4月に最終報告書が完成される日本の集団的自衛権行使条件の下絵が公開された。この案は日本が願いさえすれば、世界のほとんどすべての紛争に介入できるよう道を開いているため、日本国内はもちろん韓国・中国など周辺国の反発が予想される。
北岡伸一 ‘安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会’(以下 懇談会)座長代理は21日、日本記者クラブで記者会見を行い、現在懇談会で議論中の集団的自衛権の行使要件を5項目に整理して明らかにした。 これを見れば△日本と密接な関係にある国家が攻撃を受けた時△(事態を)放置すれば日本の安全に大きな影響が予想される場合△攻撃を受けた国家の要請がある時 に △総理が総合的判断を下した後に国会の許可を受けて集団的自衛権を行使し、その過程で△攻撃を受けた国でない他の国の領土や領海を通過することになる場合には該当国の許可を受けなければならないという内容が盛り込まれた。 懇談会はこのような内容を基に4月頃に最終報告書を作成し、安倍晋三 日本総理に提出することになる。 安倍総理はこれを検討して今回の定期国会会期(6月末)までに集団的自衛権の行使を否認してきた既存の憲法解釈を変える計画だ。
今回の案が最終案として確定すれば、日本国内はもちろん東アジア全体に少なからぬ波紋を呼び起こす展望だ。 集団的自衛権の行使基準に‘放置すれば日本の安全に大きな影響が予想される場合’等、恣意的に解釈すれば自衛隊の活動範囲を世界へ拡張できる条項が含まれたためだ。 これに比べて、2008年6月に懇談会が出した1次報告書では△公海上で米国艦艇が攻撃を受けた時△米国へ向かう弾道ミサイルを迎撃する時など4種類の具体的な事例を提示するに留まっていた。 抽象的基準ではなく、明確な事例を数え上げたために、これら条項を恣意的に解釈して自衛隊の活動範囲を広げる余地が少なかったと言える。
このような憂慮を証明するように、北岡座長代理はこの日‘日本の安全に影響が予想される場合’の実例として "日本の原油(輸送路)が途絶える場合" を挙げた。 日本が原油輸送路の保護を理由に、中東ペルシア湾からインド洋-マラッカ海峡-南中国海-東中国海に達する広い領域での武力紛争に介入できるようになるわけだ。 この間、日本の言論が政府関係者たちの話を引用して集団的自衛権の行使範囲に原油輸送路の保護などを含ませるという報道を続けてきた点に照らして、この条項が最終案に含まれる可能性が高い。
韓国としては集団的自衛権を行使する場合、自衛隊が通過する該当国の許可を受けなければならないという条項が目に触れる。 北岡座長代理はこれと関連して「韓半島沿岸で米国艦艇が攻撃を受け(自衛隊が)助けに行く時、韓国の領海を通過するかも知れない。 その時は同意を得る側にしたい」と話した。 これは、北韓‘有事事態’(急変事態)が発生し、自衛隊が韓国の領海や領土を通過し米軍を支援する時には、韓国政府の同意を得なければならないという点を明確にしたわけだ。 しかし、これを逆から見れば、自衛隊が北韓領海や領土を通じて韓半島有事事態に直接介入すれば、韓国政府の同意を得なくても良いという意味に解釈できて、相当な論難が予想される。韓国政府の同意なき日本の韓半島事態介入は、韓国人の民族感情に傷を与えるだけでなく、東アジアの平和と安定をむしろ不安定にさせかねず、韓国政府としては受け入れられない状況だ。
一方日本では、安倍総理が集団的自衛権のための憲法解釈変更を、国会の審議も受けずに、政府の閣議決定だけで終えるという態度なので、これを憂慮する声があふれている。 1993年河野談話の主人公である河野洋平前官房長官は<東京新聞>とのインタビューで「全員が賛成派である専門家懇談会の討議だけで、政府の憲法解釈を変えることが正しいのか。 相当な不安感を感じている」と話した。 東京/キル・ユンヒョン特派員 charisma@hani.co.kr