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紙くずになった韓国産仮想通貨「ルナ」…金融当局が手を出せない理由とは?

登録:2022-05-15 21:07 修正:2022-05-16 06:53
金融当局は「鋭意注視中」というが、事実上放置 
被害把握・コイン発行業者の検査・監督などに法的根拠なし 
国政課題「デジタル資産基本法」…取引所の義務強化など必要
仮想通貨関連イメージ=ゲッティイメージバンク//ハンギョレ新聞社

 韓国産の暗号資産(仮想通貨)のルナ(LUNA)、テラUSD(UST)の価値が99%以上暴落した、いわゆる「ルナ事態」による被害者が続出している。韓国国内の主要暗号通貨の取引所が相次いでルナを上場廃止するなどの措置に出た中で、金融当局も「鋭意注視」しているが投資家保護のための直接的措置は何もしていない。

 金融委員会の関係者は15日「関連法令がない状況であり、(仮想通貨の)市場の状況がどのように変わっているか、国内の取引所を通じて確認すること以外にはできることがない」として「株式市場のように取引所に上場廃止を強制する措置を取ることはできない」と話した。金融監督院の関係者は「(ルナ事態が)既存の金融圏のリスクに転移するおそれがあるかどうかを確認している」と明らかにした。今月1日までルナは韓国内外で10万ウォン台で取引されていたが、6日頃から価格が下がり始め、9~10日には99%以上暴落し、13日午後には1ウォン水準まで下がった状態だ。

韓国国内の仮想通貨ウォン貨の取引所のアップビットは13日、ルナに対する取引支援の終了(上場廃止)決定を下した=アップビットの公式ホームページ画面キャプチャー//ハンギョレ新聞社

 ルナ事態により韓国国内のコイン投資家が大きな損失を負ったと推定されるが、現時点では金融当局が正確な被害実態を把握することも、このコインの発行企業を相手に検査や監督に乗り出すこともできない。法的根拠がないためだ。株式市場の場合、特定企業の株価暴落事態などが起これば、資本市場法に則り金融当局が株価操作行為や会計操作があったかを調査・監督できる。だが、昨年末から施行中の暗号資産関連法である特定金融情報法は、取引所など仮想資産事業者のマネーロンダリング行為だけを監視できる。金融当局がルナを発行するブロックチェーン企業「Terraform Labs社」に資料を要請するなど、監督・調査・検査を通じてできる投資家保護措置はないという意味だ。

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の公約であり、政府国政課題にも含まれた「デジタル資産基本法」が導入されるならば、こうした問題は解決されるだろうか。金融委員会が来年用意し2024年に施行する計画だと知らされたこの法は、コイン不当取引収益などは司法手続を踏んで全額還収▽不完全販売・相場操縦など不公正取引の調査後、司法手続を経て不当収益還収▽ハッキング、システムエラーの発生に備える保険制度の拡大▽デジタル資産取引口座と銀行を連係させる専門金融機関の育成が同法の核心内容だ。

 この法案の最大の限界は、海外発行資産を規律できない点にある。ある金融圏関係者は「業圏法を作ればコインの発行から流通まで利用者を保護するということだが、ルナのように海外で発行されたコインまで国内法ですべて扱えるかは疑問」と話した。Terraform Labs社の最高経営者(CEO)のクォン・ドヒョン氏は韓国人だが、本社はシンガポールにある。

 そのため韓国国内の取引所に適切な義務を付与しなければならないとの見解が多い。この関係者は「海外発行コインを韓国国内の取引所に上場する場合、取引所が該当コインのリスクを十分に検討したか否かを調査することはできるとみられる」と話した。

 また、事後収拾策より事前予防策をさらに積極的に法案に含めなければならないとの指摘もある。例えばテラのように、安定性を強調するステイプルコインの場合は、暗号資産を裏付ける用途に「実物資産」を活用させる方案が可能だということだ。ある金融圏関係者は本紙との通話で「『ルナ事態』の再発を防止するには、暗号資産を暗号資産で裏付けるのでなく、実物資産を第三者に預託させることが代案になるのではないかと考える」と話した。

ノ・ジウォン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/finance/1042892.html韓国語原文入力:2022-05-15 17:28
訳J.S

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