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[福島 終わらない災難] ④ 脱原子力発電所を行く

原文入力:2012/03/11 22:03(1839字)

日本 原子力発電所 54基中 現在 2基のみ稼動…増設計画 全面再検討

日本 定期点検に入った原発 再稼働できず
来月末には初めて全てが停止
太陽光・風力などに注目
費用負担の有無に成否がかかる

"東海第2原子力発電所は立地も適切でなく、設備も古い。 廃炉すべきではないか。"

 村上達也 東海村村長が昨年10月11日、細野豪志 原発事故担当相(環境相)に会ってした話は福島原発事故後の日本社会の雰囲気を端的に見せる。 日本の最初の原子力発電所である東海1号機(1998年廃炉着手)が立てられ、使用済核燃料再処理施設をはじめとして核施設が密集した原子力発電所クラスターの地方自治団体長が‘脱原発’を主張すると日本人たちさえびっくりした。

 歳入の3分の1が核関連施設から出る自治団体の長がこのような選択をしたことは事故危険を直視したためだ。 3・11大地震当時、東海第2原子力発電所は外部電力が全て切れ、2台あった非常用ディーゼル発電機も1台が津波にともなう浸水で故障した。大事故の一歩直前だった。

 福島事故以後、13ヶ月運転後に受けなければならない定期点検(3ヶ月)に入った日本の原発はまだ一基も再稼動できずにいる。 地域住民たちの強い反対のためだ。 54基の商業用原子炉の中で11日現在運転中である原発はただの2基だけだ。 来る26日に柏崎-刈羽原子力発電所6号機が止まり、北海道の泊3号機が4月末に止まれば史上初めて日本のすべての原子力発電所が止まることになる。

 日本政府はいわゆる‘ストレス テスト’を経て安全が確認された原子力発電所から再稼動を始める方針だ。 しかし原子力発電所反対派は‘脱原子力発電所’計画を確実にした後、安全性が確認された原子力発電所に対してのみ再稼働を認めるという意を明確にしている。 郡山市のノグチ サユリ(主婦)は 「原子力発電所がなければエネルギー需給が大変なことになるかのように電力会社が話してきたが、嘘だということがあらわれている」として「再稼働は急でない」と話した。 各種世論調査では‘原子力発電所依存度を段階的に減らし、原子力発電所をなくさなければならない’という意見が70~80%に達している。

 日本政府は既存の原子力発電所は40年稼動すれば原則的に延長運転を許容しないと明らかにした。 日本の原子力発電所は45基が20世紀に建てられたので、この原則を守れば2039年には5基だけが残ることになる。 2008年<エネルギー基本計画>で「2030年まで原子力発電所14基を増設して電力生産における原発依存度を30%から50%に高める」と明らかにしたことも、福島事故後に白紙再検討することにした。

 日本人たちは再生可能エネルギーに素早く視線を転じている。孫正義 ソフトバンク社長は35の広域自治団体と手を握り、太陽光・風力発電開発に乗り出した。 ソフトバンクの子会社であるSBエネルギーは4月中に4基の大規模太陽光発電所建設に着手する。 孫社長は「原子力発電所はますます生産単価が高くなり、太陽光は安くなっている」とし、脱原子力発電所の道を直接見せると意気込んでいる。 日本は電力会社をして生産された再生エネルギーをあらかじめ定めた価格で全て買い取らせる法を昨年通過させた。

 地震大国 日本が危険な原発から抜け出すことができるかは、それによる追加費用に電力消費者たちが喜んで耐えるかに掛かっていているという分析が多い。 経済産業省傘下の日本エネルギー経済研究所は54基の原子力発電所を全て停止し火力発電に変える場合、発電燃料費が3兆4730億円増え、家庭の一ヶ月平均電気料金が5763円から6812円に1049円(18.2%)増えると見通した。 喜んでその金で‘安心’を買うという人が今は多いが、残酷な事故を人々が忘却し始めれば脱原子力発電所の道は揺れかねない。 1986年チェルノブイリ原発事故以後、脱原子力発電所へ向かったイタリア、スウェーデンのエネルギー政策が動揺したのも費用負担のためだった。 <終わり>

東京/チョン・ナムグ特派員 jeje@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/523012.html 訳J.S