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溶接検査も4足歩行ロボットが…自動車工場の未来 現代自動車メタプラント

登録:2025-03-30 22:05 修正:2025-03-31 07:51
現代自動車の米ジョージア州工場のメタプラントで、塗装が完了した車体にロボットがバッテリー、駆動モーター、外装部品、電装部品などの主要部品を組み立て完成車を作っている=現代自動車グループ提供//ハンギョレ新聞社

 26日(現地時間)に竣工した現代自動車グループの最新米国工場であるジョージア州のメタプラント(HMGMA)生産ラインには現在880人余りの職員が働いている。昨年10月に稼働を開始し、電気自動車(EV)のアイオニック5とアイオニック9の2車種を年間10万台水準で生産しているので、車両114台当たり1人が必要ということになる。現代自動車グループの韓国内最大工場である蔚山(ウルサン)の場合、この数字が44台当たり1人の割合だ。

 このような違いは、生産プロセスに投入されたロボットの数と関連する。メタプラントには各種ロボット900台余りがこれまで人がやっていた仕事の相当部分を代替している。工場に人とロボットがほぼ半々ずつ交ざって仕事をしているわけだ。現代自動車グループは「グループの未来ビジョンと先端製造技術の力量をメタプラントに集約した」と説明する。生産効率を高め、作業者の業務強度を低くして「人間親和的な製造現場」を具現したということだ。

 ロボットと人工知能(AI)は避けられない未来だ。製造業の中で雇用効果が最も大きい自動車産業でも同じだ。グローバル完成車メーカー各社は、ロボットやAI技術で自動化率を高めたスマート工場を構築し、生産ラインに投入できるヒューマノイドロボットを我先に開発している。人間の労働力をロボットが代替していく流れは、労働の未来に対しても重い質問を投げかける。27日、このような変化の最前線に位置するメタプラントを訪れ、自動車製造現場の現在と未来を垣間見ることができた。

■騒音を減らし、重いものはロボットが

現代自動車の米ジョージア州工場のメタプラントでプレス工程を終えた部品をロボットが自動的に積載する様子=現代自動車グループ提供//ハンギョレ新聞社

 メタプラントでの自動車生産の工程は、他の工場と同様にプレス-車体-塗装-艤装の順で行われる。プレス工程では、現代製鉄などから納品されたフラットなブランク(金属シート)を自動車の屋根や側面、フェンダーのような部品を装着する。

 通常、プレス工程は非常に音が大きい。金属シートを数千トンの圧力で押しつぶし形を作る工程だからだ。検収作業者も聴力保護のために耳栓を着用したりする。メタプラントでは違った。生産室長のキム・ハンゴンさんは「新技術を適用してプレスを受ける面では油圧式で受け、上から降りてくる部分にはモーターを付けて速度を調節できるようにし、他の工場に比べて騒音を10%以上低減した」と説明した。

 プレスで成形した部品は無人運搬ロボット(AGV)によって溶接ラインに移される。部品が重いため、運搬ロボットに載せるのもやはりロボットの役割だ。パネルを車種別に分類し、数十枚ずつパレットに積む自動積載システム(ASRS)が適用される。

 溶接と塗装を終えた車体と部品は艤装工場に集まる。このような運搬過程もすべて自動化されている。工場間を連結するブリッジを通じてベルトコンベアに載せられ移動した部品を、ロボットがてきぱきと組立ラインに持ってきて置く。完成した車を品質検査ラインに移動させる作業もやはり薄い板状の駐車ロボットが遂行する。重い部品などを運んで運搬することは、ほとんどロボットが遂行しているわけだ。

 危険な作業もロボットの役目だ。キム室長は「ガラス装着工程に使われるプライマーという化学成分が有害なので、韓国国内の工場ではマスクを着用して行うが、メタプラントでは自動化されており問題がない」と説明した。

■複雑な状況判断が必要な作業は人が

現代自動車の米ジョージア州工場のメタプラントで、4足歩行ロボット「スポット」が車体の溶接部位などを検査している=現代自動車グループ提供//ハンギョレ新聞社

 正確性の向上にもロボットが幅広く使われる。車体工程は100%自動化された。艤装作業をする時は車体からドアを外して別に作業した後に再び組み立てるが、この時にドアを分離し、元の車体を探しだして装着する作業を全てロボットが行う。韓国国内の工場では人がやっていたことだ。

 検査もロボットが行う。金属シートが適切な形と厚さのパネルで作られているか、溶接はうまくいったか、段差は一定なのかなどをロボットが1次検査し、人が2次検査をするやり方だ。メタプラント法人長のクォン・オジュンさんは「自動化、システム化、インテリジェンスを通じて均一な品質を維持する側面では(他の現代自動車工場の中で)一番だと見て良い」と述べた。

 それでも艤装工程ではロボットが遂行しにくいことが多く、依然として人手が必要だ。代表的な作業がシートの組み立てだ。キム室長は「ドアの組み立てのように一律的に遂行できる作業は自動化できるが、シートの装着のような作業は床面にカーペットが敷かれ、他の部品が全て組み立てられた状態で来るため、カメラが路面を認識するのがカーペットの干渉によって難しく、人だけが判断できる」と説明した。

■アトラス投入計画は未定

 現代自動車グループは最新のヒューマノイドロボット「オールニューアトラス」をメタプラント生産ラインに投入する計画だが、まだ具体的な計画は決まっていない状態とみられる。クォン法人長は「ある程度動きながら積み込まれた物を取り出して他のところに積み込む作業をする程度には高度化された」とし、「まだ工場に適用されたことはなく、今後やってみようと計画中」だと話した。

 一方、EV専用工場として建てられたメタプラントは、今後、EVのキャズム局面で市場の需要に対応するため、ハイブリッド車の生産設備を備え、混流生産に乗り出す予定だ。ただし、本格的な商業生産には時間がかかる見通しだ。クォン法人長は「エンジンや燃料タンク、排気・吸気関連の部品が入るため、それと関連した補助設備への投資が行われなければならず、工法も決めなければならないので基本的な時間が必要だ」と述べた。

エラベル/ナム・ジヒョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/marketing/1189593.html韓国語原文入力:2025-03-30 19:05
訳J.S

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