「一本の釘が足りなかったために蹄鉄が失われ、蹄鉄が足りなかったために馬を用意できず、(馬が足りなかったために騎士が乗れず、騎士が足りなかったために戦に負け、戦に負けたため)王国が滅びた」
2021年2月、ジョー・バイデン米大統領は半導体サプライチェーン再編戦略を盛り込んだ行政命令に署名する際、このように述べた。半導体は部品に過ぎないが、私たちの日常を支配するデジタル世界の利便さ、第4次産業革命の成否、そして技術覇権の行方を決める。
半導体はこれまでグローバル化の象徴だった。付加価値の高い製品設計は米国と欧州が担当し、製造と組み立ては台湾と韓国が担当した。中国は後方産業の生産と巨大な消費市場だった。比較優位に基づいた相互依存で費用を抑え、効率を高める「生産のグローバル化」で、半導体産業がここまで来た。だが、これからは違う。グローバル化の時代は終わった。
ところが人工知能や5G、モノのインターネット、自動運転車などデジタル革命の加速化で半導体の需要が爆発的に増えた。供給が需要に追いつけず、半導体騒動が発生し、ついに米国と欧州の自動車工場が半導体がないために稼動を中断する事態が起きた。先月バイデン大統領が韓国に来た時、サムスンの半導体工場を初めて訪れたのも、このような背景からだ。
需要が爆発したが、サプライチェーンは分離している。米国は輸出規制で、中国の代表的な情報通信企業の「華為技術(ファーウェイ)」による米国企業への半導体供給の道を塞いだ。さらに、再輸出禁止条項で米国産の部品と技術が一定水準含まれた他国の半導体の供給も阻止した。また、米国は半導体の技術競争力の主要装備であるオランダ企業の露光装備の供給を防ぎ、中国の半導体の未来を封鎖した。
サプライチェーン危機に対応し、技術覇権を維持するために、米国は国内で完結する産業環境を整えようとしている。米国企業の生産能力を増やし、韓国と台湾の半導体企業を誘致した。脱グローバル化の霧の中で、韓国はどうすべきか。米国が主導する同盟国中心の新しいサプライチェーンの再編に参加しなければならないが、相互利益の調和が自然に実現するわけではないだろう。ブロック内部では分業と協力が増えるが、同時に受注と技術競争も避けられない。ファーウェイに対する米国の制裁は、事実上初めてではない。1980年代後半、米国の制裁で日本の半導体産業が没落したことを忘れてはならない。
脱グローバル化はこれから始まる。サプライチェーンの分離過程で、米中利益の衝突の間で、過剰投資と需要の限界の間で、バランスを失ってはならない。アルビン・トフラーの言う通り「戦略がなければ、他人の戦略の一部になる」。特に政府の役割が重要だ。「政府の介入を減らし、市場に任せよう」という新自由主義の論理は、半導体産業には通じない。米国は言うまでもなく、中国、台湾、日本いずれも半導体産業育成のために総力をあげている。
戦略の核心は、できるだけサプライチェーンの予測不可能性を減らすことだ。サプライチェーンの危機は当分続くだろうし、ロシアが半導体の主な原料を武器化しているため、泣き面に蜂の状態だ。ライバル国の台湾は材料、部品、装備の輸入依存度を下げ、可能な限りサプライチェーンの現地化と国産化を図っている。韓国も、2019年に日本が半導体の主な材料の輸出を規制した時、政府と大企業、そして中小企業が協力し、フッ化水素をはじめとする材料の国産化に成功した。危機の贈り物である材料、部品、装備関連の企業間の協力を制度化しなければならない。
しかし、スローガンは飛び交うが、現実は依然として劣悪だ。産学研の協力、大企業と中小企業の共存は、昔から叫ばれてきた。答えはいつも現場で探さなければならない。サプライチェーンの混乱で原材料価格が急騰したことを受け、大企業は原価引き上げの負担を下請け業者に転嫁している。全国的に納品単価の現実化を要求する中小企業の叫び声が鳴り響いている。国会は今回こそ納品単価連動制を必ず法制化しなければならない。多くの技術的な問題があるのは承知の上だ。しかし、今は大企業の利益保護にこだわる時ではない。
半導体、特に非メモリー半導体分野の場合、典型的な下請け問題に直面している。サプライチェーンの危機で生産単価が上がったのに、費用の上昇を元請け企業が反映してくれなければ、結局、中小企業が革新する基盤は崩れる。これからは世界最高水準の半導体メモリーの成果を土台に、真の競争舞台である非メモリー半導体に向かって進まなければならない。人に投資しなければならないと口で言うだけではなく、教育改革で持続可能な産学研協力を行動に移すべきだ。大企業と中小企業が共に成長する革新的な環境なしに、脱グローバル化という遠い道のりを進んでいくことはできない。