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爆弾で14人の甥や姪を一度に失う…子どもにテロの責任を問うな(2)

登録:2023-11-22 00:10 修正:2023-11-22 07:43
[ハンギョレ21]
ガザ地区最大の医療施設アル・シファ病院の医療スタッフが11月15日(現地時間)、イスラエルの急襲後、煙の立ち込める廊下で患者を運んでいる/ロイター・聨合ニュース

(1の続き)

■ガザでは子どもが10分に1人死んでいる

 今回の戦争は、子どもの死がこれまでのどの戦争よりも深刻だ。戦争勃発から3週間がたった10月29日、子ども支援の国際NGO「セーブ・ザ・チルドレン」は、ガザ地区で報告された子どもの死者数(この日の時点で3257人)が全世界の紛争地域で2019年以降の1年間で死亡した犠牲者の数を超えたと明らかにした。これは、最近3年間に世界20カ国以上で武力衝突に巻き込まれて死亡した子どもの数より多い。開戦からの1カ月間で、ガザ地区では1日平均で少なくとも136人、10分に1人の割合で子どもがイスラエル軍による空爆で命を失った。倒壊した建物のがれきの山にどれほど多くの子どもが埋もれているかは、十分に把握されていない。

 南北に細長く伸びるガザ地区は、世界で最も人口密度が高い場所の一つだ。約365平方キロの土地に237万人あまりが住んでいる。1平方キロ当たり実に6500人だ。人口が均等に分布しているわけではないため、北部のガザ市に人口の40%が集中している。ユニセフ(UNICEF)によると、ガザの人口の47%が18歳未満の子どもと青少年だ。イスラエル軍の人命被害は相対的に少ない。イスラエル国防軍は11月14日、「ガザ地区北部でハマスのテロリストと戦っていた兵士がさらに2人死亡し、イスラエルの地上作戦での死者数は46人となった」と発表している。

 ここまで来ると、イスラエルとハマスの戦争は言葉が戦争であるだけで、一方的な民間人虐殺に他ならない。国連は11月2日に発表した声明で「特にジャバリヤ難民キャンプに対するイスラエルの空爆は厚かましい国際法違反であり、戦争犯罪だ。女性や子どもなどの民間人が保護される収容所を攻撃することは、戦闘員と民間人の比例原則と区別原則に完全に違反する」と批判した。

 イスラエルによるガザへの侵攻は今回が初めてではない。2006年のパレスチナ総選挙でハマスが圧勝し、ガザ地区での独占的権力を確保して以来、イスラエルはガザ地区を全面封鎖し、水、電気、ガスなどを統制するというやり方で命綱を握ってきた。イスラエルとハマスとの間では大小の武力衝突が日常化し、イスラエルがガザ地区に進撃する戦争も4回も起きた。

 特に今回の戦争は「ネタニヤフの戦争」となっている。イスラエルの日刊紙「ハアレツ」は11月13日、「ネタニヤフ首相は、ガザ地区での長期間の戦争が批判世論を緩和し、自身の権力を維持させると信じている」とし、「さらに重要なのは、10月7日の惨事(ハマスによる奇襲攻撃とイスラエルの情報の失敗)に対するあらゆる個人的責任を回避し、(ハマスに対する)非難を広めることができると考えていることだ」と指摘した。ネタニヤフ首相は、在任中の不正腐敗容疑でイスラエルの現職首相として初めて起訴され、極右シオニスト諸政党と連立して政権を延命させるというやり方で刑事処罰を回避してきた。

■ユダヤ人とパレスチナ人の苦しみに公平に共感せよ

 韓国ドイツ史学会(チョン・ジンソン会長、釜山教育大学教授)は10月31日、「イスラエルとドイツの知識人仲間に告ぐ」と題する声明を韓国語、ドイツ語、英語の3カ国語で発表した。

 声明はまず、「中東に対する欧州の植民地統治の矛盾、ナチス政権の反人倫的犯罪などが重なった錯綜の結果としてイスラエルが建国して75年がたち、その後、この地域に平和というものはなかった」とし、「ハマスの攻撃に対する悲しみと怒りには深く共感するが、臨界点を超える集団的怒りが揮発性ではありえないということも忘れることができない」ということを明確にした。そして「文明はどこに行ってしまったのかと問わざるを得ないやり方で暴力が暴力を生む現状、これを止めるための努力が切実に求められている」として「今すぐ、ガザ地区に対する封鎖と爆撃をやめ、対話をはじめるよう、あなたたちの政府を説得せよ」と述べた。

 特に声明の最後の部分は、「知識人仲間」だけでなく国連をはじめとする国際社会にとっても痛切に響く。以下に書き出してみる。

 「すべての人間は同等に尊厳を持っており、すべての人の苦痛と死は同等な道徳的基準で測らなければならない。ホロコーストが私たちに衝撃を与えたのは、それが特定の集団に試練と苦痛を与えたからではなく、それこそ人類に対する挑発だったからだ。ユダヤ人もパレスチナ人も、いずれも人類という家族だ。ネタニヤフ政権の反人道的犯罪に対する批判を反ユダヤ主義と同一視することはできない。ドイツの知識人はユダヤ人とパレスチナ人の苦しみに公平に共感せよ。パレスチナ人全体にハマスのテロの結果に対する責任を問うな。ハマスの無差別テロに対してと同様に、イスラエルの無差別攻撃に対しても怒れ」

チョ・イルチュン|ハンギョレ土曜版先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/1116900.html韓国語原文入力:2023-11-19 16:45
訳D.K

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