ウォン安が急速に進み、外国為替市場の変動性が再び高まっている。先月末、心理的抵抗線である1ドル1400ウォン台を突破したウォン相場は、秋夕(旧暦8月15日の節句)連休が終わるやいなや、1420ウォン台を突破し、5カ月ぶりに最安値を記録した。連休期間中の円・ユーロ安とドル指数の上昇、対米投資交渉の不確実性など、ウォン安の要因が一気に反映された様相だ。市場では、ウォン安ドル高の流れが当分続き、外国為替市場の変動性が大きくなる可能性があるとみられている。金融当局の金利政策の経路にも影響を及ぼす見通しだ。
10日、ソウル外国為替市場でウォン相場は秋夕連休直前の最後の取引日である2日(1400ウォン)より21.0ウォン増の1421.0ウォンで週間取引を終えた。約5カ月ぶりの最安値だ。ドルに対するウォン相場は、連休期間(6〜9日)の域外取引で1427.8ウォンまでウォン安が進んだ影響が、連休後の国内市場の開場とともに一気にあらわれた様子だ。
まず、連休期間中に急速な円安とユーロ安が同時に進み、ウォンも劣勢の流れが強化された。特にウォンと同調化傾向が強い円は、日本の自民党総裁選挙でアベノミクス(金融・財政緩和)の継承を公言した高市早苗氏が勝利したことで、ドルに対する価値が急落した。日本の赤字国債の発行は増え、金利引き上げが遅れる可能性が浮上し、昨夜、米ニューヨーク外国為替市場で円相場は1ドル当たり153円台半ばまで下がり、劣勢を示した。2日の147円台から急激に落ちたもので、2月以来約8カ月ぶりに最も安い水準だ。
ドルに対するユーロ相場は、フランス首相が就任から1カ月で辞任し、政治の不確実性が高まったことを受け、1.15ドル台のユーロ安となった。主要6カ国の通貨に対するドルの価値を示すドルインデックスは徐々に上昇し、9日(現地時間)には99.5を記録した。この1カ月間、ドルに対する為替レートはウォンが2.38%、円が3.82%、ユーロが1.16%それぞれ下がった。NH先物のウィ・ジェヒョン研究員は「連休期間に円安とユーロ安が同時に進み、ドルが反騰した影響が、この日(韓国の)外国為替市場にあらわれた」と分析した。
対内的には、3500億ドルの対米投資交渉の不確実性がウォン固有の価値下落の要因となっている。韓米は今年7月、米国に輸入される韓国製品に対する相互関税率を15%と暫定合意したが、3500億ドルの対米投資の方式をめぐる交渉を続けている。韓国投資証券のムン・ダウン研究員は「対内外のウォン安への圧力が重なり、ウォン安ドル高への圧力が高い水準で維持されている」とし、「ドル安へと(流れが)切り替わるか、対米投資交渉で友好的な決定が出るまでは、当分ウォン安への圧力が優勢で、1400ウォン台を揺れ動くだろう」との見通しを示した。ウィ研究員は「対米投資の不確実性と米国の堅調なファンダメンタルにウォン安の圧力が拡大した」とし、「国内のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)のプレミアムは依然として低い水準だが上昇傾向が続いており、短期的にウォン相場の上段を1420ウォンに修正する必要がある」と語った。
外国為替市場の変動性が長期化すれば、通貨当局の金利引き下げの時期にも影響を及ぼす見通しだ。市場では先月、米連邦準備理事会(FRB)が政策金利を下げた後、韓銀も23日に予定された金融通貨委員会で基準金利引き下げに乗り出すという予想が多かったが、ソウルの住宅価格の上昇傾向が続く中で、為替レートの不確実性まで大きくなれば、利下げの負担はさらに高まるという意見もある。ハンファ投資証券のキム・ソンス研究員は「今は金融安定にもっと長く焦点を当てるべき時期」だとし、「年内の利下げは可能だが、時期は11月にずれ込む可能性がある」と見通した。ファン・ゴ二ル金融通貨委員は先月23日の記者懇談会で、「今年は市場の期待のように一度くらいは(利下げを)しなければならないが、それが10月になるか11月になるかについては悩んでいる状況」だと述べた。