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再び浮上したサムスンの支配構造再編…何をどのように「改善」するのか

登録:2021-10-12 09:42 修正:2021-10-12 10:23
「再編」が「改善」と評価されるためには? 
明確な「支配株主牽制」の仕組み作りが必要
サムスン電子のイ・ジェヨン副会長/聯合ニュース

 サムスンの支配構造改善に関する事案を財界内外の関心の範囲内に再び引き入れたのは、サムスン順法監視委員会(順監委)だ。サムスングループの支配構造再編推進の土台であるイ・ジェヨン副会長が「4世への(経営権)継承を放棄する」と公開宣言したことも、順監委の活動と無関係ではなかった。

 サムスン順監委は先月30日、「2020 年間報告書」で「サムスン関係会社のタスクフォース(TF)が推進する外部コンサルティング業務の結果などを検討し、支配構造に関する改善活動を行う」と明らかにした。「サムスン支配構造改善」を今後の活動の中心に掲げ、積極的に介入するということだ。これは、昨年5月のイ副会長の4世継承放棄宣言後、しばらく関心を集めていたが水面下に沈んでいたサムスンの支配構造改善事案を再び浮上させた。昨年からボストンコンサルティンググループ(BCG)に任せて進めている支配構造再編案作りも、順監委の要請をサムスン側が受け入れる形で推進された。

 ボストンコンサルティングの草案すら出ていない状況であるため、再編案の方向性はもとより取り扱う範囲もまだ予測できないが、支配構造再編作業に取り掛かっている順監委側のムードから糸口を探ることができる。

グループの出資構造の再編が必要

 サムスン順監委に招聘され経営権継承をテーマに講演した支配構造分野の専門家は、「(サムスンの支配構造改善は)個別企業の支配構造ではなく、グループ全体の支配構造、持株の割合に関する問題だと理解している」と述べた。支配構造改善を、イ副会長のグループ支配力の基礎となる「サムスン物産-サムスン生命-サムスン電子」と連なる出資構造の再編とみる見方だ。

 同専門家は「サムスン生命のサムスン電子株保有から生じる問題(金産分離原則違反)などにも言及せざるを得ない」とし、「サムスン生命-サムスン電子」の出資構造を指摘した。保険会社が非金融系列会社の株を保有することを制限する保険業法の趣旨に合わせ、出資構造再編ロードマップをサムスンが打ち出さなければ、支配構造改善の意味が生かされないということだ。また、「順監委に法的権限はないが、一種の助言はできる。現在、この問題を提起できる主体は順監委だけだ」と強調した。

子女以外への継承方法を探す

 順監委側は「イ・ジェヨン以後」のトップ体制の構築に重きを置いている。順監委を率いるキム・ジヒョン委員長は、今年8月に本紙のインタビューに応じた際、「4世への継承放棄を前提に“トップクラス”をどう選ぶかという企業権力の創出方法が、結局(支配構造問題の)核心だ」と述べた。

 国内第1位の財閥であり、世界的なレベルにのぼる企業集団の未来に直接つながるという点で重大事であり、この中心テーマから派生する様々な課題についての議論と決定は、3世(イ・ジェヨン)時代の終わりよりもはるかに前に行わなければならない。経営権の違法継承関連で裁判中のイ副会長の役割と権限に一定の変化をもたらすことも、このような範疇に入る。ただし、イ副会長(53)の年齢を考えれば「3世以後のサムスン」は少なくとも十数年後のことと考えられ、いますぐ現実的な体感度を高めることはできない。

 順監委内部では、別の見方もある。順監委のある委員は「企業の支配構造といえば、個別企業の取締役会の機能を正常化するとともに、企業集団のガバナンスをどのように構成するかということだが、サムスンの支配構造改善ではこの二つを包括する概念として受け止めるべきだ」と語った。結局、「サムスングループで以前の『違法合併』のようなことが二度と起きてはならず、意思決定が合理的かつ透明に行われるようにするための課題」であるという説明だ。同氏は「(グループのコントロールタワーだった)未来戦略室が解体された後、『事業支援TF』がその役割をある程度果たしているが、これをどのように整備するかも支配構造再編と関連する主要事案」だと述べた。

継承ではない他の方法を探す

 市民社会や専門家グループの間では、支配構造再編の始まりは安定した取締役会中心の経営構造に落ち着くことだという声が強い。財閥専門家である仁荷大学のキム・ジンバン教授は、「支配構造改善の核は正しい取締役会の構成、その取締役会による最高経営責任者の選任」だと述べた。支配株主に偏らず「一般株主の意思まで反映した取締役会が最高経営責任者を選ぶ方式であれば、継承問題は自然に解決されるであろうし、その他の解決策はないだろう」という説明だ。経済改革研究所のキム・ウチャン所長(高麗大学経営学部教授)は、二つの課題を挙げる。「国政壟断事件」などの違法行為にかかわった人物を経営陣から一定期間排除すること、監査委員を全員分離して選出することを定款に定めることだ。キム所長は「サムスンの支配構造改善における核は、支配株主一家を牽制すること」だとし「その二つの課題だけを再編案に含めても100点だと思う」と述べた。

 国政壟断事件に照らし合わせてみると、一つ目の課題は取締役会に隠れて行われた横領行為と関連しており、二つ目は取締役会レベルで決定した「違法な合併(サムスン物産+第一毛織)」に関連している。順監委が設置され、支配構造再編を推進する背景となった国政壟断事件を考慮し、法と制度的な整備に先立ち先制的に牽制装置を設けることが望ましいという提案だ。

キム・ヨンベ先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/1014743.html韓国語原文入力:2021-10-1207:57
訳C.M

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