政府が日本の輸出規制強化処置に対抗し、世界貿易機関(WTO)に提訴したことによる初の紛争調整手続きである韓日二国間協議が11日、スイスのジュネーブで開かれる。
産業通商資源部は10日、韓日両国がジュネーブで局長級を首席代表にする二国間協議を開くと発表した。日本の経済産業省も同日、韓国側とジュネーブで二国間協議を行うと発表した。韓国側からは産業部のチョン・ヘグァン新通商秩序協力官が首席代表として出席する。日本側からは山上信吾外務省経済局長らが出席するという。
これに先立ち、政府は日本が半導体・ディスプレイに使われる3つの主要材料に対し、輸出規制措置を取ったのが自由貿易の原則に反するとし、先月11日に日本を世界貿易機関(WTO)に提訴した。この提訴によって行われる当事国間の二国間協議は、WTOを通じた紛争解決手続きの第1段階だ。これまで両国は、外交チャンネルを通じて二国間協議の日時と場所、出席者など詳細事項を話し合っており、韓国の提訴から1カ月後に局長級を首席代表にする協議を進めることで合意した。
二国間協議はWTOへの提訴による日常的な手続きであり、これに応じるだけで両国の対立の解消を期待するのは早いというのが、大方の分析だ。ただし、今回の協議に注目が集まっているのは、WTOの二国間協議は実務者である課長級で行われるのが慣例だが、今回の二国間協議は局長級に格上げされたためだ。韓国は事案の重要性を考慮して、日本側に局長級会談を要請し、日本がこれに同意したものと見られる。日本の輸出規制以後、通商分野で初めて行われる高官級協議であることから、前向きな結果に対する期待感もある。チョン協力官は出国前、記者団に「二国間協議は裁判の手続きに入る前に互いに満足できる解決策を見出す場だ」とし、「日本の措置の問題点と非合致性を提起し、合意する解決策があるのか模索する」と述べた。
日本は従来の態度を固守するものとみられる。共同通信は、「日本はWTOのルールに整合した適切な運用見直しだとの従来の立場を説明する。韓国は不当な措置と主張するとみられ、協議で解決できるかどうかは不透明だ」と報じた。
二国間協議は原則的に要請書発送後、30日以内に開始するよう定められており、2カ月間進められる。ただし、WTOの紛争で二カ国間協議は1回程度行うのが一般的だ。今回の二国間協議で、日本と合意に失敗した場合、韓国はWTOに第3者が判断できるように裁判部に当たるパネル(紛争処理委員会)の設置を要求するものと予想される。二国間協議を含めて、パネルの結果が出るまでは通常15カ月ほどかかる。一方がそれを不服とし、最終審まで行けば、訴訟の結果が出るまで2~3年ほどかかる可能性もある。