キム・ドンヨン副首相兼企画財政部長官は25日、前日に発表した雇用対策が文在寅(ムン・ジェイン)政権の経済政策基調を一部転換したものだと明らかにした。
キム副首相は同日、国会企画財政委員会の企財部などに対する総合国政監査で、「24日に発表した政策代案が(政府の経済政策)基調を変えなければ成立しない部分がある」というソ・ヒョンス民主党議員の指摘に対し、「既存の政策の一部転換または弾みをつけるものがかなり盛り込まれている」と答えた。彼はさらに、「今回の対策を注意深くみれば、雇用や経済の供給の側面を重視したことがわかるだろう。その点で、(文在寅政権の)基調がかなり変わったと思う」と付け加えた。
文在寅政権は昨年5月の発足後、所得主導の成長や公正経済、革新成長の3つを経済政策の方向として提示した。しかし、キム副首相の答弁はこれまで最低賃金の引き上げや労働時間の短縮など、需要の振起の面に力点を置いた政策の重心を、企業投資や規制改革などの供給拡大へと変えたことを意味する。
政府は前日に発表した「革新成長と雇用創出支援案」で、大企業を中心とした民間投資の活性化や社会間接資本(SOC)の拡大、油類税15%引き下げ、公共機関短期雇用5万9千の拡充など、短期的な景気てこ入れ策を打ち出した。これに対し、大企業を中心としたかつての成長パラダイムに回帰するシグナルではないかという指摘もある。
キム副首相は「雇用需要の側面からは最低賃金と勤労時間の短縮など、所得主導成長があり、雇用供給の側面からは企業の新しい投資のための規制改革がある」とし、「雇用需要の面では良い方向に向かっているが、一部の雇用に影響を与えたのも事実」だと指摘した。今年2月から就業者の増加幅が10万人台を切る「雇用ショック」が発生した理由として、最低賃金の引き上げや労働時間の短縮など、所得主導成長を挙げたわけだ。彼は「需要と供給の側面がバランスよく進むべきだ」と強調した。ソ議員が「大統領府のチャン・ハソン政策室長らと話し合ったか。(彼も)同意した内容なのか」という質問に対し、キム副首相は「関係長官はもちろん、大統領府とも熾烈な討論を行った」と答えた。
今回の対策で、ライドシェア(相乗り)や遠隔医療など、規制改革に関する具体的な内容がないとの指摘に対し、キム副首相は「正直にいうと、もう少し進んでもいいと考えている」と明らかにした。また「(政府内では)韓国経済に活力を吹き込むべきとの主張もあり、ある課題については多くの利害当事者がいて、慎重な部分もあった。年末までには明らかにする」と付け加えた。一部の規制改革は、キム副首相の意志に反し、与党の関係省庁と協議の過程で留保されたことをほのめかしたわけだ。キム首相は「(省庁間協議や政府与党間協議は)正直にこう申し上げたい。それが今の私たちの現実であり、私たちの実力だ」と述べた。「経済のコントロールタワー」が政府政策を打ち出しながら、協議過程での難航と限界を明らかにするのは極めて異例のことだ。