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ハンギョレ資料写真//ハンギョレ新聞社

　新型コロナウイルス感染症(新型コロナ)の拡散で景気回復に否定的な影響が避けられないという国策研究機関の診断が出た。韓国政府は今月中に輸出支援対策を打ち出すなど、景気回復を誘導できる政策手段を総動員する方針だ。

　韓国開発研究院(KDI)は9日に発刊した「経済動向」2月号で、「新型コロナの展開方向は不確実であり、マクロ経済への影響を現時点で定量的に推定するのは難しい」としながらも、「今後の景気にある程度の否定的影響は避けられないものと判断される」と診断した。昨年の深刻な景気低迷から脱出する兆しは見えているものの、新型コロナの影響が回復を制約する可能性があるということだ。

　実際、昨年12月以降、半導体や自動車、機械装備などに支えられた鉱工業生産の増加傾向に加え、製造業出荷の増加や製造業の在庫率低下、平均稼働率の上昇、小売販売の増加傾向の拡大、設備投資の増加傾向など、生産や消費、投資の全般で回復の兆しが現れている。これを受け、韓国開発研究院は1月に続き、2カ月連続で「景気低迷が緩和されている」と判断した。しかし「新型コロナに対する懸念が主に金融指標に反映された中で、観光と関連した一部業種で否定的な影響がまず現れるだろう」と見通した。

　新型コロナの拡散以後、観光客数の減少はすでに現実化している。韓国政府によると、新型コロナが猛威を振るい始めた1月24～31日の一週間に韓国を訪問した中国人観光客数は1日1544人の割合で減少し、前年比の減少率が10%を超えた。全体外国人観光客の中で34.5%の割合を占める中国人観光客が減少したことで、免税店やホテル業、百貨店などの売り上げも急落している。さらに、23人目の感染者が訪問したロッテ百貨店本店とロッテ免税店の明洞(ミョンドン)店、アビニュエル、ヤングプラザなどは7～9日休業し、プレジデントホテルも6～16日の営業を中止した。 観光業をはじめ内需消費が冷え込む可能性も高い。韓国開発研究院は「1月の消費者心理指数が100.5から104.2に上昇したが、新型コロナの拡散で消費下方圧力が高まっている」と指摘した。

　実体経済にも影響が現れている。新型コロナ事態が発生した武漢地域が中国内の自動車生産基地であるため、国内完成車業界には直ちに打撃が及んでいる。部品需給に支障をきたし、事実上生産が麻痺しているのだ。現代自動車と起亜自動車は10日、国内完成車工場を全て止める予定だという。ルノー・サムスン自動車は11日から4日間生産を中止し、双龍自動車も12日まで稼働を見送る。完成車の相次ぐ休業で部品や材料、タイヤなど協力会社の連鎖的な生産支障も避けられない状況だ。

　回復の兆しを見せていた輸出にも、衝撃が及ぶものと見られる。韓国開発研究院は「新型コロナによる対外需要の萎縮が輸出回復を制約する可能性がある」とし、「新型コロナの拡散による操業日数の減少で、中国の経済成長率が大きく下落する可能性がある」と見通した。国内の主力輸出品目である半導体や石油化学、バッテリーなどの主要輸入国である中国の景気減速は直ちに需要不振につながる可能性が高い。

　政府は景気回復の火種を消さないための対策作りに取り組んでいる。これに先立ち、観光業や卸小売業、飲食宿泊店業など、新型コロナの拡散による被害業種の小商工人や中小企業を対象にした国税納付猶予など、税政支援策を打ち出したのに続き、早ければ来週にも輸出企業を対象にした支援策が発表される予定だ。輸出金融や保証支援、優遇金利、マーケティング代行など、様々な支援策が検討されているという。政府はまた、被害が予想される業種の小商工人を支援するなど、内需活性化に焦点を合わせた対策も準備している。政府がいつ補正予算のカードを切るかについても関心が集まっている。政府は慎重な態度を示しているものの、新型コロナ事態が長引くなど、景気回復を制約する場合、選択肢に入れる可能性が高い。企画財政部の高官は、「今のところ、新型コロナ防疫や拡散防止には予算所要が多くないため、予備費の投入だけでも十分だ。ただし、事態が長期化し、実体経済に影響が出れば、その時は話が違ってくるのではないか」と見通した。