論が決定的に悪化した。
パク・チョンジン津田塾大学教授は「今回の代表団の訪北は、北朝鮮と日本の交渉を継続するという次元で日本政府がそれなりの決断をした」とし「北朝鮮が拉致問題と日本人配偶者問題などを同時に調査するという程度の返事を出してこそ、今後の対話が続きうる」と話した。日本代表団は29日まで会談を行う。