韓国ウォンの価値が先が読めないほどに下落している。21日のウォンの価値は、外国人投資家らがソウル証券市場で3兆2千億ウォン(約3400億円)以上の株を売り越し、前日より7.7ウォン安の1475.6ウォンで日中取引を終えた。4月9日の1484.1ウォン以来7カ月ぶりの最安値だ。これすら超えた場合、直ちに2009年3月12日(1496.5)以来の最安値に達することになる。
韓国の貿易相手国全体の通貨に比べて算出したウォンの実質価値は、すでに2009年の米国発の世界金融危機の水準に落ちた。23日、国際決済銀行(BIS)のウォン実質実効為替レート指数を見ると、10月末基準で89.09(2020年=100)で、2009年8月末(88.88)以来の最低値だ。ウォンの名目実効為替レート指数が10月末の88.63から今月18日には86.55に下落したため、11月に入って実質実効為替レート指数はさらに下落したとみられる。
実質実効為替レート指数は、物価変動を反映し、貿易比重を考慮して貿易相手国全体の通貨に比べた該当国の通貨の実質購買力を表す。10月末の時点で、中国の人民元は87.9、日本円は70.4。2020年以降、主要国の中でこれら二国の通貨に次いでウォンの実質価値の下落幅が大きかった。
製造業の比重が高く、高成長を謳歌してきた東アジア3国の通貨価値がいずれも大幅に下落しているのは、これらの国の経済基礎(ファンダメンタル)が以前よりも劣っている現実を反映している。特に、韓国と日本は経済成長率が米国より大幅に低い。そのために米国への資本離脱が続いている。韓国銀行の9月の国際収支(暫定)集計によると、韓国人の海外証券投資は今年に入って9月末までに998億5千万ドル増えたが、外国人の韓国投資は394億6千万ドルの増加にとどまった。
米国の金利に比べて低い韓国の金利もウォン安につながっている。最近、米連邦準備制度理事会(FRB)が12月の連邦公開市場委員会(FOMC)で基準金利を下げない可能性もあるとの見通しが広がり、96ポイントまで下がっていたドル指数が100前後に上がると、ドル当たりのウォンのレートも垂直に下降した。
日本の高市早苗内閣が財政支出の拡大を図り、円安がさらに進んだことも、ドルに対するウォン相場に影響を及ぼした。ドルに対する円相場は、高市首相が自民党総裁に当選する前日の10月3日の147.45円から11月20日には157.48円まで円安が進んだ。
市場アナリストは、韓国当局が介入するかどうかに注目している。ウリィ銀行のアナリストのミン・ギョンウォン氏は「為替レート1500ウォンが視野に入り、過度なウォン安を抑制できる救援投手は当局以外には全滅した状態」だと分析した。