本文に移動
全体  > 経済

米・中を追う現代自動車の自動運転…「量産5年以内に競合他社のデータ量を追い越す」

登録:2026-09-13 20:40 修正:2026-09-14 06:55
現代自動車グループ、レベル2++自動運転映像を公開 
エヌビディア基盤、2028年に先行量産 
自社技術は2029年下半期を目標
現代自動車グループが11日、京畿道城南市のフォーティーツードット(42dot)本社で公開した、自動運転AI「アトリアAI」を搭載したソフトウェア デファインド ビークル(SDV)試験車の走行映像の切り抜き=現代自動車グループ提供//ハンギョレ新聞社

 両側に住宅街が並ぶ狭い路地で、右側に停まっている宅配車を認識した自動運転車がハンドルを左に切って避けた。その後、自転車に乗った人が見えると、速度を時速16kmから4~5km程度まで落とした。非保護左折区間では、直進車両2台を先に送り出した後、ゆっくりと動いた。車線を少し越えてきた車両がいたり、バス・貨物車などの大型車両が横に近づいてくるとき、特に問題なく避けていく様子も見られた。

 現代自動車グループは11日、京畿道城南市のフォーティーツードット(42dot)本社で、独自の自動運転AI「アトリアAI」を搭載したソフトウェア デファインド ビークル(SDV)試験車のソウル市内走行映像を初めて公開した。映像内の車両は、現代自動車・起亜の先端車プラットフォーム(AVP)本部と、グループのソフトウェア系子会社「フォーティーツードット」が共同で開発中の、アトリアAIベースのレベル2++自動運転試験車だ。先端車プラットフォーム本部が量産車への適用と安全・品質検証を、フォーティーツードットが核心AIモデルの開発を担当する。映像中の運転席には人が座っていたが、操舵や加減速、車線変更などは車両が自ら行った。レベル2++は完全自動運転ではなく、走行責任が依然として運転者にある「高度化した運転支援機能」に該当する。

 走行シーンだけを見れば、決して全く見慣れない技術ではない。テスラの「完全自動運転監視型」(FSD)を体験した消費者には、すでに見慣れたレベルの走行のように見えるかもしれない。ただし、現代自動車グループが特に注目しているのは「事故はなかったのか」だけではない。車線を変えて障害物を避けて走行することに成功したとしても、車内の乗員が一瞬でも不安を感じたなら、その場面は再び学習対象となる。

 実際の映像でも、そんな場面があった。板橋(パンギョ)から光化門まで移動する区間で、自動運転車は車線が狭くなる地点に入ってもしばらくそのまま走り続け、右側の車線がほぼ終わる頃になってようやく左側へ車線を移した。運転席に座っているフォーティーツードット・アトリア・グループのチョン・ソンギュン・リードは、当該状況について「ユーザーに違和感を与える可能性のある状況を改善するために取り組んでいる」と述べた。 パク・ミヌ現代自動車・起亜先端車プラットフォーム本部長兼フォーティーツードット代表は、「実際には安全であっても、心理的な安心感まで提供することが重要だ」と強調した。

■米中の競合他社を抜く…「データフライホイール」稼働

11日、京畿道城南市のフォーティーツードット本社で開催された「現代自動車グループ自動運転メディアデー」の質疑応答で、現代自動車・起亜先端車プラットフォーム本部長兼フォーティーツードット代表のパク・ミヌ氏らが、取材陣の質問に答えている=現代自動車グループ提供//ハンギョレ新聞社

 現代自動車グループの自動運転タイムテーブルは、米国・中国の競合他社と比べるとやや遅いという評価を受けている。競合他社はすでに顧客の車両と実際の道路走行を通じてデータを蓄積している。米国では、テスラが顧客の車両にレベル2の運転支援機能を提供しており、ウェイモはフェニックス、サンフランシスコ、ロサンゼルスなどで、運転手なしのレベル4自動運転呼び出しサービスを運営している。中国でもポニーAI、バイドゥ・アポロ・ゴー、ウィーライドなどの自動運転企業が、主要都市で運転手なしで走るロボタクシーサービスを拡大している。

 現代自動車グループは、このような格差を意識しつつも、完成車メーカーとしての量産規模を活用すれば、データ格差を迅速に縮小できると考えた。現代自動車・起亜は、世界190カ国以上の国と地域で年間700万台以上の車両を販売しているため、量産車のセンサーとコンピューティングシステムが標準化されれば、大規模データを短時間で確保できるということだ。チョン・ソンギュン・リードは「現代自動車グループが自動運転システムを本格的に量産すれば、5年以内に競合他社がこれまで蓄積してきたデータ量を上回ることができるだろう」と説明した。

 現代自動車グループがこの目標を達成するために掲げた核心は「データフライホイール」だ。車両が実際の道路を走行しながらデータを収集し、これを人工知能の学習と検証に活用した後、改良されたソフトウェアを再び車両に適用するという繰り返しの構造だ。車が多く走るほどデータが蓄積され、データが蓄積されるほど、人工知能は難しい状況をよりよく学習し、改善された人工知能が再び新しいデータを生成する仕組みだ。

