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「NVIDIAへの従属」深刻化への懸念…韓国型AIチップの開発・生産を

登録:2025-12-10 06:35 修正:2025-12-10 08:17
GPU26万枚 AI韓国の課題 
韓国のAIが進むべき道とは
韓国の開発者・研究者らが先月18日、ソウル江南区三成洞のCOEXで開かれた「エヌビディアAIデー」で、エヌビディアの役員の発表を聞いている=パク・チョンオ記者//ハンギョレ新聞社

 先月18日午前、ソウル江南区三成洞(カンナムグ・サムソンドン)のCOEXの大型会議場であるグランドボールルームに、韓国の理工系開発者と研究者が1千人以上集まった。人工知能(AI)チップ業界をリードする米国エヌビディア(NVIDIA)が開催した行事「エヌビディアAIデーソウル」に参加するためだった。エヌビディアの技術力を紹介する会議場の大型画面3つの前に置かれた座席はすべて埋まっていた。出席者らは、壇上に上がったエヌビディアの役員らの言葉を聞き漏らすまいと、ノートパソコンやメモ帳に書き留めていた。グローバルなAI環境を支配する独占企業の地位が垣間見える行事だった。

 エヌビディアのグローバル総括担当のシルパ・コルハットカル氏はこの日、「AIは電気やインターネット、水道のような基本インフラであり、国家レベルの公共財になった」とし、「韓国が世界的なAI製造国になるよう、パートナーシップを拡大する計画」と述べた。これに対し、エヌビディアが2030年までに韓国に供給することにした自社のAIチップ26万枚を踏み台にし、韓国のAI産業で本格的に影響力を行使するだろうという見通しも示されている。財界のある関係者は「韓国にAIチップを大量に供給し、AI環境を掌握しようとする意図があるものとみられる」と語った。

 エヌビディアの武器は物理的なAIチップだけにとどまらない。市場では同社が作ったソフトウェア「クーダ(CUDA)」に注目している。これを通じてエヌビディアが独占的地位を享受できるためだ。クーダは、エヌビディアのグラフィック処理装置(GPU)に最適化されたプログラミングツールだ。ゲーム用グラフィックカードの持つ「様々な作業を同時に処理できる」というメリットをAI学習にも活用できるよう支援する。

 2006年末に無料で発売されたクーダは、過去20年近くライブラリ(高性能の計算ツールのコレクション)を蓄積してきたため、エヌビディアの「ユーザー囲い込み戦略」(ロックイン戦略)を可能にする技術的な堀(高い参入障壁)と考えられる。エヌビディアが単純にチップのみの販売を越え、AIモデルの開発、仮想空間シミュレーションなどのためのソフトウェアのプラットフォームをまとめて提供し、AI産業全般の支配力を強化することができたのも、このような土台があったからこそ可能だった。これはエヌビディアが米国のビッグテック(巨大技術企業)などにAIチップを1枚当たり数千万ウォンから最大1億ウォン余りで販売し、売上の半分以上を利益として残す強気の商売の秘訣でもある。

 問題は、2030年までにエヌビディアのGPU26万枚を供給される韓国が自ら同社のエコシステムに入ることになり、エヌビディアへの依存度がより一層高まる恐れがあるという点だ。高麗大学AI研究所のチェ・ビョンホ教授は「本来ゲーム用に開発されたエヌビディアのチップは価格が高いうえ、電力消費などの面でAIに特化した半導体ではない。エヌビディアへの依存度を分散させるための独自のAI半導体の開発など、韓国ならではの道を模索しなければならない」と述べた。

 外国企業は早くからAI向けのオーダーメード型チップ(ASIC)の開発と活用に拍車をかけている。グーグルが最近発売した次世代AIモデル「Gemini3.0」開発に活用したテンソル処理装置(TPU)が代表的だ。グーグルが2015年に初めて発売して10年間開発してきたチップで、特定のAI演算(行列乗算)に特化し、電力消耗が少なく、価格もエヌビディアのチップに比べてはるかに安いのが特徴だ。米国が先端半導体および生産装備の輸出規制をする中国も、華為技術(ファーウェイ)とスタートアップの中科寒武紀科技(カンブリコン)などを中心に「脱エヌビディア」戦略に成果を出している。

 韓国も直ちに必要なエヌビディアのチップの確保を越え、「K(韓国の)-AIチップ」を開発するためのエコシステムを構築するツートラック戦略が必要であるものとみられる。特に産業の重心がAIモデルを教える「学習」から、今は学習したデータを土台に結果を導き出す「推論」に移り、このような必要性がより一層大きくなっている。サムスン電子とSKハイニックスが主導するAI用メモリー(HBM)生産だけでなく、在来のAI半導体ファブレス(半導体設計会社)を育成しなければならないという話だ。

 成均館大学校のクォン・ソクチュン教授(化学工学)は「国内にも独自のAIチップの設計能力がある会社は少なくないが、チップの生産費用が数百億ウォンに達するうえに、これを作ってくれる半導体工場(ファブ)もほとんどないため、『絵に描いた餅』の状況」だとし、「良いチップを作ってもタイミングを逃すことがないよう、政府が5年ほどの長期計画を樹立し、共用ファブを設ける方法も考えてみることができるだろう」と話した。

パク・チョンオ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/1233691.html韓国語原文入力:2025-12-09 20:14
訳H.J

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