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「高卒技術者はポルシェに乗り、大卒はひしゃげた車に乗る」

登録:2013-04-18 21:55 修正:2013-04-19 07:10
「独、高校で企業-学校並行インターン制…中小企業熟練労働の供給源」
“隠れたチャンピオン”の専門家ウェーバー教授のインタビュー
“隠れたチャンピオン”分野の専門家に挙げられるウィーンフリット ウェーバー(56)ドイツ マンハイム応用科学大学教授が<ハンギョレ>記者と会ってドイツ経済の基盤であるシステムなどについて説明している。

毎年大学進学者の2倍に当たる80万人
職業訓練3年の後、正式職員となり
その80%以上が中小企業で働く
産・学連携職業教育 米・中で「導入推進」

CEOのように全体作業過程理解
新製品開発など積極的に取り組む

「ドイツの産・学連係職業教育システムは全世界で唯一と言われるほど独特だ。 これがなかったとすればドイツの“隠れたチャンピオン”の誕生は不可能だったろう。」

 隠れたチャンピオンの専門家であるドイツ マンハイム応用科学大学のウィーンフリット ウェーバー(56)教授は3月初めドイツ南西部のシュツットガルト近隣の自宅で<ハンギョレ>記者と会い、隠れたチャンピオン(強い小企業)の第一の成功秘訣としてドイツ特有の職業教育システムを挙げた。 彼は米国、スペインなど先進国はもちろん中国でもドイツ式職業教育システムの導入を推進中だと話した。

-ドイツで数多くの隠れたチャンピオンが輩出され得た秘訣は?

 「企業が発展するには社会的システムと資本、文化などの後押しが必要だが、職業教育システムと職場内の生涯学習体制が隠れたチャンピオンを作るのに決定的役割を果たした。 もしこれがなかったとすれば中小企業は熟練労働者を確保できなかっただろう。 世界の大学の上位圏にドイツの大学が殆ど入ってないにもかかわらずドイツ経済が強い理由が、ほかでもないここにある。 職業教育システムのおかげで職員は会社に入ってくる前にすでに自分の仕事を知っている。 また、隙間市場(ニッチマーケット)に集中し世界化に努めたのも、隠れたチャンピオンの重要な成功の秘訣だ。」

-ドイツの職業教育システムはどのように運営されているか?

 「ドイツ経済の心臓である南西部地域の若者たちの場合、70~75%が10年教育を終えた後(韓国の高校2年から)企業と学校を併行するインターン(職業訓練生)生活を始める。彼らは一週のうち二日は学校で勉強し、三日は企業で技術を習う。 ドイツ全体でこのような職業訓練生が毎年70万~80万人ずつ新しく流入するが、これらの80%以上は中小企業で仕事をする。 これに反し大学進学者は40万人程度だ。 職業訓練生は3年間のインターン生活を終えれば正式職員に採用される。 以後、彼らは技師、マイスター( 技匠)に段階的に上がっていく。 ドイツは職場内生涯学習体制が発達していて、職場に通いながらも大学の勉強を併行することができる。 また、ドイツの大学は相当数が純粋学問でない企業と関連した研究を遂行する。 特に1980年代中盤以後に設立された応用科学大学の場合、学生の半分程は企業と関連したプロジェクトを遂行して、事実上仕事と勉強を併行する。 また、教授になるには少なくとも5年以上の現業経歴が必要だ。 企業は大学と多様な協力プロジェクトを進め、大きな費用をかけずとも技術および商品開発、工程革新、研究者育成を行なうことができる。」

ドイツの教育制度

-韓国とドイツの現実は大きな違いがあるようだ。 韓国は青年失業者数が30万人なのに、中小企業の不足人材が26万人に達するという矛盾した状況だ。

 「英国の有力週刊誌<エコノミスト>は2011年末、一度の試験で若者たちの人生が仕分けされる“一発社会”である韓国と、若者たちに色々な選択と進路が開かれているドイツとを比較する記事(Korea is one-shot society, but Germany is 5~10 shot society)を扱った。 韓国の若者は最近では大学を終えても自分の望む職場を得にくいという話を聞いた。 それなら苦労して大学に入るのが何の意味があるか? ドイツの若者は職業教育システムによって安定した働き口と報酬を保証されている。」

-韓国では大卒者に比べて高卒者の待遇がとても低い。

 「2年半前にドイツの有力週刊誌<ディチャイトゥ>が10学年が終わった後インターンを経て技術者になった若者と、12学年まで終えて大学に進学した若者とを比較した特集記事「アビツアー(Avi・大学入学資格試験) 2010 vs ミトゥルロレライペ(Mittlere reife・中級段階10学年履修証) 2008」を載せた。 2年もさらに勉強して大学に進学した若者は何年か後に古いひしゃげた車に乗って通うが、技術者の道に進んだ若者は高価なポルシェ車を乗り回すという内容だ。 ドイツでは技術者の道を選択した若者たちの方が大学を卒業した若者たちより、むしろ社会的により良い待遇を受けている。」

-ドイツの職業教育システムに関心を持つ国々があるか?

