人工知能(AI)技術の発展で「ディープフェイク」など女性・児童を対象にした新しい性暴力の類型が増えているが、検挙率はむしろ後退していることが分かった。また、66歳以上の引退年齢人口の相対的貧困率は、経済協力開発機構(OECD)加盟38カ国のうち1位に選ばれた。
韓国統計庁国家統計研究院は24日、社会・環境・経済の各分野の持続可能性を統計データで診断し、このような内容を盛り込んだ「韓国のSDGs(持続可能な開発目標)履行現況2025」を発刊した。同報告書は、国連加盟国が2030年までに達成することで合意した17分野に対する韓国の履行現況を提供する。
性平等分野における女性を対象にした暴力に関して、報告書は「女性に向けた暴力が多様化する中で、デジタル性犯罪検挙率は明確に低下している」と評価した。特にデジタル性犯罪でも生成AIなどを活用したディープフェイク合成性犯罪などがこれに該当する。2023年基準で虚偽映像物編集・頒布の検挙率は48.2%、撮影物などを利用した脅迫・強要は61.4%で、1年前よりそれぞれ10.6ポイント、2.8ポイントずつ減少した。
また、66歳以上の引退年齢人口の相対的貧困率は39.8%(2023年基準)で、1年前より0.1ポイント上昇し、OECD加盟38カ国のうち最も高いことが分かった。全体の相対的貧困率は14.9%で、OECD38カ国のうち30位だった。 相対的貧困率とは、所得が中位所得(人口を所得順に並べた時、真ん中にいる人の所得)の50%未満の階層が全人口に占める割合を意味する。
韓国の資産の不平等も拡大した。2024年基準の純資産(総資産-負債)のジニ係数は0.612で、2017年以降上昇傾向を見せてきた。同期間、市場所得や可処分所得のジニ係数が傾向的に改善されたのとは対照的だ。ジニ係数は所得(資産)の不平等の程度を示す指標で、0(0~1)に近いほど平等だという意味だ。研究院は「純資産のジニ係数を通じて富の相続や贈与などにともなう資産の不平等の水準が分かるが、ここのところ韓国の資産の不平等が大きくなっていることを示唆する」と指摘した。