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「伝貰‐月家賃転換率」引き下げ、住居の安定に役立つのか

登録:2020-08-08 03:13 修正:2020-08-09 17:23
既存の契約の更新時のみ適用規定 
4年後に新規契約する際は 
価格高騰への対策にはならず 
 
専門家「新規契約時の転換率も 
市場金利に左右される可能性が強く 
過度な規制は正しくない」との指摘も
グラフィック=コ・ユンギョル//ハンギョレ新聞社

 賃貸人が伝貰(チョンセ。契約時に一定の金額を賃貸人に預け、月々の家賃は発生しない不動産賃貸方式)を月々の家賃方式に転換する際に適用される「伝貰-月家賃転換率」の引き下げ論議が可視化している中、転換率の引き下げが賃借人の住居安定に実際に役立つのかどうかに関心が集まっている。

 7日の国土交通部や国会などへの取材を総合すると、政府与党は、現在4%ほどの伝貰-月家賃転換率の引き下げを検討している。国土部のキム・ヒョンミ長官は4日に出演した番組で、「低金利の状況に合わせて伝貰-月家賃転換率を下げる必要がある」という趣旨の発言をしている。共に民主党のキム・テニョン院内代表も5日、伝貰-月家賃転換率を引き下げ、「賃貸人が伝貰を月家賃方式に転換することを最小化できる方策を検討する」と述べている。現在の法定転換率は「10%」または「政策金利+3.5%」のうち低い方を選択することになっているが、政府与党は政策金利に上乗せする割合(3.5%)を引き下げる方針という。

法定伝貰-月家賃転換率と市場転換率の推移//ハンギョレ新聞社

 「伝貰-月家賃転換率の引き下げ」という対策が検討されている背景には、低金利時代に伝貰の月家賃方式への転換が加速すると、家賃支出による賃借人の経済的負担が増えるという懸念がある。現在、伝貰を月家賃に回したり、保証金付き月家賃方式の一部の保証金を月家賃に回す際には、住宅賃貸借保護法(住賃法)が定める「法定伝貰-月家賃転換率」が適用されるが、この比率を下げて月家賃の収益率が低下すれば、賃貸人は伝貰を維持するだろうというものだ。

 住賃法の伝貰-月家賃転換率は、約20年前の2001年に「賃貸人の過多な月家賃による賃借人の被害を防止するため」(制・改正理由)に生まれた規定だ。賃借人を保護するために導入されたものだが、法の認める法定転換率が高すぎたため、賃借人が「法の保護」を実感することは難しかった。2016年11月の改正で「10%」または「政策金利+3.5%」を適用することとなった現行の規定施行以前は、法が認める転換率は14%から10%(政策金利の4倍)に達した。

 賃借人が法の保護を実感できなかったのは、かつては契約更新請求権がなかったためだ。契約更新請求権がなかった時代には、2年契約期間が満了し、既存の賃貸人と再び契約を結んでも「新規契約」と見なされたため、法定転換率の適用を受けずに賃貸人が勝手に月家賃方式へと転換することができた。実際に、韓国鑑定院が新規契約を対象として調査、発表している資料「伝貰転換率」によると、法定転換率は2016年12月以降4%台を維持しているが、市場転換率は全国が6%、ソウルが5%ほどで、法定転換率より高い。

 ただし、契約更新の際に賃借人が拒否すれば、賃貸人が勝手に伝貰を月家賃方式へと転換することはできない。まして新規契約の際には法定転換率が適用されもしないのに、まるで伝貰-月家賃転換率の引き下げが賃貸市場の安定化のためのカギとなる対策と映るのは問題だという指摘が出ている。世宗大学のイム・ジェマン教授(不動産・資産管理学科)は「保証金を下げるよりも家賃を上げる方を好む賃借人がいる可能性もある」とし「契約更新請求権の導入で賃借人の地位は以前のように不利ではなくなっているため、伝貰-月家賃転換率の引き下げに意味があるのかは疑問」と述べた。

チン・ミョンソン、シン・ミンジョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/property/956945.html韓国語原文入力:2020-08-07 20:01
訳D.K

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