「体調の悪い時は3~4日間休みましょう」。政府が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対応のために打ち出した主な防疫守則の一つだ。しかし、この守則どおり調子の悪い時に休んだ人はどれほどいるだろうか。
パワハラ119が今年4月、会社員3780人に聞いたところ、43.4%が「体調が悪くても、会社で自由に有給休暇を使うことはできない」と答えた。給与をもらえなくても家で休めるなら休むと答えた人は、半数にも満たない44.9%にとどまった。少なくとも労働者の10人に4人は、具合が悪くても思い通りに休めないだけでなく、休めたとしてもその分給与が削られるので休暇は取れないということだ。
これは、先進国とは異なり、韓国ではまだ業務外の傷病によって調子の悪い時に休める傷病手当や有給病気休暇のような法的装置がきちんと設けられていないことと無関係ではない。労働基準法には、業務外の傷病に対する休職または休暇に関する内容はない。もちろん、公務員や大手企業の労働者などの特定集団や、労災保険などの特定制度には似たような規定があるが、労働者の一部に当てはまる事項に過ぎない。
経済協力開発機構(OECD)の調査結果にも、このような現実は如実に表れている。加盟国の労働者に「1年のうち体調不良で休んだ日は何日あったか」と聞いたところ、韓国の労働者はたった2日と答えた。韓国はOECD加盟国のうち、病気で休んだ期間が最も短く、最下位だ。この数値について、韓国の労働者は非常に健康で体調不良にはなっていないと解釈することはできないだろう。
最も多く休むと答えた国はリトアニアで、24.4日だった。続いてラトビアが19.4日、オーストリアが17.3日、ドイツが11.7日、フランスが9.2日、デンマークが8.2日だった。米国は4日、英国は4.4日にとどまった。
韓国保健社会研究院のキム・ギテ博士は「(この統計は)韓国労働者たちは病気になっても休む権利をまともに享受できていないということをはっきりと示している。韓国の労働者の過労と痛ましい労働を考えれば、傷病手当導入のための青写真を描くべき時期だ」と説明した。「パワハラ119」の調査においても、回答した会社員の90.3%が、「体調が悪ければ国が手当てを支給する制度を導入すべきだ」と答えた。