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韓国、建設機器・バスまで尿素水「非常事態」…「半月ほどで底をつく」

登録:2021-11-10 03:36 修正:2021-11-10 08:02
「1万ウォンのものが10万ウォンに、それすらない」 
建設現場の車両53万台中17万台が非常事態 
セメント製造にも月1万2千トン必要 
生コン業界「政府の対策だけを待っている」
9日、全羅北道益山市の体育館の前に尿素水を求める人が殺到している。益山市と全羅道唯一の尿素水メーカーであるアトン産業は、この日から地域住民に尿素水を直接販売することを決めた。販売は土日祝日を除く平日の午前10時から午後4時まで=益山/聯合ニュース

 「2~3本なら10日ほどで使い切ります。明日は近所の産業用尿素水を作る工場に行ってみようと思います。先週の金曜日に2万ウォン(約1920円)で10本ずつ売ったと言っていたもので」

 2015年以降に製作された掘削機を江原道で運用しているBさん(40)は、尿素水供給難の中、掘削機を動かすのに必要な尿素水を求めてあちこち尋ね回っていた。掘削機、ダンプなどの建設機械は個人事業主が多いため、尿素水の確保は完全に個人の問題だったが、尿素水供給難にあっては彼らが働く建設現場にも被害が広がる兆しが見られる。Bさんは「近くのある発電所の工事現場でも、尿素水を提供していたガソリンスタンドが今は尿素水を持ってきてくれないという。15トントラックは尿素水を使わないものもあるが、25トンはおおむね尿素水を使用する。尿素水が買えなければ重機を止めなければならないが、そうなると現場も回らない」と述べた。

 尿素水供給難が長期化する場合、物流現場はもとより、建設現場や公共交通にまで、あらゆる分野へと被害が広がる恐れが高まっている。

 9日に国土交通部が把握した省庁管轄の尿素水を必要とする車両は、物流業界の営業用貨物車55万台、建設業界の建設機械17万台、公共交通機関のバス2万台の計74万台あまり。車両ごとに尿素水の必要量は異なるが、昨年の車両用尿素の輸入量が8万トンであることを考慮すると、年間の尿素水の需要量は22万トン程度とみている。

 営業用貨物車にとどまらず、建設機械での需要量も少なくないことから、尿素水供給難が物流のみならず、建設現場にも影響を及ぼす可能性が高いのが現状だ。

 全国で登録されている建設機械27種53万台中、2015年以降に生産され、尿素水を使用する車両は17万台。17万台の中では掘削機が7万台と最も多く、フォークリフトが5万台、ダンプが2万台、タンクローリーが1万台。特に掘削機は2~3日で10リットル入り1本を使い切り、建設機械の中でも使用量が多い。フォークリフトは月に2本ほどと、必要量が相対的に少ない。国土部がひとまず建設機械協会などを通じて業界の事情を把握したところ、工事中断などの被害が発生したところはまだない。業界関係者は「在庫は十分ではないが、冬季には建設機械の需要が減るため、業界では11月までは持ちこたえようという雰囲気」と述べた。

ダンプ、タンクローリー、掘削機などの建設機械労働者が9日午前、ソウル光化門の政府ソウル庁舎前において全国建設労働組合の主催で行われた記者会見で、尿素水不足で生計が脅かされているとして、問題解決を求めている=シン・ソヨン記者//ハンギョレ新聞社

 5万台あまりの全国の路線バスのうち、尿素水を使用する車両は2万台あまりと推計される。国土部が把握したところによると、バス会社が確保している尿素水の在庫は1カ月分ほど。尿素水供給難が長引けば、バスの運行削減のような事態を招きかねない。

 建設資材を生産するセメント・生コン業界も非常事態に陥った。セメントは天然の石灰石を焼成炉に入れて超高温で加熱して作られるが、この過程で発生する莫大な量の窒素酸化物を除去するために尿素水が使われる。韓国のセメント業界が使う尿素水は月1万2000トンあまり、年間で約15万トンに達する。業界は、今月末までは生産設備が稼動中止になる事態には至らないと予想しているが、尿素水供給難が長期化すれば生産に支障を来たすと憂慮している。

 セメントや骨材を原料として使う生コンの生産や供給にも支障が出ることが懸念される。セメントを大量運搬する「バルクセメントトレーラー(BCT)」が尿素水を使っているうえ、生コン工場に骨材を運ぶダンプも尿素水不足で運行に支障をきたしているからだ。大手生コンメーカーの関係者は「生コンを建設現場に供給するタンクローリーは尿素水を使わない車両があるため問題はあまりないが、BCTとダンプは尿素水不足で運行に深刻な支障をきたしている。セメントと生コンは生産と物流が連動しているため、どこかの1カ所で問題を解決するということができないだけに、政府の尿素水非常確保対策に頼るしかない」と述べた。

チン・ミョンソン、チェ・ジョンフン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/1018512.html韓国語原文入力:2021-11-09 11:06
訳D.K

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