所得下位10%を意味する1分位の低所得層を年齢別に見ると、半分以上が60歳以上の高齢者層であることが分かった。政府が基礎年金の引き上げ、高齢者雇用の強化など各種の高齢者貧困対策を実施しているが、急激な高齢化による高齢者貧困現象を緩和するには力不足だ。
19日、共に民主党のカン・ビョンウォン議員室が統計庁の「2019年家計金融福祉調査」の原資料を分析した結果によると、2018年現在で均等化可処分所得が年間平均705万ウォン(約66万円)水準である下位10%(1分位)のうち、70代以上の人口が41.0%を占めることが分かった。さらに60代が14.1%で、60歳以上の高齢者層が1分位で占める割合は55.1%に達した。均等化可処分所得とは、世帯単位で測定される所得を世帯員個人別に換算したもので、勤労所得など市場で稼いだ金額に各種年金・福祉所得と税金支出など政策効果を含め、「個人が使える金額」の総和を意味する。
1分位より経済状況が少し良い2分位(下位10~20%)区間の均等化可処分所得は、平均1293万ウォン(約120万円)水準だった。2分位を年代別に分けてみると、70歳以上は22.6%、60歳以上は20.9%に達した。同じように低所得層である2分位でも、60歳以上の高齢者の割合が43.5%に達したということだ。高所得層にいくほど高齢者の人口の割合は急激に減り、9分位(上位10~20%・平均5056万ウォン(約471万円))では60歳以上の高齢者の割合は13.4%、10段階(上位10%・平均8010万ウォン(約747万円))では12.4%に過ぎなかった。
この分析値を時系列に拡張して見ると、ここ数年間で低所得層のうち高齢者層が占める割合は拡大し続けていることが分かった。1分位基準における60歳以上の高齢者の割合は、2015年46.7%、2016年49.2%、2017年51.2%と、4年で10%近く増えた。政府が基礎年金の引き上げや高齢者の雇用事業強化など福祉政策を実施しているが、高齢者層の急激な貧困階層への転落を防ぐことはできずにいるということだ。
実際、個人が市場で稼いだ所得を意味する均等化市場所得を基準とした1分位の60歳以上の高齢者人口の割合は、2015年の61.0%から2018年には69.3%と着実に増えている。これを租税と福祉など所得再分配政策によって緩和した効果(均等化市場所得を基準とした高齢者人口の割合-均等化可処分所得を基準とした高齢者人口の割合)は、2015年14.2%から2016年15.3%、2017年15.2%、2018年14.3%と横ばいである。
これに対し、高齢者貧困の改善に向けた政策効果を高めなければならないという指摘が出ている。韓国保健社会研究院のキム・ギテ研究委員は「基礎生活保障の扶養義務者基準の段階的な緩和と共に、高齢者雇用事業の適切な活用がパッケージとして活用されなければならない」とし、「特に高齢者階層が孤独に対する苦痛を訴えるケースが多いという点で、高齢者雇用事業は意味がある」と述べた。「私が作る福祉国家」のオ・ゴンホ運営委員長も「労働市場から追い出された高齢者階層を包容する福祉の一環として、高齢者の雇用事業の拡大は望ましい」とし、「特にコミュニティケアなどへの福祉の長期的な方向転換のために、高齢者たちが地域社会と接しながら貢献できる仕事の提供は肯定的に評価できる」と述べた。カン・ビョンウォン議員は「高齢者に適した良質の仕事が提供できるよう、職務給中心の賃金体系の改善や雇用延長など、構造改善も同時に行われなければならない」と指摘した。