ジョー・バイデン米大統領が20日に訪韓した中、現政権初の韓米首脳会談は中国牽制に焦点が当てられている。韓国が米国主導のインド太平洋経済枠組み(IPEF)に創立メンバーとして参加することを確定したのに続き、韓米首脳は航空宇宙作戦本部をともに訪問することにした。
大統領報道官室は同日、「尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領とバイデン米大統領が22日、空軍作戦司令部の韓国航空宇宙作戦本部(KAOC)をともに訪問し、作戦現況の報告を受け、韓米連合作戦を遂行する将兵を激励する予定」と発表した。
烏山(オサン)基地の地下バンカーにある航空宇宙作戦本部は、朝鮮半島全域の航空宇宙作戦を指揮・統制する所であり、北朝鮮のミサイルを迎撃する任務を遂行する。北朝鮮のミサイル挑発に韓米首脳が「堅固な同盟」を誇示して警告を送るという観点からのものだが、中国にも同じような脈絡でシグナルを発したものとみられる。
北韓大学院大学のキム・ドンヨプ教授は「米中戦略対決は地、海、空などの地政学的概念だけでなく、宇宙、サイバー空間まで5つの空間に拡大した」として「宇宙領域でも中国とロシアに対応するという観点からの行動とみられる」と述べた。
米国はバイデン大統領の韓日歴訪開始の当日にも、挑発には対抗するとして中国・北朝鮮を圧迫した。
ジェイク・サリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)は19日(現地時間)、バイデン大統領の専用機の中で記者団に対し、「我々が韓国または日本にいるときに何らかの形の挑発が起こり得るという実際の危険がある」とし、「我々はこれに対応して何をすべきかを分かっている。同地域で米軍の準備態勢を調整することも計画している」と述べた。北朝鮮がバイデン大統領の歴訪期間中に大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験や核実験を行うなら、戦略資産の展開などを通じて対抗するとの趣旨と読み取れる。
サリバン補佐官は前日、中国の楊潔チ外交担当政治局員との電話会談で「北朝鮮の核・ミサイル活動に対する憂慮と、それが中国に利益にならないという点を直接話した」とし「中国は北朝鮮の挑発的行動の可能性を減らすために自身ができる措置は何でも考慮しなければならない」と述べた。北朝鮮の挑発を抑制するよう、影響力行使を要求したのだ。
また、韓米が国外の原発市場の共同進出と次世代原発である小型モジュール原発(SMR)の技術協力をすることを決めたのも、同分野に強みのある中国を牽制しようとするものだという解釈が出ている。
こうした中で、尹錫悦大統領は20日、韓国のIPEFへの加盟に中国が反発していることに関して「ゼロサムと見る必要は全くない。(中国との)経済関係をうまくやっていく」と述べた。