韓国産業銀行のイ・ドンゴル会長が、現代重工業と大宇造船海洋の合併を許可しなかった欧州連合(EU)を相手に訴訟を起こすべきだと述べた。合併が最終決裂した場合、大宇造船の新たな引受先を探すことは続ける予定だという立場も表明した。双竜自動車の買収に乗りだしたエジソンモーターズ側には、改めて疑問を提起した。
イ会長は27日、オンライン記者懇談会で、「EU執行委員会の合併不承認は、徹底的な自国利己主義に基づいた決定であり遺憾だ」と述べた。イ会長はさらに、「訴訟を起こすのかどうかについては現代重工業次第だが、勝訴の可否は関係なく、大韓民国の産業がEUの決定に一方的に引きずられはしないということを示す必要があり、訴訟は必要だと思う」と付け加えた。これに先立ち、EUの独占禁止当局は13日、現代重工業が申請した大宇造船海洋との企業結合を不許可とした。両社が合併した場合、欧州市場で液化天然ガス(LNG)船市場を独占または寡占する懸念があるという理由からだ。
イ会長は、現代重工業による訴訟の可能性があるため、公式の合併終結の決定は先送りすると述べた。最終的に合併取り消し決定をした場合、大宇造船の再売却を推進する計画だと語った。イ会長は「国策銀行による管理が長引くほど、大宇造船は市場で生き延びる野性を喪失するだろう。韓国の造船業の発展のためには、大宇造船の引受先を探すことが必要だ」と述べた。イ会長はそう述べつつも、大宇造船の正常化の可能性を確認することなく産業銀行が追加の支援を行うことは不可能だと強調した。
双竜自動車とエジソンモーターズのコンソーシアムによる買収合併手続きについて、イ会長は、エジソンモーターズによる買収の推進方法に否定的な考えを示した。イ会長は「エジソン側が明らかにしたような、純資産規模が8000億ウォン(約770億円)に達する企業が、商取引債権者に債券の3~5%だけを残して他は帳消しするよう要求することに、商取引債権者が納得するのか疑問を感じる」と述べた。イ会長はさらに、「商取引債権を減らし、残りの資産で借金して事業を行うということは、典型的なLBO(レバレッジド・バイアウト)だ。自己資金を入れずに企業を買収するという構造であり、最悪の構造」だと批判した。買収対象企業を担保に資金を借りるLBOを、買収対象の企業に損害を与える背任行為だとみなした。イ会長が、エジソンモーターズが便法でLBO方式を用いようとしていると批判したものと読みとれる。イ会長は昨年11月にも、「エジソンモーターズによる双竜自動車の発展戦略には疑問を感じる」「一部の投資家が不動産投資を目的に買収に参加したという懸念がある」と述べ、エジソンモーターズ側の双竜自動車の買収計画は信頼できないという考えを表明したことがある。
イ会長は、双竜自動車の復活計画案への同意の可否については、「既存の債務をどう返済するのかに焦点を合わせ、意思決定するだろう。すべて担保債券であるため、担保だけ維持できるのであれば、同意しない理由はない」と語った。それとともに、「双竜自動車の復活計画案に同意するからといって、エジソンモーターズ側が提示した事業計画に同意するということではない」という言葉も付け加えた。
イ会長は最近、野党「国民の力」のユン・ソクヨル大統領候補が、韓国産業銀行を釜山(プサン)に移転すると公約したことについて、「金融市場を理解できていない側面がある。韓国産業銀行が釜山に行ったとしても、資金が釜山に行くのではない。得より損失が多い」と述べ、反対の立場を表明した。