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政府債務、問題は増加速度の管理

登録:2020-05-11 07:03 修正:2020-05-11 12:20
今年の政府債務比率、GDPの45%に迫る見込み…速度めぐり議論に 
債務残高比率は外国に比べて健全 
「基軸通貨国ではないため警戒すべき」 
「景気回復が返済につながる」という反論も
GDPにおける政府債務残高比率の増加推移//ハンギョレ新聞社

 韓国政府が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の克服に向けて財政投入規模を拡大したことを受け、政府債務の増加の速度を巡り、議論になっている。現在の支出の速度では、国の財政が急激に悪化し、国の信用に悪影響を及ぼすという立場と、まだ財政余力が残っており、景気を支えるためにはより果敢に投入すべきだという立場に意見が分かれている。大統領府と与党、政府は今月下旬、文在寅(ムン・ジェイン)大統領主宰で国家財政戦略会議を開き、国家債務の増加速度をどのレベルで管理するかを議論する予定だ。

 10日、企画財政部によると、第1・2次補正予算案を反映した今年の政府債務は819兆ウォン(約71兆3千億円)だ。国内総生産(GDP)における政府債務残高比率は、本予算編成当時39.8%だったが、第2次補正予算が通過した後は41.4%に上昇した。政府は来月初め、雇用対策などに必要な財源を盛り込んだ第3次補正予算案を提出する予定だが、規模は20~30兆ウォン水準と予想される。これに先立ち、第2次補正予算の財源の相当部分を既存の予算を減らして作った政府は、第3次補正予算のほとんどを国債発行でまかなう計画だと発表した。

 政府がもし30兆ウォン(約2兆6千億円)の国債を発行すれば、今年の政府債務は849兆ウォン(約7兆4千万円)になる。今年の名目成長率が0%だと仮定した場合、政府債務残高比率は44.4%に達する。昨年(38.1%)より6.3ポイント上がったものだ。これは1982年に統計を取り始めて以来、最大の上げ幅だ。昨年、政府が「2019~23年国家財政運用計画」で、2022年に政府債務残高比率が44.2%になると予測したものより、2年繰り上げられることになる。

 債務残高比率の絶対水準に限ってみると、外国に比べて健全な方だ。経済協力開発機構(OECD)の統計によると、2018年基準の一般政府(中央・地方・非営利公共機関)の債務比率は米国(106.9%)や日本(224.1%)、英国(111.8%)、ドイツ(70.3%)などより低い40.1%となっている。

 しかし、財政当局側は増加速度を問題視している。企財部の「開かれた財政統計」によると、政府債務残高比率は1997年の11.4%から昨年は38.1%まで年平均1.2ポイントずつ上昇してきた。今年は6%以上増加するものと予想される。国会予算政策処は、8年後の2028年には56.7%に達すると見通した。財政当局や財政の健全性を重視する側は、韓国が外国より少子高齢化が速い点や、有事の際に貨幣を発行して財政を増やせる基軸通貨国でない点などを挙げ、債務増加速度を適切な水準で管理すべきだと主張する。ホン・ナムギ副首相兼企財部長官は先月、国会で「最近、政府債務残高比率が増加する速度があまりにも速く、警戒せざるを得ない」と述べた。

 一方、COVID-19の感染拡大で世界経済がマイナス成長するかもしれないという懸念が高まる中、外国も膨大な借金をして景気対応を行っているだけに、過度に財政悪化を懸念する必要はないという意見もある。明知大学のウ・ソクチン教授は「財政の健全性は相対的な概念であり、外国もCOVID-19に対応するため、負債を増やして果敢に財政投入をしている状況で、韓国がそれに相応する措置を取っても国家信用度に大きな問題にならない」とし、「今すぐ借金を増やしても資金を供給して景気を回復させてこそ、後で返済もできる」と指摘した。

 大統領府や政府、与党は来年度予算編成および中期財政運用計画準備に先立ち、今月末に国家財政戦略会議を開催する予定だ。この場でCOVID-19対応のための財政支出規模や政府債務の管理策について議論するものと見られる。

イ・ギョンミ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/944359.html韓国語原文入力:2020-05-1 02:33
訳H.J

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