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「汚染水の海、韓国産も心配…塩とのり、ひとまず1年分買い置き」

登録:2023-06-14 03:55 修正:2023-06-14 08:17
消費者、のり・煮干し・わかめ・塩など共同購入 
刺身屋や寿司屋は影響懸念し戦々恐々
日本による福島第一原発の汚染水の放出が目前に迫り、のり、煮干し、干しエビ、わかめ、昆布などの干物を買い置きする消費者が増えている=ゲッティイメージバンク//ハンギョレ新聞社

 ソウル城北区(ソンブック)に住む40代の主婦Kさんは最近、日本による福島第一原発の汚染水の海洋放出のニュースを聞き、知人と煮干し・昆布・わかめなどの水産物を共同購入した。カンさんは「友人とのグループチャットで汚染水放出に関する不安を訴える会話が交わされ、親戚のひとりが干物屋をやっているので私が音頭を取って共同購買した」と話した。

 Kさんは「これからしばらくは水産物を食べるのは難しいと思う。干物は乾燥させた製品なので、密封して冷凍保存すれば長く食べられるから、友人と相談して1年分をまとめて買い置きすることにした」と話した。

 日本政府が12日に福島第一原発の汚染水の海洋放出設備の試運転に突入した中、水産物や塩などの食品に関する市民の不安が高まっている。子どもたちに食べさせる干物と天日塩を買いだめする人が増えている一方で、刺身屋や寿司屋を営む自営業者たちは、火の粉が降りかかってくるのではないかと戦々恐々としている。

 大邱(テグ)に住む30代の主婦Nさんも、原発汚染水に対する不安が高まり、先日スーパーでのりを買いだめした。Nさんは「小学生の娘はのりなしではご飯を食べない。汚染水が放出されたら買って食べるのが難しくなると思い、あらかじめ1年分を購入した。近いうちにスーパーに行って天日塩も購入し、原発汚染水問題が解決するまではのりを家に買い置きしておいて食べるつもり」だと語った。

国会前で12日、全国漁民総連盟と日本の放射性物質汚染水海洋投棄阻止共同行動の主催で「日本による福島第一原発の汚染水海洋投棄反対集会」が行われている/聯合ニュース

 オンライン上の多数の母親コミュニティーには、KさんやNさんのように食品のことを心配し、「塩や干物などをあらかじめ買っておくべきなのではないか」、「汚染水が放出されれば水産物の購入は完全にあきらめるべきなのか」などの投稿が相次いでいる。日本が放出施設の試運転を終えて今夏にも本格的な放出を開始すれば、価格が急騰するのではないかとの懸念も示されている。

 母親コミュニティーに投稿したあるネット市民は「賞味期限が長いわかめ・昆布・干しエビ・煮干しなどの干物と、キムチなどに入れる塩辛類をあらかじめ購入しておいた。最悪、肉を焼いて食べるにしても塩を振るわけで、塩の価格は今後も上がり続けると思う。この先は手に入れるのが難しくなる恐れもあるので、あらかじめ買い置きしておいた」と話した。

 自営業者の危機感も次第に高まっている。ソウル永登浦区(ヨンドゥンポグ)で刺身屋を営むCさん(50)はハンギョレの取材に「ただでさえ暑くなってきたから商売がうまくいっていないのに、日本が今にも汚染水を放出しそうだから、少ないながらも来ていたお客さんも途絶えるのではないかと非常に心配。これまでは原産地表記を大きくしてお客さんを安心させていたのだが、汚染水が放出されたら日本産であろうが国内産であろうがどこが違うのか。どちらも売れないだろう」と訴えた。

 汚染水放出を前に塩を大量購入する自営業者も増えている。すでに塩の価格が大幅に上がっているため、一銭でも安く購入しようというのだ。冠岳区(クァナック)で食堂を営むある自営業者は「朝起きれば塩の価格が5000ウォンずつ上がっている。オンラインの一部業者はすでに『(全羅南道)新安郡(シナングン)産地直送の天日塩の注文が殺到し、一時販売中止』と案内している」と語った。

全羅南道新安郡新衣島の塩田=キム・ヨンヒ記者//ハンギョレ新聞社

 実際に、政府が発表した天日塩の産地価格(20キロ)は、4月第1週の1万4119ウォン(約1550円)から今月第1週には1万7807ウォン(約1960円)へと2カ月で27%も値上がりしている。新安郡水協直売場は8日、「新安天日塩2021年産20キロ」の価格を2万5000ウォン(約2750円)から3万ウォン(約3300円)に引き上げると公示した。新安郡水協直売場は「買い取り単価および人件費が上昇しているため、やむを得ず価格を引き上げた。全国的に天日塩の配送量が急増しているため、配送が遅延する恐れがある」と案内している。

 新安郡の塩田は全国の天日塩生産の85%を占めている。ただ、現地の塩価格引き上げがまだスーパーなどの小売店に直ちに反映されてはいないため、消費者の体感する引き上げ率は比較的低い。

 海洋水産部は塩価格の上昇について「天日塩の最大生産地である木浦(モッポ)近隣地域の今年4~5月の降水日数は22日で、平年(15.6日)や前年(8日)より多かったため、天日塩生産に適した環境が整わなかった」と述べている。福島第一原発の汚染水放出問題ではなく天気のせいだとの説明だが、消費者の不安を鎮めるには足りないと指摘されている。

ユ・ソンヒ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/consumer/1095659.html韓国語原文入力:2023-06-13 09:31
訳D.K

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