電気自動車(EV)・バッテリー・太陽光など中国の供給過剰が韓国企業の輸出に否定的影響を及ぼしかねないという指摘が出ている。大規模な物量攻勢で市場の収益性が悪化し、主要国が関税賦課などによって輸入品を狙った貿易の壁を高めた場合、韓国の輸出にも飛び火する恐れがあるためだ。
韓国貿易協会の国際貿易通商研究院は21日に発刊した報告書「中国の供給過剰に対する主要国の対応および示唆点」で「中国企業は政府の支援を基に競争力を備え、自国の内需市場沈滞で供給超過現象が発生したことを受け、低価格で製品を輸出しグローバル供給過剰問題を起こしている」と診断した。
報告書によると、中国政府はEV・バッテリー・太陽光を3大新産業とみて、経済協力開発機構(OECD)加盟国平均の3~9倍にのぼる産業補助金を支援し産業を育てている。貿易協会のイ・ジョンア首席研究員は「中国の供給過剰は世界市場が受け入れられる規模をすでに超えているが、鉄鋼・化学などの伝統産業のみならずEV・バッテリー・太陽光などの新産業分野でも最大生産能力を維持すると計画しているため、今後の供給過剰問題はさらに深刻になるだろう」と予想した。
例えば中国は昨年、EVを954万台生産したが、販売台数は841万台にとどまり、113万台が超過供給になった。その結果、2020年には年間22万台に過ぎなかった中国のEV輸出量が昨年は120万台に増えた。CATLなど中国企業のバッテリー生産量も昨年は1.07テラワット時(TWh)で、世界のバッテリー需要(0.95テラワット時)をすでに上回り、現代自動車のEV「アイオニック5」(ロングレンジモデル基準)156万台分のバッテリーが残っている状態だ。太陽光モジュールも同様に中国の供給過剰が続く見通しだ。
イ首席研究員は「中国の供給過剰とこれにともなう主要国の対応措置は、韓国の輸出に直接・間接的な影響を及ぼすだろう」と指摘した。米国と欧州連合(EU)が中国の供給過剰に対応するため関税率の引き上げなどに乗り出し、韓国企業は一部反射利益を得ることができるが、このようにして世界の貿易の壁が強化されれば結果的に韓国の輸出にも負担になりうるということだ。
イ首席研究員は「かつて米国が国家安保と自国産業保護のために輸入鉄鋼に通商拡大法232条(国家安保のための輸入規制措置)とセーフガード(自国産業保護のための輸入規制措置)を発動した事例があるだけに、中国の供給過剰問題が深刻になる新産業を対象に、これらの措置を再発動する可能性も排除できない」とし「米国と他の国家が競って自国産業保護措置を取った場合、グローバル貿易環境に大きな混乱をもたらす恐れがあり、韓国企業の注意が必要だ」と指摘した。