本文に移動
全体  > 経済

韓国政府の造船業界の「ビッグ2」戦略失敗…再び独り立ち迫られる大宇造船

登録:2022-01-14 04:12 修正:2022-01-14 08:13
EU、現代重工業と大宇造船のM&A認めず 
 
大宇造船、融資の満期をすでに延長 
買収中止にも直ちに影響はなく 
景気良く、3~4年分の受注あり 
外部資本の投入なしで耐えられるかどうかがカギ 
「低価格受注」競争の過熱も懸念される
現代重工業が建造した大型コンテナ船=現代重工業提供//ハンギョレ新聞社

 欧州連合(EU)が13日(現地時間)、現代重工業グループによる大宇造船海洋の買収に待ったをかけたことで、造船業界に波紋が広がっている。

 まず、大宇造船海洋の民営化が振り出しに戻った。大宇造船は今後、国策銀行の管理の下、独り立ちしながら新しい買い手を探さなければならない。国内造船業界の再編にも支障をきたすことになった。「ビッグ3」の造船会社を「ビッグ2」に統合し、国内企業間の競争過熱を防ぐという韓国政府戦略が実現できなくなった。現代重工業グループや大宇造船海洋に及ぼす影響も関心事となっている。ただし、今のところ、直接的な影響はそれほど大きくないというのが大方の見通しだ。

 大宇造船海洋の債権団幹部は本紙の取材に対し、「産業銀行など債権団は大宇造船の融資の満期延長などの措置を取っている。両社に大きな影響を及ぼすことはない」と語った。これに先立ち、産業銀行などの債権団は昨年末、大宇造船海洋に貸した融資金約2兆ウォン(約1930億円)の満期を今年末まで延長した。買収が実現しなくても、大宇造船海洋に政府資金の支援が必要な状況ではないという意味だ。当初、現代重工業側は大宇造船海洋を買収した後、1兆5千億ウォン(約1450億円)規模の資金を投入する計画だった。

 大宇造船海洋の民営化を決定した2019年当時は不況に見舞われていた造船業も、最近は持ち直している。実際、大宇造船海洋の受注残高は昨年末基準で237億ドル(116隻)であり、3~4年分の仕事を確保している。海運業の好況に後押しされ、昨年の新規受注額が2020年に比べて2倍ほど増えた109億ドルに達した。

 大宇造船海洋が船舶建造などで実際に得た現金は、昨年1~9月は4600億ウォン(約450億円)規模で、2020年1~9月の2800億ウォン台(約270億円)の赤字から黒字に転じた。現代重工業グループも大宇造船海洋の買収を進める過程で、造船業の中間持株会社(韓国造船海洋)を立ち上げ、その下にグループ内の造船会社を集中させる支配構造再編をすでに完了した。

 しかし、実際の状況はそれほど楽観的ではない。金融当局関係者は「造船業況が過去より改善されたのは事実だが、大宇造船海洋が外部資本の投入なしに少なくとも3~5年間独自で生き残れるかどうかがカギ」だと指摘した。信用格付け会社のある造船業担当者も「業況が持ち直す入り口の段階にあるのは事実だが、受注産業の特性上、最近の船価引き上げが実際の業績に反映されるまでは時間がかかる」とし、「大宇造船海洋の場合、債権団が購入した永久債(満期のない債権)が会社の自己資本として計上されるなど、表向きの財務数値より実際の状況があまり良くないとみている」と診断した。今後、造船業況や原材料価格の騰落など対外環境の変化によって、政府の追加支援が必要かもしれないとみているのだ。

 現代重工業側にとっても今回の買収の白紙化は少なからぬ打撃だ。国内造船会社間の低価格受注競争など「チキンゲーム」が再び繰り広げられる可能性があるからだ。

 さらに大きな難題は、大宇造船海洋の新しい買い手探しだ。欧州連合が成長の見通しが明るい高付加価値船舶である液化天然ガス(LNG)運搬船の建造市場を独占する恐れがあると指摘し、企業結合に反対したため、サムスン重工業のような既存の大手造船会社は新しい買い手候補として名乗りを上げることができない。他の大手企業にとっても大宇造船海洋の買収誘因は大きくない。造船業は注目すべき成長産業ではない上、今の業況はかつてのような好況でもないからだ。

 これに先立ち、大宇造船海洋は2008年、ハンファグループが買収を推進したが、世界金融危機の影響を受け、売却とや民営化は白紙化された。その後、政府が大宇造船海洋の経営悪化を受け、2015年と2017年の2回にわたり融資や出資転換(融資を株式に転換)などで支援した金額だけでも7兆1千億ウォン(約6900億円)に上る。通貨危機直後、20年以上大宇造船海洋を支援し、批判を受けてきた政府としては、負担にならざるを得ない。

 金融当局関係者は本紙に「これまでEUの買収審査が続いてきたため、買収の白紙化を念頭に置いて他の候補群と接触することはできなかった」とし、「今後、造船業の景気などを総合的に考慮しながら対応する計画」だと明らかにした。

パク・チョンオ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/economy/marketing/1027257.html韓国語原文入力:2022-01-13 22:43
訳H.J

関連記事