 「中国の地域商工会議所がドイツと協力してドイツ式職業教育システムを導入している。 中国の若者たちは教育過程の3分の1は学校で学び、3分の2は企業で実習をする。また、3年の過程を終えればドイツのように技術者資格証を受ける。 財政危機で困難な状況にあるスペインもドイツ モデルの輸入を推進している。 米国も数年前から導入を検討している。 韓国もドイツの経験を参考にして職業教育システムを導入することを薦める。」

-ドイツ経済は隠れたチャンピオンを含む強い中小企業が強みだ。 大企業中心の経済体制になじんでいる韓国としては、率直に言って不案内な面がある。

 「小さいこと自体が強みだ。 すなわち中小企業ということが成功の秘訣なのだ。 米国の世界的繊維会社ゴアテックスの創業者であるビル・ゴアは、事業部署が大きくなって一定規模を越えれば再度小さく分けることを鉄則とした。 企業家精神がまともに発揮されるには組織規模が最大150人を越えてはいけないと考えた。 それ以上になれば組織が競争力を喪失するということだ。 実際ドイツの場合、隠れたチャンピオンの生産性が大企業より高い。 数千人、数万人が働く大企業は職員同士互いに知らず、上から指示されることだけ履行する。 反面、中小企業は職員の家族までも互いによく知っており、強い連帯感と一体感を持っている。 職員1人1人が経営者と同じように会社の生産性向上、品質改善、新製品開発などを考える。 これがすなわち競争力だ。 企業文化の側面でも、中小企業の方が大企業より成果追求に積極的だ。 職員の動機付与に有利だ。 作業を小さい単位に分離させる大企業に比べてはるかに柔軟に仕事が出来る。 職員は自分の担当する作業だけ理解しているのではなく、全体の作業過程を理解している。 隠れたチャンピオンの従業員は全部知識労働者だ。 問題解決能力を保有している。」

-韓国では昨年総選挙と大統領選挙で経済民主化が時代精神として浮上し、企業の社会的責任に対する要求がぐっと高まった。

 「隠れたチャンピオンは地域に基盤を置いており、地域社会に対する寄与が大変重要だ。 1886年に設立された自動車部品業者ボシュは社会的責任経営の良い事例だ。 ボシュの創業者ロベルト・ボシュは常日頃「私がお金がたくさんあって賃金を多く払うのではなく、私が賃金を多く払うのでお金をたくさん儲けるのだ」とよく言っていた。 彼は会社の職員と地域住民に住宅を建ててやり、老人たちの病気を治療してやった。」

シュツットガルト(ドイツ)/クァク・ジョンス先任記者 jskwak@hani.co.kr

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全世界に2734、ドイツだけで1307

“隠れたチャンピオン”は

 “隠れたチャンピオン”という用語はドイツの経営学者ヘルマン・ジモンが1992年<ハーバード ビジネス レビュー>に発表した論文で初めてリリースした。 1996年には『隠れたチャンピオン』という本を米国で出して大きな反響を起こした。

 彼は2012年度改訂版において、隠れたチャンピオンを「売り上げ規模が50億ユーロ(韓貨7兆2500億ウォン)を越えず、一般人はよく知らないけれども、世界市場占有率1~3位の 強い小企業 」と定義した。 ヘルマン・ジモンはこの基準により、全世界に2734の、ドイツには1307の隠れたチャンピオンが存在すると明らかにした。 しかし、隠れたチャンピオンの正確な数字は誰にも分からないと見なければならない。 すでに知られている隠れたチャンピオン以外に、まだ知られていない隠れたチャンピオンがさらにあり得るからだ。 一部の専門家の中には、ドイツの隠れたチャンピオンの数を1600~1700と数える人もいる。

 ヘルマン ジモンの基準による隠れたチャンピオンの姿を見てみれば、平均売上額が3億2600万ユーロ(韓貨4700億ウォン)、平均労働者数が2037人だ。 韓国の基準で見れば中小企業よりは中堅企業に近い。 だが、隠れたチャンピオンの売り上げと労働者数の分布は多様だ。 一例として売上額5千万ユーロ(725億ウォン)未満の隠れたチャンピオンも25%に達する。 また、労働者が200人以下の隠れたチャンピオンが22%を占める。 小さい中小企業も隠れたチャンピオンになり得ることがわかる。

 隠れたチャンピオンの売上額のうち輸出が占める比重は平均62%だ。 内需市場でなくグローバル市場に重点を置いていることをよく示している。 製品構造は産業材が69%で最も多く、消費財20%、サービス11%の順だ。 隠れたチャンピオンの会社存続期間は40年以上が75%に達する。 100年以上になる企業も34%に達する。 隠れたチャンピオンから今や大企業に成長した フロイデンベルクは164年の歴史を誇っている。

クァク・ジョンス先任記者

https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/582749.html 韓国語原文入力:2013/04/14 22:08
訳A.K(4296字)

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