"これを見てください。 ここに発電量が表示されているでしょう?" 日本の通信大企業ソフトバンク広報室職員 湯浅謙一氏の案内を受けて、この会社の子会社であるSBエナジーのホームページ (sbenergy.co.jp)に接続してみた。 右側下段の‘発電状況’と書かれた項目をクリックすると、この会社が日本全域で運営している10ヶの太陽光発電所(総発電容量 65.2MW)が生産する電力量がリアルタイムで表示されている。11日午後2時現在、SBエナジーの総発電量は2970万6760Kwh. この内、最も多くの電力を生産している所は最も規模が大きい鳥取県米子発電所だ。
SBエナジーは2011年の3・11福島第1原発事故以後、脱原発に向け信念を燃やしている孫正義ソフトバンク社長が作った再生可能エネルギー発電会社だ。 2011年10月の創立以後、この会社は今までに日本各地に太陽光発電所10ヶを作り、北海道・島根県・静岡県などに8ヶの太陽光・風力発電所の増設を計画している。
湯浅氏は「ひとまず発電容量を100MW級原子炉3基に該当する291.7MWまで増やす計画」と話した。 発電所の管理に多額の費用がかかるのではないかとの質問には「通信会社らしく現場発電所には勤務者は置かず、通信を通じて発電量を中央から統制・管理している」と答えた。
SBエナジーの真の挑戦はこれからだ。 2016年からSBエナジーのような特定規模電気事業者にも小売販売が可能にする電気事業法の改正を目前に置いているためだ。この制度が施行されれば、全国を10ヶ所に分けて各地域の電力会社一社だけに独占権を与えてきた現在の地域独占体制がこわれる。 日本政府は2018年頃から電気料金を自由化する電力システムの改革作業も準備している。 日本の電力市場が戦後60年余ぶりに揺れ動くものと予想される。
電力市場が自由化されれば、SBエナジーは一段階大きな跳躍を期待できる。 現在は生産電力の全てを政府が定めた再生可能エネルギー固定価格買収制度(FIT)により電力会社に売っている。 太陽光を基準とした固定価格は、この制度が初めて導入された2012年7月には1kW当たり42円だったが、昨年37.8円に引き下げられたのに続き、今年は再度の引き下げが予想されている。 FITによりSBエナジーの年間売上も生産電力量に固定価格をかけた金額で決まっている。 現状ではますます収益が減る他はなく、多様な事業構想をするのは難しい構造だ。
しかし小売市場が開かれた瞬間に事情が変わる。<毎日新聞>等の日本言論は、法改正で開放される発電市場の総規模が7.5兆円程度と予想されると明らかにした。 現在ソフトバンクが参加している通信市場(17兆円)の半分程度に該当する規模だ。
市場が自由化された後、SBエナジーは通信分野で積み上げた成果とノウハウを活用して多様な事業を進めることができる。 すでに5000万人の顧客を確保している親会社のソフトバンクの通信商品と電力商品を混合して価格割引ができ、少し高くとも再生可能エネルギーだけを使いたい人々に特化した電力を販売することもできる。 SBエナジーはこれに備えて2012年8月SBパワーという名前の電力販売会社を作った。 SBパワーは2016年以後、SBエナジーなどが生産した再生可能エネルギーで作った電力を各家庭に供給する計画だ。 日本では脱原発を望む人々が半数を越えており、再生可能エネルギーを供給するというSBエナジーの潜在力は無限と評価されている。
湯浅氏は 「2016年に小売販売が始まった後、どんなサービスを提供するかを会社でも研究中だ。 今は主に太陽光と風力発電だけに特化しているが、地熱やバイオマスなど多様な再生エネルギー発電を導入する方案も研究中」と明らかにした。 脱原発に向けた孫正義の夢が少しずつ事業性を確保しつつある様相だ。
東京/キル・ユンヒョン特派員 charisma@hani.co.kr