‘安倍式放送掌握’の結果だろうか。日本の公営放送である<NHK>の新任会長が、就任記者会見で従軍慰安婦問題について「戦争中にはどこの国にもあった」として、日本軍の慰安婦強制動員を正当化し論難をかもしている。 最近火が付いたNHKを巡る公正性論議に油を注ぐ発言で、波紋は簡単には静まりそうにない。
籾井勝人(70)NHK会長は25日、東京で就任記者会見を行い「従軍慰安婦は戦争中にはどこの国にもあったと考える。 ドイツやフランスにはなかったと言えるのか。 慰安婦自体は今の道徳では悪いわけだが、その時期には現実に存在した」と話した。 続けて韓国に対しては「会長の職はさておき、韓国は日本だけが強制連行をしたみたいなことを言うからややこしい。お金をよこせ、補償しろと言っているわけだが、(1965年)日韓条約ですべて解決していることをなぜ蒸し返すのか。おかしい。」として強く非難した。
合わせて独島(ドクト)などに対する日本の領有権主張について 「(海外版放送を通じて)明確に日本の立場を主張することが当然だ。 政府が右というものを左と言ってはならない」と主張した。 反対意見がより多い特定秘密保護法についても 「法が必要だというのが政府の説明であるから、ひとまず状況を見なければならない」と政権に偏向的な返事を続けた。
安倍晋三総理政権が‘放送掌握’の試みを着々と進めながら、進歩陣営の憂慮が高まってきた。 安倍政権は昨年11月NHK会長任免権を持っている経営委員会に自身と‘コード’が合う人4人を候補に上げ、彼らは先月20日に予想通り籾井 前日本ユニシス会長をNHK会長に任命した。
NHKは前任の松本正之会長時期に社会格差、日本の戦争責任、原子力発電所の危険性などを告発するドキュメンタリー作品を放送し社会全体に大きな反響を起こした経緯がある。 しかし24日に放送されたドキュメンタリーでは、小野寺五典防衛相を登場させ、名護市長が反対しても普天間米軍基地の辺野古移転を継続推進するという政府の見解を長い時間をかけて紹介した。
放送の公正性を傷つける新任会長の発言に対して、NHKのあるディレクターは<朝日新聞>に 「もうどんな放送をしても視聴者たちが‘政権側’という色眼鏡で見ることになった」と憂慮した。 また、安倍内閣のある閣僚は会長辞任を要求したし、石破茂 自民党幹事長も「公共放送の立場で何が国益になるかを判断しなければならない」として自制を要求した。
放送掌握と関連して安倍総理は2001年内閣官房副長官時期‘戦時性暴行’問題を扱ったNHKドキュメンタリーに対して圧力を加えたという事実が当時番組を作った永田浩三 武蔵大学教授らの証言で確認された経緯がある。籾井会長の任期は3年だ。
東京/キル・ユンヒョン特派員 charisma@hani.co.kr