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小企業の大卒初任給、大企業の74%…10年後には58%でさらに格差広がる

登録:2020-02-19 00:18 修正:2020-02-19 15:35
労働部、企業特性別の賃金を公開 
 
「規模が学歴・性別より大きな影響」 
年功給制でさらに格差が広がる
企業規模・経歴による賃金格差の現況//ハンギョレ新聞社

 同じ大卒者であるにもかかわらず、小規模企業の初任給は大規模企業の74.4%水準にとどまっており、10年以上働いた経歴社員同士で比較すると、このような格差(57.7%)がさらに広がることが調査で明らかになった。賃金に最も大きな影響を及ぼす要素が企業規模であるうえ、勤続年数が多くなるほど賃金が上昇する年功給制度が賃金格差をさらに広げているからだ。

 雇用労働部は18日、賃金を企業の規模と産業、職業と経歴、性別と学歴の6つの要因によって交差分析した「企業の特性による賃金分布の現況」を公開した。2016~2018年の雇用形態ごとの労働実態調査のうち、賃金構造部門の資料を分析し、2019年の年間賃金に変換して作成した統計だ。従業員5人以上の企業のうち、全日制常用職労働者230万人の賃金(延長・休日勤労手当てを除く)が標本だ。同じ業種や同じ規模の企業で似たような業務を行っている他の労働者の賃金をひと目で把握できるようにした資料で、賃金職務情報システム(www.wage.go.kr)で誰でも確認できる。

産業、学歴による賃金分布//ハンギョレ新聞社

 今回分析を担当した韓国労働研究院賃金職務革新センターのオ・ゲテク所長は「賃金格差に最も大きな影響を及ぼす要因は企業規模」だと述べた。大卒以上の学歴を持った人で、入社1年未満の場合、従業員が5~29人の企業の賃金(2460万1千ウォン、以下いずれも中位値基準)は500人以上の企業(3305万6千ウォン)の74.4%水準だった。また、同じく大卒以上で10年以上の経歴を持った人でも、小規模企業の場合は(年俸)5099万1千ウォン(約470万円)で、大規模企業(8844万2千ウォン)より3745万1千ウォン(約345万円)少ない57.7%に止まった。

 企業規模の影響は学歴が低いほど著しく現れた。高卒以下で働き始めて1年未満の人の賃金は、小規模企業(2101万7千ウォン)と大規模企業(2121万3千ウォン)の差がほとんどなかった。しかし、10年以上勤務した人の賃金は小規模企業(3263万1千ウォン)が大規模企業(6390万1千ウォン)の51%に過ぎなかった。大規模企業の賃金が10年間で3倍上昇する間、小規模企業は1.6倍の上昇にとどまったためだ。

製造業の経歴別男女の賃金格差//ハンギョレ新聞社

 性別による賃金格差も企業規模によって異なる。小規模企業で1年未満働いた女性の賃金(2065万8千ウォン)は男性の初任給(2424万4千ウォン)の85.2%で、74.5%(女性の初任給2340万6千ウォン、男性の初任給3139万7千ウォン)である大規模企業よりは割合は高かった。しかし、10年以上勤続すれば状況が逆転する。小規模企業に勤める女性社員の賃金(3176万ウォン)が同じ条件の男性社員(4378万5千ウォン)の72.5%水準にとどまる一方、大規模企業の女性社員(6266万3千ウォン)は男性社員(7969万4千ウォン)の78.6%で、格差が少し縮まった。

 今回の賃金分布の現況の公開は、昨年9月の政府与党間協議で発表した「公正経済の成果の早期創出案」で、企業の自主的な賃金格差の緩和と職務を基盤とする賃金体系の再編を誘導するための試みだ。キム・ミンソク労働部労使協力政策官は「企業の労務担当者が求める情報は、同種企業に賃金をいくら支払っているかだった。賃金体系の転換過程で参考になる大まかな資料を提供する作業を行った」と述べた。

 韓国労働社会研究所のノ・グァンピョ所長は「賃金情報の透明な公開は、労働市場の二極化と格差を解消する同一労働価値・同一賃金に向けた第一歩だ。今回の賃金分布の現況の公開がそのような公正な方向に進むよう、実態を明らかにし、どの水準でどの程度問題が発生するかについて論議を始めるきっかけになることを望んでいる」としたうえで、「ただ、統計を作成し検証・確認する過程で、労使が参加していたならばもっと意義深いものになっただろう」と述べた。

チョ・ヘジョン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/928765.html韓国語原文入力:2020-02-18 22:11
訳H.J

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