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現代自動車、米国のロボット会社買収へ…ロボット産業への参入を本格的に開始

登録:2020-12-12 06:07 修正:2020-12-13 12:09
ボストン・ダイナミックスの2足歩行ロボット「アトラス」(Atlas)=現代自動車グループ提供//ハンギョレ新聞社

 現代自動車グループが米国のロボット会社「ボストン・ダイナミックス」を買収する。チョン・ウィソン会長が公に持ち株取得に乗り出した初の買収合併だ。ロボット産業への進出を本格的に始めた現代自動車グループの動きが関心を集めている。

 現代車グループは11日、現代モービスと現代グロービスの取締役会で、ボストン・ダイナミックスの企業支配株式を、日本のソフトバンクグループから取得する案件が可決されたと発表した。現代自動車は前日の取締役会で本案件を可決させた。

 これで、チョン・ウィソン宣会長と3社は、ボストン・ダイナミックスの持分計80%を保有することになった。チョン会長が20%、現代自動車が30%、現代モービスが20%、現代グロービスが10%だ。残りの持ち株20%はソフトバンクグループが保有する。現代自動車グループは「チョン・ウィソン会長の持ち株取得は、グループが今後本格化する未来新事業に対する責任経営を強化し、持続的な投資の意志を表明するための次元」と説明した。

 総契約規模は9000億ウォン(約860億円)台と推定される。現代自動車グループは同日、ボストン・ダイナミックスが計11億ドルの価値を認められたと発表した。これまでボストン・ダイナミックスの企業価値については具体的に知られていなかった。

ボストン・ダイナミックスの4足歩行ロボット「スポット」(Spot)がドアを開ける様子=ボストン・ダイナミックス提供//ハンギョレ新聞社

 ボストン・ダイナミックスは自社ロボット「スポット」でよく知られている。スポットは4足歩行ロボットで、階段の上り下りや自ら障害物を避けることもできる。最高速度は秒速1.6メートルで、ロボットに腕を付けるとドアを開けるなどの動作も可能だ。他の機械は接近しにくい所でも多様な業務を遂行するために作られた。学界ではハードウェアと人工知能を結合して機敏に動くロボットを制作したとして、概ね高く評価されている。

 ボストン・ダイナミックスについては、ロボットの商用化と収益性の確保が乗り越えるべき課題と指摘されてきた。3~4年ごとに持ち主が変わったことにも、こうした悩みが影響したものとみられる。これまで主に米国防総省のプロジェクトを遂行してきたボストン・ダイナミックスは、2013年にグーグルに買収された。当時、グーグルは6カ月間でロボット会社8社を買収し、人工知能(AI)とロボットを結合した新事業への期待を膨らませていた時期だった。しかし、わずか4年でソフトバンクグループに売却された。グーグル内部で「(ロボットでは)数年内に収益を上げるのは難しい」という判断があったという。

 2017年にソフトバンクグループに買収された後も、似たような道を歩んだ。当時、孫正義会長はAIやスマートロボット、モノのインターネット(IoT)を核心成長動力に育成すると発表したが、結局3年後に現代車グループに売却することになった。

 そのため、業界では昨年から本格的に始まったボストン・ダイナミックスの商業化の動きに注目している。ボストン・ダイナミックスはこれまで、運送用ロボット「ビッグ・ドッグ」(BigDog)が「動作音が大きい」という理由で米国防総省から断られるなど、商用化の壁を乗り越えられなかった。昨年、レンタルサービスの形でモデル的に発売したスポットが、初の商業化の試みであるわけだ。今年6月には企業を相手にスポットの正式販売を始めた。価格は7万4500ドルだ。累積販売量は数百台の水準だという。ボストン・ダイナミックスは「今回の販売期間中にスポットは発電施設や解体された原子力発電所、工場作業現場、建設現場、研究室など様々な環境で使われた」と明らかにした。

ボストン・ダイナミックスの4足歩行ロボット「スポット」(Spot)//ハンギョレ新聞社

 現代自動車グループは、今回の買収をきっかけに物流ロボット産業に進出する計画だ。市場規模が大きく、成長の可能性が高いという判断からだ。現代自動車は生産・物流工場から製品を選別・移送する工程にも物流型ロボットが導入される可能性があると説明した。このため、物流系列会社の現代グロービスは、ボストン・ダイナミックスの持ち株10%を取得することにした。さらに建設現場の監督や施設のセキュリティなど、案内・支援の役割を果たせるサービス型ロボット事業に集中する方針だ。

 未来の自動車関連技術との相乗効果も期待される。現代自動車グループは、ボストン・ダイナミックスのロボット技術を足がかりに、自動運転や都心航空モビリティ(UAM)などの分野での立地を固めるという戦略だ。ボストン・ダイナミックスに活用された人工知能やセンシング(認知)技術などは、自動運転に必要な技術でもある。

 まだ量産段階でボストン・ダイナミックスに対する検証が十分に行われていない点は、乗り越えなければならない課題に挙げられる。現代自動車グループは「(現代車の量産能力が)ボストン・ダイナミックスのロボット量産化および収益改善にも役立つだろう」と述べた。

イ・ジェヨン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/973858.html韓国語原文入力:2020-12-11 17:37
訳H.J

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