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「AIバブル」論議を静めたNVDIA…ジェンスン・フアン氏「AI好循環に入った」

登録:2025-11-21 06:42 修正:2025-11-21 11:08
一部では「企業らがAIデータセンターに重複投資している可能性も」
NVDIAのジェンスン・フアン最高経営者が先月31日、慶尚北道慶州芸術の殿堂のウォンファホールで開かれた2025年アジア太平洋経済協力(APEC)を機としたNVDIA記者懇談会で、着席した後ネクタイを外している/聯合ニュース

 世界の人工知能(AI)市場をリードする米企業のエヌビディア(NVIDIA)が19日(現地時間)、過去最大規模の驚くべき実績を発表した。米国政府の輸出規制によりエヌビディアのチップの「大口顧客」である中国への輸出の道が閉ざされたが、急増する需要に支えられ市場の「AIバブル」の懸念を振り払った。

 同日、エヌビディアは2026会計年度第3四半期(今年8〜10月)の売上高が570億1千万ドル(約8兆9800億円)で、昨年同期に比べて62%急増したと発表した。前の第2四半期に比べても22%増えた。これは市場予測値(549億2千万ドル)より約4%多いもので、過去最大規模だ。ウォール街の予想より早いスピードで成長を続けている。

 中核事業であるデータセンター部門の売上額が前年に比べ66.4%増えた512億2千万ドルに達し、全体の売上増加をけん引した。エヌビディアが今年下半期に発売したAI学習・推論用の「ブラックウェルウルトラ(GB300)」が飛ぶように売れた影響とみられる。

 エヌビディアのジェンスン・フアン最高経営者(CEO)はこの日「ブラックウェルの販売量が急激な増加傾向を示し、クラウド用のグラフィック処理装置(GPU)は品切れになった」とし、「私たちはAIの好循環構造に入った」と説明した。また、フアンCEOは「AIバブルが議論になっているが、私たちの観点からは全く違う姿が見えている」と強調した。市場で拡散しているAI市場の「バブル論」を一蹴したのだ。

 エヌビディアは世界のAIチップ(AI加速器)市場の90%以上を占有した事実上の独占企業。米国のビッグテック(巨大技術企業)など大規模なデータセンター運用会社がAI投資を通じて実際に収益を上げ、再びエヌビディアのチップを買う循環構造が作られたという意味だ。

 第3四半期の営業利益は360億〜1千万ドルで、第2四半期に比べ27%、対前年比では65%増えた。営業利益率(売上高おける営業利益の割合)は63%に達する。1億ウォン(約1070万円)のチップ1個を売るたびに6300万ウォンの利益を残すという計算だ。1株当たりの純利益(当期純利益を発行株式数で割った値)も1.3ドルで、市場予想(1.25ドル)を上回った。

 エヌビディアは今年第4四半期(今年11月〜来年1月)の売上高見通しを650億ドルと提示した。中国への輸出は止まっているが、第4四半期にも前期に比べ10%を超える大幅な成長を続けられるという自信を示したのだ。この日ブルームバーグは「エヌビディアが予想よりも強気の売上見通しを提示した」とし、「AI産業がバブル状態という主張に反論し、業界全般に広がった懸念を緩和させた」と報じた。米商務省はこの日、サウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)の代表的なAI企業である「ヒューメイン」と「G42」に、エヌビディアの最新AIチップを最大3万5千個輸出することを承認した。

 この日、エヌビディアの実績発表で世界のAI・半導体企業の株価が一斉に上昇したが、バブルへの懸念がきれいに解消されたわけではない。

 実際、エヌビディアは米国証券取引委員会(SEC)に提出した「四半期報告書(10-Q)」で、初めてこのようなリスクを明示した。エヌビディアは報告書で「顧客企業がAIデータセンターのための資本とエネルギーを確保する能力が、成長を阻害しうる潜在的リスク要因」だと指摘した。また「財政余力が足りない企業は大規模なインフラプロジェクトに必要な資金調達が難しくなる恐れがある」と述べた。フアンCEOの公言とは異なり、投資家にリスクの存在を知らせたわけだ。

 AIバブル論は、グーグルの親会社であるアルファベットやメタ、アマゾンなど外国ビッグテックがAIデータセンターを作るために行っている大規模な「借金投資」や、関連企業の株価高評価が持続可能ではないという懸念が主な内容だ。AI技術の収益性と実効性がまだ明確に証明されていないためだ。エヌビディアが自社のチップを買ってくれるAIモデル開発会社のオープンAI、アントロピックなどに巨額を投資し、人為的にチップ需要を作り出しているという疑念もこのような懸念を煽っている。

 現代車証券リサーチセンターのノ・グンチャン・センター長は「エヌビディアが市場予想を跳び越える素晴らしい実績を出したが、バブルをめぐる懸念はこれからも続くものとみられる」とし、「企業のAIデータセンターが重複(過剰)投資である可能性があるだけに、AI覇権戦争が終われば後遺症が残るだろう」と予想した。

パク・チョンオ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/1230383.html韓国語原文入力:2025-11-2019:33
訳H.J

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