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持株会社転換の“魔術”…財閥一家の持分率が倍増

登録:2018-11-13 22:53 修正:2018-11-14 15:51
公取委、SK・LGなど12グループの持株会社転換を分析 
自社株の事前取得・人的分割・現物出資など悪用 
持株会社転換で財閥の所有-支配の乖離も共に悪化 
公取委、持株会社の現況発表で弊害を初めて認定 
持株会社の子会社義務持分率強化、法改正を推進
韓進重工業の自社株・人的分割・現物出資を利用した持株会社転換 資料:韓国公正取引委員会//ハンギョレ新聞社

 韓進重工業グループは2007年に持株会社に切り替えてから、韓進重工業ホールディングスのオーナー一家の持分が以前の16.9%から50.1%に3倍も跳ね上がった。オーナー一家の持分率が突然高まる“魔術”が可能だったのは、持株会社に切り替える直前に自社株(19.6%)取得、韓進重工業を韓進重工業ホールディングスと新設の韓進重工業(事業子会社)に人的分割し、オーナー一家が二つの会社の持分を同時保有、オーナー一家が保有した韓進重工業の株式を韓進重工業ホールディングスの株式に変える現物出資という3つの手法を利用したためだ。韓進重工業ホールディングスの韓進重工業持分も19.6%から36.5%へと倍近く高くなった。韓進重工業グループは、これを通じてオーナー一家→韓進重工業ホールディングス→韓進重工業→他の系列会社へとつながる所有構造を通じてオーナー一家の支配力を強化した。

 SK、LG、韓進カル、CJ、コーロン、韓国タイヤワールドワイド、漢拏ホールディングス、アモーレパシフィックグループ、ハイト真露ホールディングス、ハンソルホールディングス、現代重工業持株なども韓進重工業のように人的分割・現物出資方式を利用した持株会社転換過程を経て、オーナー一家の持分率が高まった。

 公正取引委員会(委員長キム・サンジョ)は13日に発表した「2018年度公正取引法上の持株会社現況分析」で、オーナーのいる財閥グループが持株会社体制に転換する過程で人的分割、現物出資、自社株を利用してオーナー一家と持株会社の支配力をそれぞれ2倍に拡大したと強調した。これまで公取委は、毎年一回発表した「持株会社現況分析」で一部にこうした事例があると指摘しつつも、全体的には持株会社が支配力を拡大する憂慮が大きくないという立場を示してきたが、今年は支配力拡大の懸念を初めて前面に押し出した。

 公取委は、オーナーがいて持株会社体制に転換した19グループに属する持株会社22社の場合、オーナーとオーナー一家の平均持分率が28.2%、44.8%に達するほどにオーナー一家に持分率が集中していると明らかにした。また、持株会社体制に転換して1年が過ぎた19グループの中で、12グループ(63%)が人的分割・現物出資をしたと付け加えた。これらのグループの持株会社に対するオーナー一家の持分率は、2倍以上に上がった。また、持株会社の事業子会社に対する持分率も2倍に高まった。

 公取委は、持株会社転換財閥グループは一般グループに比べて、所有と支配間の乖離もさらに大きいと指摘した。持株会社転換財閥の平均所有-支配の乖離度は42.65%である反面、一般グループの平均所有-支配の乖離度は33.08%だった。所有-支配乖離度とは、オーナー一家の所有持分率(オーナー一家の直接保有)と議決持分率(オーナー一家の直接保有分に系列会社・公益法人・役員持分率を含む)の差異だ。

 財閥が持株会社体制転換をオーナーの支配力の強化手段に悪用しているという指摘は、これまで何度も提起されてきた。公取委は昨年までも「持株会社現況分析」で「持株会社転換過程で、自社株を利用して支配力を拡大するという問題がある」として、一部の問題だけを認めてきた。代わりに「持株会社転換は、企業の所有構造と出資構造の透明性を高め、負債比率と子・孫会社の持分率も規制要件を充分に満たしている」として「支配力拡大憂慮が大きくない状況」と正反対に解釈した。

 しかし、公取委が今年7月に発表した持株会社の収益構造および出資現況分析によれば、持株会社がオーナー一家の支配力拡大、私益詐取(仕事の集中割当)などの手段に利用される弊害がかなりあることが明らかになった。公取委は「持株会社の売上高のうち子・孫会社とのインサイダー取引の比重が55.4%に達するほど、配当以外の収益を過度に受けていて、持株会社が直接出資負担を負う子会社よりは、孫会社とひ孫会社を大幅に増やし支配力を拡大している」と指摘した。

 公取委は、定期国会通過を推進中の公正取引法全面改正案に持株会社転換を難しくするために持株会社が新たに編入する子・孫会社の義務持分率を現行の20%(非上場社は40%)から30%(非上場社は50%)に高める内容を盛り込んだ。

クァク・ジョンス先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/870024.html韓国語原文入力:2018-11-13 18:24
訳J.S

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