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自動車向け半導体不足…米サムスン電子工場シャットダウンなど相次ぐ供給網打撃

登録:2021-03-06 12:05 修正:2021-03-07 09:11
火災・地震・寒波・停電・水不足…需要予測の誤りも一因 
「構造的要因…解決は難しい」今年いっぱいショック深刻化
//ハンギョレ新聞社

 米国テキサス州の寒波と停電、同時に重なった福島の地震、そこに襲った台湾の冬の水不足…。.

 それこそ全てが一度にからまり、全世界で自動車向け半導体不足現象が深刻になっている。今年を通して自動車向け半導体の供給不足のショックが深まるだろうという見方が主流だ。産業通商資源部は4日、「自動車向け半導体は収益性や半導体設備の能力などの構造的要因を考慮すると、根本的解決は難しい」と公式に発表した。

 海外メディアなどの報道によると、米テキサス州のオースティン製造業協会のエドワード・ラットソンCEOは「オースティンの半導体工場の稼働再開が遅れている。5カ月後も自動車会社への影響が続くだろう」と述べた。先月、米国に吹き荒れた記録的寒波で電力供給が途切れ、サムスン電子のオースティン工場はシャットダウン状態が2週間以上続いている。同工場は、スマートフォンなどに使われる半導体だけでなく、テスラの電気自動車などに自動車向け半導体も供給している。周辺にある自動車向け半導体メーカーのNXPやインフィニオンも同じく稼動を中止している。電力はほぼ復旧したものの、水道管の凍結などで発生した水の供給問題が再稼動を困難にしている。

 自動車向け半導体の供給不足の兆しは、すでに昨年12月から現れている。昨年10月、火災により宮崎県にある旭化成の自動車向け半導体工場が止まったのだ。旭化成は茨城県にある別の半導体メーカーのルネサスエレクトロニクスに生産を委託したが、先月、この地域に地震が発生し、それさえも生産が止まった。

 結局、この1、2カ月間の自動車向け半導体の供給は、世界1、3位のファウンドリメーカーである台湾のTSMCとUMCが担うことになった。両社は主力のスマートフォン向け半導体の生産比率を減らし、自動車向け半導体の供給に乗り出したが、最近はもう一つの自然災害で困難に陥っている。雨が降らないことによる水不足で、生産に支障が生じる危険性が高まっているからだ。最近、台湾政府が両社の工場のある台湾中北部地域の工業用水の使用を7~11%減らすことを要求したが、TSMCの工場は立地するサイエンスパークの水使用量の10.3%を使っている。

 供給不足は自然災害のためだけではないという分析もある。KTB投資証券のキム・ヤンジェ研究委員は、最近発表した報告書で「コロナ禍による自動車メーカーとモジュール供給メーカーの誤った需要予測も半導体供給不足の一因」だと指摘した。自動車メーカーごとに消費萎縮を懸念して部品の注文を減らし、半導体メーカーもこれに合わせて自動車向けよりもパソコン・モバイルなど情報技術(IT)製品の生産比重を高めたという。期待を上回る電気自動車の需要の急増も一因だ。自動車には200~300個の半導体が入るが、電気自動車には電力制御システムやセンサーなどが増え、内燃機関車に比べて半導体が約2倍必要だ。

 自動車向け半導体は収益性が非常に低い。チップ1個の価格はわずか2ドル前後で、自動車1台当たりの半導体総単価は400~600ドル(車の価格の2~3%)水準だ。半導体メーカー側からみれば、自動車向け半導体の生産・販売は収益性が低いため、パソコンやスマートフォンの顧客企業より後回しにならざるを得ない。市場の供給が日増しに厳しくなり、完成車メーカー各社は1年分の自動車向け半導体の在庫物量の蓄積に、我先にと乗り出している。韓国投資証券は「他のライバル企業が12月から自動車向け半導体不足で断続的に減産に踏み切っているが、現代・起亜自動車は先制的な在庫蓄積のおかげで稼働中断時期を遅らせている」とし、「4月からは一部車種の減産が予想される」と語った。サムスン証券は「自動運転チップが装着され始めれば、電気自動車1台当たりの半導体価格は2000~3000ドルまで上昇する」と予想している。

チョ・ゲワン記者kyewan@hani.co.kr(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/marketing/985515.html韓国語原文入力:2021-03-05 07:32
訳C.M

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