UN・IMF・IAEAなど国際機構を網羅
記者・学者など民間人に対しても監視許容
裁判所、監視範囲制限の役割果たせず
全世界的プライバシー侵害の憂慮
米国の情報機関である国家安保局(NSA)は、米国の特別裁判所から韓国を含む193ヶ国の政府機関に対する信号情報収集(盗聴)権限を与えられていることが明らかになった。 また、外国の政府機関だけでなく敏感な外国情報を知っていると予想される学者や記者なども盗聴対象に含まれると伝えられた。
<ワシントン ポスト>は1日、元国家安保局職員エドワード・スノーデンが提供した機密資料にこのような内容が含まれているとし、「国家安保局の盗聴対象から除外された国家は全世界で英国・カナダ・オーストラリア・ニュージーランドの4か国のみだった」と報道した。
同新聞が公開した資料によれば、国家安保局は外国情報活動監視裁判所(Foreign Intelligence Surveillance Court:FISC)から監視対象国家リストの承認を毎年受け、ここには国連(UN)と世界銀行、国際通貨基金(IMF),国際原子力機構(IAEA)等の国際機構も含まれていた。 盗聴は米国の国家安保または外交関係と関連して必要と判断される場合に実施され、盗聴方式は米国の情報技術企業らが外国に連結した通信インフラを通じて進行された。 盗聴対象は米国外にいる非アメリカ人に制限されていた。
同新聞は「国家安保局資料には情報収集対象となる外国人は、関連外国情報を持っていたり受け取ることが予想される人、または関連情報に対してコミュニケーションする可能性がある人々だと指摘されている」と伝えた。 同新聞は「これは学者や記者、人権研究者に対する監視を許容することを意味する」と分析した。 例えば、国際貿易交渉を控えてドイツ政府の態度に関する情報を持っているスイスの学者も、米国の情報機関が必要と判断すれば盗聴できるということだ。 また、米国の大学教授がこのスイスの学者にEメールを送れば、この米国教授のEメールも情報収集対象になると新聞は伝えた。
新聞はこういう点を挙げて、国家安保局が予想よりはるかに広範囲な権限を保有していて、それだけにプライバシー侵害の可能性も大きいと分析した。 また‘外国情報監視法’(FISA)は対テロ目的で作られたが、実際にはその包括範囲がはるかに拡大したと指摘した。
これに先立って、米国の16の情報機関を総括する国家情報局(DNI)は、先月27日に公開した透明性報告書で昨年国家安保局が約9万人の外国人に対して盗聴したと明らかにした。
人権団体は、国家安保局が外国民間人のEメールや電話まで盗聴している可能性に対して憂慮を表明している。 スタンダード法律センターの市民自由局長であるジェニファー クレニクは「米国の裁判所が米国政府に、普通の外国人まで盗聴できる権限を与えている」と批判した。
かつて国家情報局でプライバシー問題を担当し、現在はブラウン大の訪問教授であるティモシー エドガーは「情報収集の決定権限を行政部署に全面的に任せていて、プライバシー侵害の憂慮が生じている」として「情報収集の限界を決める裁判所の意味ある役割抜きに外国に対する広範囲な情報収集がなされてはならない」と指摘した。
ワシントン/パク・ヒョン特派員 hyun21@hani.co.kr