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コーヒーは捨てて景品にラッシュ…スターバックス「主客転倒マーケティング」

登録:2020-05-27 07:55 修正:2020-05-27 18:17
飲料を17杯買ってもらえる「レディーバッグ」 
イベント翌日から品薄状態 
中古市場で金額を上乗せして転売も
グラフィック=キム・スンミ//ハンギョレ新聞社

 スターバックスが今年も「景品不敗神話」を更新させている。景品を得るために顧客がコーヒーを大量購入した後に捨てたり、景品が中古市場で高値で取り引きされたりもする。マーケティングの専門家の間では「主客転倒だ」という評価も出ている。

 スターバックスは21日、夏のフリークエンシー(クーポン)イベントを始めた。7月22日までに指定のドリンク3杯を含む計17杯を購入すれば、旅行用かばん「サマーレディーバッグ」またはキャンプ用椅子「サマーチェア」のうちの一つをもらえる。景品を得るために一度に飲み物17杯を購入する顧客が続出し、イベント開始翌日の22日からレディーバッグは品薄状態だ。スターバックス側は「こんなに人気が出るとは予想できなかった」と語った。

早期品薄の事態を引き起こして話題のスターバックス「サマーレディーバッグ」=スターバックスコーヒー・コリア提供//ハンギョレ新聞社

 専門家らはその理由を、スターバックスが韓国で有する独特の地位に求める。高麗大学のキム・サンヨン教授(経営学科)は「スターバックスは初めからコーヒーではなく文化を売るという点を強調した。顧客は『コーヒーを飲む』のではなく『コーヒー文化を楽しむ』との認識を持つようになった」として「ロイヤルカスタマーになったこれらの顧客にとっては、スターバックスの景品は『必ず持たなければならない品物』となった」と述べた。スターバックスの顧客はコーヒーを越えてスターバックスが売る文化またはイメージを購入するのであり、景品もそのような文化の一部門として受け入れられているという意味だ。

 景品マーケティングはスターバックスの売上増加に直ちに結びつくため、成功したマーケティングとの評価を得ている。しかし、「本末転倒のマーケティングになった」という苦言も後に続いている。顧客が主力商品であるドリンクではなく景品により関心を傾けているからだ。22日、ソウル汝矣島(ヨイド)のあるスターバックス売場で、顧客が飲料300杯を注文した後、景品だけをいくつか持っていき、飲料299杯はすべて置いていったために廃棄された「事件」もあった。仁荷大学のイ・ウンヒ教授(消費者学科)は「コーヒーが本品でバッグは景品にすぎないが、景品をもらうために消費者が本品を捨てた事例」と指摘した。キム・サンヨン教授も「かつてキャラクターのシールがついたパンが流行した時、シールを収集するためにパンを買ったのと事実上同じだ。主客が転倒した」と語った。

スターバックスの景品の歴史と店舗数の推移//ハンギョレ新聞社

 一部ではリセラー(金額を上乗せして商品を転売する人)が景品を中古市場に売ることが頻繁になり、「常連に感謝の気持ちを示すためのもの」であるフリークエンシー・イベントの趣旨が色あせたとの指摘もある。中古取引アプリ「タングンマーケット」によると、21日から26日時点までのレディーバッグ販売の投稿は約100件、レディーバッグと交換できるフリークエンシーの完成本(必要なスタンプが全て押されている状態のフリークエンシー用アプリのアカウント)の販売の投稿は130件ほどになり、取引金額は7万ウォン(約6100円)~9万ウォン(約7900円)の間だという。景品品薄の事態により、このアプリだけでレディーバッグ関連の中古市場が1600万ウォン(約140万円)規模で形成されたわけだ。一部では、リセラーが割引カードやタンブラー割引などを動員して飲料17杯を4万ウォン(約3500円)前後で購入して景品を得た後、中古市場に転売しているとの疑惑も提起されている。これについてスターバックス側は「以前のイベントを参考して景品を十分に準備した。店舗ごとに定期的に追加品が入庫されている」と説明した。

シン・ミンジョン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/consumer/946586.html韓国語原文入力:2020-05-27 02:35
訳M.S

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