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「平和のわが家」に一人残されたキル・ウォノクさん、息子の家へ

登録:2020-06-12 06:23 修正:2020-06-12 07:18
牧師の息子夫婦と同居することに 
療養保護士も常駐し、介護に当たる 
「ソン所長は母の娘のような存在」 
麻浦の憩いの場、8年ぶりに空き家に
キル・ウォノクさんの新たな住処になるファン・ソンヒ牧師が運営する仁川延寿区教会の教育館=仁川/チェ・ユンテ記者//ハンギョレ新聞社
キル・ウォノクさんの新たな住処になったファン・ソンヒ牧師が運営する仁川市延寿区教会の教育館門の前に、キルさんの車椅子が置かれている=チェ・ユンテ記者//ハンギョレ新聞社

 日本軍「慰安婦」被害者で、2012年から正義記憶連帯(正義連)が運営するソウル麻浦区にある憩いの場「平和のわが家」で生活してきたキル・ウォノクさん(92)が11日、憩いの場を離れ、養子のファン・ソンヒ牧師と同居することになった。

 正義連とファン牧師の説明によると、キルさんは同日午前、憩いの場を訪れたファンさんと共に、仁川市延寿区(ヨンスグ)にあるファン牧師の家に引っ越した。憩いの場を運営しながらキルさんの面倒を見てきたソン・ヨンミ所長が6日に死亡した後、ファン牧師が正義連側にキルさんとの同居の意思を伝えたという。キルさんは当初、どこにも行かないと言っていたが、ファン牧師に説得され、同居を決めたと、正義連側は伝えた。正義連側は「キルさんは糖尿病を患っており、健康面で不安がある」と述べた。

 キルさんの新たな住処は、地下1階が教会、地上1階は「教育館」、2階はファン牧師一家が生活する建物だ。キルさんは1階で生活する予定だと、ファン牧師は伝えた。同日午後、ハンギョレが教育館1階のドアを開けて入ると、キルさんは16.5平方メートル(5坪)余りの部屋に置かれた患者用ベッドで目を閉じて横になっていた。この部屋は中高生のための教育室として使われた所だ。キルさんの体調が良くない点を考慮し、24時間キルさんの面倒を見る療養保護士が隣の部屋に常駐するという。ファン牧師は「ソンさんも亡くなり、時期が来たと思い、同居を決めた。母(キルさん)がこの家に来るのは初めてだが、息子の家で一緒に住もうと声をかけたら、『うちに行く』と言って喜んだ」と話した。

 ファン牧師は正義連の会計不正疑惑について、「検察に任せるしかない。我々は(それについては)よく分からない」とし、「ただ母とここで幸せに暮らしたいだけだ」と語った。 ファン牧師の妻は「これまで義母の口座など金銭的な部分について全く知らなかったが、やはり把握しておくべきではないかと、ソン所長に言ったことはある」とし、「ソン所長は義母にとって娘のような存在だった。感謝してもし切れないほど」だと語った。

 「平和のわが家」は2012年、正義連の前身である韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)が明星教会から使用権を寄付されて作った憩いの場だ。キルさんをはじめ、故キム・ボクトンさんやイ・スンドクさんらが生前ここで生活していたが、この日から誰もいない空き家となった。

仁川/チェ・ユンテ記者、カン・ジェグ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/948974.html韓国語原文入力:2020-06-11 20:24
訳H.J