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韓国の外国為替・資金市場は安定傾向へ…株価の下げ幅は限られる見込み

登録:2022-02-07 04:18 修正:2022-02-07 07:18
Weconomy|チェ・ソグォンの賢い投資
//ハンギョレ新聞社

 今年に入って韓国証券市場の変動性が大きくなっている。基本的には金融引き締めの影響で株安が目立ったとみられるが、1月末から急反発が現れるなど、混乱した市場状況が続いている。このため、投資家の立場も大きく分かれている。一部では、今後予想される緊縮政策に比べ、現在の株価は高評価されているため、今後も株価が大幅に下がるだろうと予想しており、他方では緊縮政策の過去の事例から見て、すでに株価下落は十分進んでおり、今後市場は安定するだろうと予測している。

 急激な株価下落の予想には、それなりの根拠がある。一部の技術株の高評価問題もあるが、高止まりを続けている物価や原油価格、米連邦準備制度(Fed)の金融引き締めに向けた強い意志などを背景に、流動性の吸収が景気と証券市場の低迷につながると懸念しているのだ。しかし、今のところは、国際通貨基金(IMF)の通貨危機や2008年の金融危機、一昨年のコロナパンデミックで現れたような証券市場の大幅な下落が現れるとは思えない。何よりも、グローバル証券市場を大きな危険に陥れる外国為替や資金市場の混乱が見られないからだ。

 これと関連して、現在、米国金融機関間の短期資金取引金利とフェデラルファンド(FF)金利の差であるオーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)スプレッドは、10bp(1bp=0.01%)未満で動いており、韓国の5年満期国債のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)プレミアムは20bp水準にとどまっている。また、金融引き締めの懸念にもかかわらず、各国の名目市場金利は物価上昇率の下で動いている。証券市場は不安だが、かつての危機状況に比べ、全般的な金融システムは安定していることを示している。

 証券市場を判断する際、外国為替や資金市場、債券市場の状況を注視する理由は簡単だ。多くの場合、株価暴落の主な原因がこれら市場の不安定にあったためだ。実際、株式の基本的価値は企業の資産と利益展望値によって動くため、一瞬にして数十パーセントも変化することはない。もちろん、特定企業が破産する可能性が高い場合は、このような現象が現れかねない。だが、通貨当局の引き締めだけで多くの企業の状況が極端に悪化する可能性は低い。何よりもそのような状況になれば、通貨当局の政策そのものが影響を受けるためだ。

 過去の経験からして、国別に違いはあるものの、一般的な緊縮政策と景気低迷の局面で、株価の下落幅は20~30%程度にとどまり、それを上回る大幅な株価下落は主に機関投資家が安定性のため、やむを得ず株式を含めた資産を売却しなければならない状況で現れる。特に、一部の金融機関が自国通貨表示による資金の調達、ひいては外貨調達が難しい環境になり、金融機関の相互信頼度が崩れると、このような現象はさらに明確になる。通貨危機や金融危機の状況で起きたグローバル金融機関同士の取引金利の高騰や、新興諸国の為替相場と外貨調達金利の高騰は、各金融機関が自主的な安定性を保つため、自国通貨表示資金や外貨確保に乗り出し、逆に他金融機関への資金提供に消極的になったことで現れた現象だ。

 こうなると、各金融機関は保有する資産を売却して現金の確保に乗り出し、結局、資産価格は急激に下落することになる。また、それ以前の段階の資産価格の上昇が負債に依存した程度が大きいほど、信用リスクが大きい企業や国家の資本ほど価値の下落幅はさらに大きくなる。投資家らが保有している資産のうち、リスクの高いものを先に売りさばこうとするからだ。新興国のCDSプレミアムが高騰するのはこのためだ。逆に外国為替や資金、債券市場でそのようなリスクが統制される時は、株価の下落幅も限られるという点が重要だ。売らなくてもいい余裕があれば、基本的な価値より大きく下落した価格で株を売る理由がないからだ。

 まだ引き締めの初期段階であり、費用面の物価上昇が収まらない場合、景気低迷を甘受するほど引き締めのスピードを高める可能性もあるため、実際に物価の安定が確認されるまでは、証券市場の変動性は引き続き大きいものとみられる。しかし、外国為替、資金市場が安定を維持する限り、すでに落ちている株価の下げ幅は限られると判断される。変動の恐怖に振り回されるよりは、平常心を保って見守る時だ。

チェ・ソグォン|SK証券知識サービス部門長(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/economy/finance/1029929.html韓国語原文入力: 2022-02-07 02:00
訳H.J

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