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韓国政府、「日本、国際輸出管理レジームに反する」…米国の仲裁を引き出せるか

登録:2019-07-10 00:06 修正:2019-07-10 08:07
WTO緊急上程・米国に仲裁を打診 
「日本政府、根拠もなく韓国を狙い 
善良な意図の民間取引を妨げる」 
 
国際社会に「報復の不当性」を公論化 
通商交渉本部長、近く米国へ 
商務省・国務省関係者と接触 
 
米国の主要半導体需要企業とも面会し 
「該当企業にも被害」の懸念伝える見込み
ソン・ユンモ産業通商資源部長官が今月9日、政府ソウル庁舎で、日本への輸出規制の強化措置と関連したブリーフィングを行っている//ハンギョレ新聞社

 政府は世界貿易機関(WTO)の物品貿易理事会で、日本の輸出規制と関連した韓国の立場を知らせる一方、米国側には日本の規制が国際輸出管理レジームに反するという点を挙げて、仲裁を要請するものと見られる。日本と二国間協議を進めると同時に、国際社会に日本の措置の不当性を知らせる「ツートラック」戦略を具体化しているのだ。

 産業通商資源部の関係者は9日、ユ・ミョンヒ通商交渉本部長などが近く米国を訪れ、仲裁を要請すると明らかにした。戦略物資に関する事案であるため、商務省はもとより国務省関係者とも接触するものとみられる。産業部関係者は「国際輸出管理レジームの3大条約にすべて加入したアジアの国は韓国と日本だけ」だとし、「日本の根拠のない輸出規制は、単に両国の間の問題ではなく、国際輸出管理レジームを揺るがすものという点を米国側に説明する予定」だと話した。

 国際輸出管理レジームにおける戦略物資とは、軍需物資と軍需に転用される恐れのある品目で、国際社会は危険な場所に流出しないように輸出管理レジームを共有している。代表的なのが「ワッセナー・アレンジメント」(WA)だ。ワッセナー・アレンジメントは、冷戦当時米国が主導した輸出統制協定ココム(CoCom)の“後身”で、1996年に通常兵器の拡散防止に向けて発足した。韓国と日本を含めた42カ国が加盟している。ユ本部長は今月4日、「日本の今回の措置は、特定国家や特定国家群を(輸出統制の)対象とせず、善良な意図の民間取引を阻害しないよう制度を運営しなければならないというワッセナー・アレンジメントの基本指針に反する」と指摘した。

 政府は、米国の主要な半導体需要企業にも接触する予定だ。日本の輸出統制で、韓国が世界で60%ほどを占めているメモリー半導体工場が減産ないし中断された場合、該当企業にも多大な被害が及びかねないということを事前に伝え、貿易相手国としての信頼性を確保すると同時に、日本がグローバルサプライチェーンに不安をもたらしている点を強調するものと見られる。

 政府は、国際輸出管理レジームの“鍵”を握る米国が、今回の事態を見過ごすことはできないと期待している。しかし、ワシントンの外交消息筋は「米国は今回の事態に積極的に介入する意思はなさそうだ。韓日の軋轢について、米国産業界で深刻な憂慮は見られない」と伝えた。

 一方、政府はWTOで、国際世論の換気を通じた日本へ圧迫が成功しない場合、公式提訴などの紛争手続きを踏むことも検討している。ただし、WTOの紛争解決方式はあまりにも長い時間がかかり、事実上実効性がないため、慎重にならざるをえない。

 WTOの紛争解決の最初の段階の二国間協議を日本に要請するまで、長くは1年近くかかる可能性もある。協議に失敗した場合、6カ月にわたるパネル審理の末、1審の判定が下され、この時も一方が不服であれば、最終審である上訴機構で判定を受けるまで、少なくとも2~3年がかかる。産業通商資源部実務陣はすでに法律検討に着手したが、提訴はすぐに「事態の長期化」を意味することから、慎重な姿勢だ。大統領府関係者も「WTOへの提訴の準備を迅速に行うものの、時期は戦略的に決める」と述べた。

チェ・ハヤン、ノ・ジウォン記者、ワシントン/ファン・ジュンボム特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/economy/marketing/901182.html韓国語原文入力:2019-07-09 21:29
訳H.J

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