ホン・ナムギ経済副首相兼企画財政部長官とキム・サンジョ大統領府政策室長が7日、現代自動車やSK、LGなど3大グループのトップらと昼食会を開き、日本の輸出規制対応策と今後の規制拡大の可能性について幅広く協議した。サムスン電子のイ・ジェヨン副会長は、日本現地の経済関係者に会って対策を模索するため、同日夕方に日本へ向かって出国した。
経済界に対する取材を総合すると、ホン・ナムギ経済副首相とキム・サンジョ政策室長は同日昼、チョン・ウィソン現代自動車グループ首席副会長やチェ・テウォンSKグループ会長、ク・グァンモLGグループ会長と会い、日本が半導体とディスプレイ核心素材(フォトレジスト、高純度フッ化水素、フッ化ポリイミド)に輸出規制を行ったことに対する対策を話し合った。会合に出席したグループのある社長は「政府と企業の間で日本の輸出規制による状況と対策について幅広い意見交換が行われた」と述べた。
半導体とディスプレイ素材に対する日本の輸出規制と直接関連のない現代自動車も会合に参加したことからも分かるように、今後日本の規制がさらに拡大する可能性も同日の会合で話し合われた。日本が規制強化品目を増やすなど、追加措置を実行する可能性もあり、財界の緊張感はさらに高まっている。現代自動車の役員は「自動車はまだ規制対象ではないが、自動車部品と素材の種類が多いため、規制が拡大すれば問題が発生する可能性がある」と述べた。例えば、現代自動車が日本の東レなどから輸入する炭素繊維は、水素電気車の主要部品である水素燃料タンクの製作に必要な核心素材だ。当初、この日の昼食会は5大グループのトップがみな出席する方向で進められたが、辛東彬(シン・ドンビン、重光昭夫)ロッテグループ会長は、日本出張のために欠席した。ロッテグループの役員は「辛会長は日本の6月の株主総会シーズンが終わり、ロッテと取引がある金融界関係者及び投資者らと相次いで面会する予定」だと話した。サムスン電子のイ・ジェヨン副会長の場合、日本への出国日程のため昼食会への出席が厳しいと予想されたが、同日夜になってようやく出国し、出国前にキム・サンジョ室長と別途に会ったか、昼食会に出席した可能性もある。イ副会長は日本で普段付き合いのある日本の経済界関係者と会い、半導体必須素材の輸出規制に対する対策を話し合う予定だ。
この日大統領府は、セキュリティーに格別に気を使い、場所をはじめ参加企業がどこなのかも徹底的に隠した。会合の後、コ・ミンジョン大統領府報道官は記者団にショートメールを送り、「ホン副首相とキム室長は主要企業関係者たちと懇談会を開き、対外経済状況の不確実性について意見を交換すると共に、今後積極的に緊密な疎通を続けることにした」と明らかにした。 政府が直接乗り出して対決姿勢を鮮明にするよりは、当事者の企業が乗り出して問題を解決できるように支援するのがよりスムーズに問題を解決できる方法だと判断した結果と見られる。
ただし、大統領府は企業レベルで問題が解決されない場合に備え、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が直接対日メッセージを出す案を念頭に置いているという。日本の安倍晋三首相が参議院選挙後にも輸出規制措置を解除せず、むしろ規制を強めた場合に備え、文大統領のメッセージを強力な交渉カードとして準備しているということだ。
今月10日、文大統領は大統領府で主要30社の企業と懇談会を開き、対策を協議する。懇談会にはグループのトップや大韓商工会議所など経済団体が出席する。これに先立ち、8日午前には政府ソウル庁舎で、ホン・ナムギ副総理の主宰で対外経済長官会議を開き、対応策を話し合う。政府省庁も直ちに報復措置など強硬対応を取り上げるのは控える雰囲気だ。経済省庁のある高位関係者は「政府が感情的に対応して解決できる問題ではない。互いに非難したり報復したりする方法は互いに損だ。冷徹に解決していかなければならない状況」だと述べた。