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ウクライナの戦雲に計算は複雑…韓国の造船企業

登録:2022-02-24 01:53 修正:2022-02-24 08:18
ロシアがガスパイプラインを閉めればLNG船の発注増加予想 
米国が金融制裁に乗り出せばロシアからの受注プロジェクトが心配
大宇造船海洋が世界で初めて建造した砕氷液化天然ガス(LNG)運搬船が、氷を割って航行している=大宇造船海洋提供//ハンギョレ新聞社

 米国政府がウクライナ事態を口実としてロシアへの経済制裁に乗り出す動きを見せていることを受け、韓国の造船業界の計算が複雑になっている。韓国の造船業界に及ぼす肯定的な影響と否定的な影響が入り混じっているからだ。まず、欧州へとつながるロシアのガスパイプラインが閉鎖された場合は、韓国の造船企業に液化天然ガス(LNG)運搬船の注文が殺到する可能性が高い。韓国はLNG運搬船市場で優位に立っている。一方、米国の経済制裁措置でドル決済が禁止されれば、ロシアの船会社の注文を受けてすでに製作に入っている船舶の建造代金がきちんと受け取れなくなる可能性が高くなる。

 証券業界の23日の話によると、この日の韓国の造船企業の株価は軒並み上昇した。韓国造船海洋は前日の終値比から6.97%、サムスン重工業は6.65%上昇。とりわけ大宇造船海洋は21.9%の大幅な上昇だった。背景には、LNG運搬船の受注増加への期待がある。

 ロシアは欧州に対する天然ガスの最大の供給者だ。欧州の天然ガス必要量の40%ほどがロシアから供給されている。主にガスパイプラインを通じての供給だ。ロシアが経済制裁に対する報復の観点からガスパイプラインを閉鎖することもありうるとの懸念が高まったことで、欧州は輸入先を多角化するために韓国の造船企業にLNG運搬船を発注するだろうとの見方が出ている背景には、これがある。

 韓国の造船企業はLNG運搬船市場の圧倒的な強者だ。韓国造船海洋、大宇造船海洋、サムスン重工業は昨年、世界のLNG運搬船発注量の87%を受注している。サムスン証券のハン・ヨンス研究員は、「天然ガスに関しては、むしろ今後LNG関連の設備の発注が増える可能性もある。今後、ロシアからパイプラインを通じて天然ガスを輸入する欧州諸国が、戦略的に(パイプライン以外の方法での)LNGの輸入割合を拡大する可能性がある」と説明した。

 このような期待から国内の造船企業各社の株価は上昇したものの、各造船企業は今回の事態を鋭意注視している。米国の経済制裁が資金決済の禁止にまで拡大すれば、ロシアから受注した船舶建造プロジェクトの進行に支障が生じる恐れもあるからだ。サムスン重工業は、ロシアのズベズダ造船所と共同で10隻あまりのLNG運搬船を建造中。大宇造船海洋も、ロシア海上に投入される「LNG貯蔵・積み替え設備(LNG FSU)」を製造中だ。

 造船各社は、船舶の代金を建造段階ごとに分けて受け取る。数百億ウォンから数千億ウォンの建造代金は一度に支払うことが難しいからだ。特に2008年のグローバル金融危機以降は、船舶引き渡しの時点で建造代金の大半を受け取る「テールヘビー」方式が一般的に用いられている。船舶の建造が完了しても、建造代金のかなりの部分が受け取れないという状況が発生しうるのだ。造船業界のある関係者は本紙の電話取材に対し「ドル決済が不可能になれば、ウォンで代金を受け取らなければならないという困った状況が発生しうる。政府と共にロシアの状況を鋭意注視している」と内部の状況を語った。

アン・テホ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/marketing/1032274.html韓国語原文入力:2022-02-23 16:10
訳D.K

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