 このデータフライホイールがうまく機能するために、データ量と同じくらい重要なのは品質だ。自動運転の性能を向上させるには、車線の終端で突然割り込んでくる車両、幅が一定でない交差点、違法駐車車両が多い都心の道路のように、まれではあるが判断が難しい場面が必要だ。スペシャルイベントリコーダー(SER)は、自動運転中に重要な状況が発生した場合、その時点の前後15秒間のセンサー情報や車内信号、アトリアAIの処理結果などを記録し、サーバーへ送信する装置だ。開発者はこのデータを再び学習と検証に活用する。

 このフライホイールを実際の量産車で迅速に回すための実行戦略は、ツートラックで構成される。まず、エヌビディア基盤の自動運転ソリューションを活用し、量産速度を高める。同時に、フォーティーツードットと共に、自社の自動運転AIであるアトリアAIを開発し、核心技術を社内に蓄積する。検証済みの外部ソリューションでまず量産経験とデータを確保し、これを自社のAI高度化につなげる構想だ。

 今年末に開始される光州の自走運転実証事業は、アトリアAIを実際の韓国国内の道路で検証する舞台だ。光州全域の住宅地や商業地など、実際の生活圏に自動運転車200台を投入し、レベル4相当の自動運転技術を検証する大規模な政府主導の実証事業だ。現代自動車グループは、アトリアAIを適用したアイオニック5ベースのソフトウェア デファインド ビークルを、先行実証車両として投入する予定だ。

現代自動車グループが11日、京畿道城南市のフォーティーツードット本社で公開した「アトリアAI」ソウル都心テストドライブ映像の切り抜き=現代自動車グループ提供//ハンギョレ新聞社

 現代自動車グループは、2028年上半期にエヌビディア基盤のレベル2+機能を量産車に先行適用し、同年下半期にはエヌビディア基盤のレベル2++機能を披露する計画だ。当日の映像に映っていた車と同様に、アトリアAIを搭載したレベル2++機能は、2029年下半期に量産車への適用を目指している。

 パク代表は、アトリアAIの量産時期を2029年下半期に設定したことについて、「もっと早く進めることもできるが、今量産すれば、我々が本当に目指すべき目標からほど遠く、あいまいなレベル2++を量産することになると思った」と語った。単に機能を早く出すのではなく、実際の顧客が信頼できるレベルの安全性と走行の自然さを確保すべきだという趣旨だ。現代自動車グループは、2027年までに駐車など複数の機能の完成度を高め、2028年には実車から得られるデータを収集して安全性を検証し、2029年に韓国内外の安全認証を取得したうえで、下半期に量産車へ適用する計画だ。

 ハードウェアもこのような時間割に合わせて設計される。現代自動車グループは、2028年から量産車に標準化したセンサー体系とAIコンピューティングプラットフォームを順次適用する計画だ。車種ごとの違いはあるが、カメラ10個、前方レーダー1個、超音波センサー12個を基本とする方針だ。パク代表は「7~8年前に購入した車でも、ソフトウェアのアップデートが途切れないレベルでハードウェア仕様を備えることが目標だ」と説明した。

■説明する自動運転、VLAも開発

現代自動車グループが11日、京畿道城南市のフォーティーツードット本社で公開した「アトリアAI」ソウル都心テストドライブ映像の切り抜き=現代自動車グループ提供//ハンギョレ新聞社

 自動運転車が事故なく走行を終えたとしても、乗員が動きに違和感や不安を感じた場合、それは人間の判断方式とはまだ隔たりがあることを意味する。現代自動車グループが開発中の視覚・言語・行動(VLA)ベースの自動運転は、このようなギャップを縮めるための次世代技術であり、車両がカメラで捉えた道路状況を言語で解釈し、その後実際の走行行動へとつなげる。例えば、車両が自分が何番目の車線にいるのか、ナビゲーションの経路に従うためにはどちらの方向に車線を変えるべきかを文章で表現し、それを基に次の行動を決定する形だ。

 これは、エヌビディアが今年初めに公開した推論型自動運転モデル「アルパマヨ」と同系統の技術だ。センサーが取得した情報を車両の行動に直接結びつけるエンドツーエンド(E2E)方式よりも、より多くの計算資源を必要とするが、言語ベースの推論を活用して稀な状況に対応し、判断根拠を説明できるため、人間の運転者に近い自然な走行が可能だというのが、同社の説明だ。現代自動車グループは、量産適用の可能性が高いエンドツーエンド(E2E)ベースのアトリアAI開発を優先しつつ、次世代VLA技術も並行して開発する方針だ。

 パク・ミヌ代表は「市場に迅速に投入することだけを目標として技術の完成度や品質を妥協することはしない」と述べ、「自動運転は単なる便利機能ではなく、顧客の安全と信頼に直結する機能だ」と語った。さらに「データとAI、検証が繰り返される好循環構造を基盤に、顧客が信頼できる自動運転技術を開発していく」と述べた。

11日、京畿道城南市のフォーティーツードット本社前に展示されたアイオニック6をベースとしたソフトウェア デファインド ビークル(SDV)テストベッド車両。同社はこの車両がカメラ8台と前方レーダー1台で周囲の環境を認識すると説明した=ユ・ハヨン記者//ハンギョレ新聞社
ユ・ハヨン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/1277494.html韓国語原文入力:2026-09-13 10:36
訳J.S

関連記事