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韓国式デジタル資産基本法では仮想通貨「ルナ事態」を防げない

登録:2022-05-18 20:15 修正:2022-05-19 07:09
韓国より先に基本法案を用意したヨーロッパ 
ステーブルコインの潜在的リスクに注目 
 
“取引所不公正遮断”を焦点にした韓国とは違い 
資産連係トークンの発行を主体に規制賦課
18日ソウル市瑞草区のビッサム(Bithumb)顧客センターの大型モニターにルナのチャートが表示されている/聯合ニュース

 韓国金融当局が仮想通貨「ルナ暴落」事態による利用者の被害状況に神経を尖らせるなかで、政界でも対策準備を強調し、国会に係留中の「デジタル資産基本法」の導入に弾みがつくか注目される。ただし、現在までに発議された法案は概して暗号資産事業者の不公正行為を遮断することに焦点が合わされており、究極的には「第2のルナ事態」の予防は困難と指摘されている。欧州はすでに2020年からステーブルコインを含む暗号資産規制法案の導入に踏み出した。

 現在、韓国国会には仮想通貨と関連した制・改定法案が13件発議されている。このうち「暗号資産」または「デジタル資産」という名前の基本法制定案は計7件だ。これらの法案は、暗号資産事業を営むには金融当局に申告、あるいは許可制とし▽投資家保護のために予備の据置金を別途保管するよう定め▽事業者が金融監督院や金融委員会の監督・検査を受ける、などの内容で構成されている。暗号資産業を制度圏内に入れ当局の規制を受けさせるという趣旨だ。

 だが、このような法案内容だけでは今後同様の問題が起きることを予防できないという指摘がある。テラUSDやルナの価格が暴落した問題は、コイン取引を仲介する暗号資産事業者に原因があったというより、コインの価値を他の資産と連動させるステーブルコインのアルゴリズムの失敗に起因するためだ。ステーブルコインは、米ドル・ユーロなどの単一法定通貨に連動するトークンと、テラUSDやルナのように複数の法定通貨や商品・仮想資産などの価値に連動して発行される「資産連係トークン」(asset-referenced token)に大きく分かれる。

17日午前、ソウル市瑞草区のビッサム(Bithumb)顧客センターのモニターに最近暴落したルナの現在の相場が表示されている/聯合ニュース

 欧州では、すでにこうしたステーブルコインの潜在的リスクに注目し、2020年9月に暗号資産規制のための基本法案を設けた。欧州連合(EU)の暗号資産規制基本法は、資産連係トークンの発行主体を領域内設立法人に限定し、これらがコインを発行する時に管轄当局の承認を受けるようにした。発行主体に対しては、準備資産関連規制、定期的外部監査、価格安定メカニズム、公示事項、自己資本などの関連規制を賦課している。この法案は3月に欧州議会の経済通貨委員会を通過しており、早ければ6月頃には最終確定すると予想される。

ノ・ジウォン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/finance/1043377.html韓国語原文入力:2022-05-18 18:45
訳J.S

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