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韓国、金融市場の不安に続き実体経済の体感指標も「暗雲」

登録:2022-06-27 06:32 修正:2022-06-27 07:36
製造業の体感・展望指数も急落傾向 
7月の見通し、約2年ぶりの最低値 
輸出企業の第3四半期の見通しは「第2四半期より悪い」
/聯合ニュース

 韓国の金融市場の不安に続き、製造業と輸出など実物経済の体感・見通し指標も急激に冷え込んでいる。「3高」(高物価、高金利、ドル高・ウォン安)の余波による実物景気の低迷が本格化するだろうという憂慮が大きくなっている。

 産業研究院は、主な業種別の専門家174人を対象に「専門家サーベイ指数」(PSI)を調査(6月13日~17日)した結果、6月の製造業業況指数は76で、5月(91)より15ポイント下落したと26日に発表した。5月に前月よりも11ポイント下がり基準線の100を下回ったのに続き、2カ月連続で2桁の下落を記録したうえ、その幅も大きくなった。これは新型コロナウイルス感染症の大流行初期の2020年5月以来、最も低い数値だ。

 7月の製造業展望指数はさらに大幅に下落した。今月(94)より17ポイント低い77にとどまり、約2年ぶりの最低水準となった。この指数が100以上の場合は前月より改善されたか、改善されるだろうという意見が多く、100以下の場合はその逆という意見だ。

 6月の業況指数を部門別に見ると、内需(76)と輸出(80)ともにそれぞれ19ポイント下がった。生産(86)は15ポイント、投資額(92)は9ポイント、採算性(69)は14ポイント減少した。業種別では造船を除く半導体や自動車、機械、鉄鋼など大半が基準線を下回った。

 何よりも好調を見せてきた輸出の見通しが日増しに悪化している。韓国貿易協会が同日発表した今年第3四半期の輸出産業景気展望指数(EBSI)は94.4で、第2四半期(96.1)よりさらに下落した。同指数が基準線(100)を下回ったのは、2020年第2四半期以降初めて。この指数は国内1301の輸出企業を対象に調査(5月30日~6月10日)したものだが、100を下回れば輸出景気が直前四半期より悪くなると予想する企業が多いという意味だ。

 品目別に見ると、自動車(部品)やプラスチック、ゴム、鉄鋼、非鉄金属など11品目の輸出が前期より悪化すると予想された。一方、船舶(造船)や半導体、化学工業などは第3四半期にも輸出拡大が予想された。医療・精密・科学機器、電気・電子などでは第2四半期とほぼ同じ水準を維持するというのが大方の見通しだった。

 輸出企業は第3四半期の輸出の危険要因(複数回答)として、原材料価格の上昇(84.9%)や物流費用の上昇(74.4%)を多く挙げたが、為替変動性の拡大(32.7%)という回答も前期(22.5%)より10ポイント急増した。過去とは異なり、為替レートの上昇(ドル高・ウォン安)による価格競争力の上昇要因より、輸入原材料価格の上昇負担がさらに大きいためだと貿易協会は分析した。貿易協会のキム・ミヌ首席研究員は「最近の原油価格・原材料の上昇と不安定な原材料需給などが輸出見通し悪化の主な原因」だとして、「世界的な物価上昇と金利引き上げの加速化などで、輸出環境の不確実性はさらに拡大するだろう」と予想した。

韓国の輸出企業の貨物を積んで釜山港を後にする船舶=HMM提供//ハンギョレ新聞社
キム・フェスン先任記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/1048505.html韓国語原文入力:2022-06-2616:04
訳H.J

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