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キム・ヨジョン談話と南北対話の可能性【コラム】

登録:2026-10-03 06:30 修正:2026-10-03 09:04
南北を隔てる非武装地帯(DMZ)の様子=ゲッティイメージズバンク//ハンギョレ新聞社

 韓国軍の将兵に深刻な被害をもたらした「地雷惨事」に対する責任を完全に否定した29日の「キム・ヨジョン談話」を読み、最初にわき上がった感情は、「怒り」というよりも、妙な「安堵感」だった。国家情報院が30日、この談話が「非常にローキー(抑制された口調)で書かれている」とする見解を示したように、北朝鮮も現在の危機をきわめて深刻に受け止めていることがうかがえた。問題解決のために最も重要なのは、まず「問題がある」という事実を認めることだ。北朝鮮の談話からそのような姿勢がうかがえるため、2018年末以降中断している南北対話が再開される可能性が、0%から2~3%程度へとわずかながら高まったのではないかという期待を抱かざるを得ない。

 談話は大きく分けて三つの部分で構成されている。一つ目は、2024年春ごろから進めてきた「国境線要塞化」の正当化だ。キム部長は「周知のごとく、わが軍は2年前から南部国境一帯で遮断物工事を行っており、これはいかなる軍事的目的とは無関係な徹底した主権行使だ」と主張した。この言葉どおり、金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長は2023年末、祖父である金日成(キム・イルソン)主席の時代から受け継がれてきた「国土完整」という「歴史的使命」を放棄し、南北はいまや敵対する「赤の他人」に変わったとする「敵対的二国家論」を打ち出すことになる。その後の措置として、3月の改憲で「領土条項」を新設し、旧憲法に残っていた「統一条項」を削除した。もはや「赤の他人」となった「大韓民国の連中」とは関わる必要がなくなり、南北を物理的にいっそう徹底して遮断するため、軍事境界線一帯に戦術道路や鉄条網を設置し、地雷を埋設する大規模工事に着手することになった。

 二つ目は、地雷事件は自分たちとは無関係だという主張だ。キム部長は、韓国軍部の好戦狂らが「国境遮断物工事に動員されたわれわれの人員が『線を越えた』と根拠もなく言い掛かり」をつけているが、「わが兵士はただの一度も国境線を越えたことがない」と主張した。自分たちは線を越えたことがないのだから、今回の事態は大韓民国の「明白な自作自演劇」だというのだ。

 しかし、韓国合同参謀本部は28日、「地雷爆発の位置は軍事境界線の南側約10メートルの地点」だと述べ、30日には「北朝鮮軍は8月に約20回、9月に約30回、軍事境界線を侵犯した」と明らかにした。国連軍司令部も同日、「軍事境界線の南側で北朝鮮の対人地雷1発を発見した」とする立場を表明した。南北双方が「それぞれの真実」を語っているとすれば、それぞれが用いている軍事境界線の「基準線」には大きな違いがあるのではないかという結論に至ることになる。海兵隊出身の軍事専門家であるケ・ヨンホ氏の2019年の論文によると、現在の軍事境界線は、1953年7月の休戦協定締結の過程で、国連軍・北朝鮮・中国の代表が縮尺「5万分の1」の紙の地図に、鉛筆、ボールペン、旧式の万年筆で線を重ねるようにして引いたものだという。鉛筆の太さが約1ミリだとすれば、それだけで実に50メートルもの誤差が生じる。北朝鮮が「国境線要塞化」の工事を開始したことで、休戦以来70年あまりにわたって放置されてきた「軍事境界線の正確な画定」という問題が、朝鮮半島の平和を脅かす重大な要因として浮上したのだ。この事実を認識した韓国国防部は昨年11月、「軍事境界線の基準線設定について議論することを提案」したが、北朝鮮は反応を示さなかった。南北が早急に解決すべき「深刻な問題」が発生したという事実を受け入れなかったのだ。

 時が経ち、北朝鮮の態度が変わった。談話の三つ目の部分は、現在の軍事的緊張状況がきわめて深刻であるという現実認識で埋め尽くされている。キム部長は、「韓国軍部の好戦狂らは国境遮断物工事に動員されたわれわれの人員が『線を越えた』と根拠もなく言い掛かりをつけ、警告放送や警告射撃まで加えながら、わが兵士の身辺の安全を重大に脅かしている」と抗議した。さらに、「われわれに対する悪意的な言い掛かりと挑発の頻度数が増え、それがわが領土と軍事主権に対する実際の侵害につながる」のであれば、「悲惨で破局的な境遇を自ら招くようになるだけだ」と警告した。

 われわれは正当な工事を行っているのに、南側は「線を越えた」と主張し、繰り返し「警告射撃」を行い、地雷爆発に対する責任まで求めてくるため受け入れられないというのが、北側の基本的な認識であることが分かる。注目すべき点は、キム部長が「われわれに対する(南側の)悪意的な言い掛かりと挑発の頻度数が増え」る可能性があるというリスクを明確に認識していることだ。南北双方が合意できる新たな軍事境界線を引かないまま、北朝鮮が工事を強行し続けるのであれば、遠からず、さらに重大で複雑な不測の事態が起きるだろう。南北はただちに問題解決に向けた対話に乗り出すべきだ。若い兵士たちの命より大切なものなど、一体何があるというのか。

//ハンギョレ新聞社

キル・ユンヒョン|論説委員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1280434.html韓国語原文入力:2026-10-01 18:28
訳M.S

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