2021年度の最低賃金は、時給にして今年より130ウォン増額の8720ウォン(約777円)に決定した。引き上げ率1.5%は、1988年に最低賃金制が導入されて以来、最も低い数値だ。
最低賃金委員会は、政府世宗(セジョン)庁舎の最低賃金委全員会議室で14日午前2時ごろまで行われた第9回全員会議で、公益委員全員と使用者委員の一部など16人が出席した中、公益委員らが提示した時給8720ウォン案を表決に付し、9対7で可決した。これは今年の8590ウォン(約765円)から130ウォンの増額で、月給(209時間)換算では182万2480ウォン(約16万2千円)になる。今年の179万5310ウォン(約16万円)から2万7170ウォンの増額だ。労働者委員9人全員と使用者委員2人は表決前に退場した。
この日の可決後、パク・ジュンシク最低賃金委員長は記者団に対し、「今年は予想できない不確実性が昨年よりはるかに高い状況で、労働市場と持続可能な雇用を守ることが最も重要な政策的優先順位に置かれなければならないと判断した」とし、「最後に労働者委員と小商工人委員が退場して残念に思うが、国家的に克服しなければならない危機状況で労・使・公益委員が知恵を集めるために最善を尽くした」と述べた。また、公益委員幹事のクォン・スヌォン淑明女子大学教授(経営学)は、「今年の経済成長率の展望値0.1%と消費者物価上昇率0.4%、生計費の改善分1.0%を合算したもの」と今回の決定の根拠を説明した。
文在寅(ムン・ジェイン)政府の発足後、最低賃金は2018年に16.4%、2019年に10.9%と2年連続2ケタの引き上げ率を記録した。その後は、2020年に2.87%となり大幅に縮小したのに続き、来年は1.5%と再び急落した。引き上げ率1.5%は、金融安定化時代の1998年9月~1999年8月の時期に適用された2.7%や、金融危機時の2010年期に適用された2.75%よりも低い数値だ。昨年から本格化した「最低賃金の速度調節」に今年の新型コロナ危機という状況が重なったとはいえ、二年連続1ケタの引き上げ率の決定には、労働界の激しい反発が予想される。
前日午後、いち早く退場した全国民主労働組合総連盟(民主労総)に続き、低い水準の最低賃金引き上げに反発し同日午前1時20分に退場したイ・ドンホ韓国労総事務総長は、「このような惨憺たる最低賃金案が出た事例はなかった。公益委員自ら大韓民国最低賃金の死亡宣告を下した」と評価した。使用者委員のうち小商工人連合会のオ・セヒ、クォン・スンジョン副会長は、削減案でないという理由で退場した。
最低賃金法により、最低賃金委がこの日議決した来年度の最低賃金案を雇用労働部長官に提出すれば、労働部長官は来月5日までにこれを告示しなければならない。最低賃金が告示されれば、来年1月1日から効力が発生する。