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韓国、対米投資の年間限度200億ドルを明示したが、決定権は米国に

登録:2025-11-18 06:37 修正:2025-11-18 08:25
韓米投資MOU詳しく見てみると
李在明大統領が14日、ソウル龍山の大統領室記者会見場で韓米ファクトシートの妥結に関する発表を行っている=大統領室写真記者団//ハンギョレ新聞社

 韓国と米国政府が14日、関税交渉にともなう3500億ドルの対米投資ファンドをめぐり「戦略的投資に関する了解覚書(MOU)」を締結したことで、関税交渉が一段落し、対米輸出の不確実性がかなり低下した。だが、MOUには韓国側の措置は義務化されている一方、米国の措置は「善意」に頼ることが明記され、投資先選びなどをめぐり議論が続くものとみられる。

■「年間200億ドル上限が最大の成果」…「安全装置設けた」

 韓国政府は14日、米国との合意で「商業的合理性を考慮して元金の回収の可能性を向上」させ、「外国為替市場に対する負担を軽減」したと説明した。米国と日本のMOUとは異なり、韓米MOUの第1条には米商務長官が率いる投資委員会が「商業的に合理的と判断される投資だけを米大統領に推薦することを目指す」という内容が含まれている。また、キム・ジョングァン産業通商部長官はこの日の会見で、年間投資限度を200億ドルにしたのが「最も大きな成果」と述べた。韓国は2029年1月のドナルド・トランプ大統領の任期末まで2千億ドルに対するさまざまな投資を約束し、そのうちかなりの金額を(トランプ大統領の任期)以降に執行しても良いことになっているが、米日のMOUにはその時(任期末)までに投資を行うように定められているという説明だ。

 また政府は、20年以内に元利金の回収が難しければ韓米の収益配分を調整し▽1カ所で収益が出なければ他のところで補てんし▽物品の調達には韓国企業を優先視するなどの安全装置を設けたと説明した。

■投資先の決定権は米国に…韓国の意見を反映するのは米国の「善意」

 政府は、米国大統領の決める投資先を投資委員会が推薦する前に、韓米が参加し韓国産業部長官が率いる協議委員会を通じて「韓国と協議する」とMOUに書かれているため、韓国の意見が反映されると説明している。ところが、韓国はこの過程で意見を提示するレベルにとどまる可能性が高い。

 一方、米国が受け取るものに関するMOUの文言は「罰則」を明示し、事実上韓国の義務条項といえる。韓国は、米国大統領が投資対象を決めたら45営業日以内に必要な金額をドルで送らなければならず、投資を見送った場合、米国は「大統領が定めた料率で」関税を賦課できると定められている。

 元利金の回収までは韓米が5対5、回収後は1対9に分けることにし、著しく不公正な内容とされる収益配分をめぐってもさらなる毒素条項が加えられ、全く投資していない米国の利益取得の可能性をさらに高めている。韓国が特定の事業に対して求められた分の投資をしなかった場合、足りない金額を「修正配分額」として米国がさらに持っていくということだ。つまり、ある事業に韓国が50億ドルではなく25億ドルだけ提供するなら、米国は他の事業収益をさらに持っていく形で残りの25億ドルを手にするという内容だ。

 一方、韓国が取り付けたという安全装置などは、米国の善意に頼るような内容となっている。20年以内に元利金の回収が困難であることが明らかな場合は、収益配分を調整し、物品供給者として韓国企業を優先視するという内容は、米国が「信義誠実の原則」に従って協議や検討すると規定されているだけだ。外国為替市場が不安になれば韓国が投資時期の調整を要請できるとしたファクトシート(説明資料)の内容は「米国は信義を持ってそのような要請を適切に検討する」という線で終わった。

 また、MOUには、重過失または故意的違法行為を除き、両者は免責の対象だと規定されている。これは、投資事業を主導する米国側の人物を主に念頭に置いたものとみられる。

 キム長官は会見で、投資収益の配分が不公正すぎるのではないかという指摘に対し、「ここ(関税交渉)の内容のうちどこに公正な内容があると思うか。米国は一銭も払わないのに、5対5(収益)の配分などあり得ない」とし、「米日が先に合意した状態で、厳しい交渉を強いられた」と述べた。

イ・ボニョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/1229540.html韓国語原文入力: 2025-11-17 16:04
訳H.J

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