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米国の鉄鋼関税根拠が貿易“拡張”法?

登録:2018-03-05 22:55 修正:2018-03-06 09:10
1962年ケネディ政府が 
自由貿易拡大のために作り 
国家安保を脅かす時のために 
例外条項置いたのが232条 
トランプが手当たり次第に動員 
保護貿易攻勢“漸入佳境に”
ウィルバー・ロス米商務長官が1日、ホワイトハウスで開かれた鉄鋼・アルミニウム関税に関連する会議に出席している=ワシントン/AP聯合ニュース

 すべての輸入鉄鋼に25%の関税を賦課するドナルド・トランプ行政府の輸入規制措置は、米国の国内法である「貿易拡張法第232条」に基づく。ところで、貿易“拡張”法なのに、なぜ貿易“制限”手段になるのだろうか?

 当初、貿易拡張法は1962年のケネディ行政府当時、全世界と米国の間の自由交易拡大のために作られた。ただし、輸入が国家安保を脅かすような場合には規制することができるという但し書き条項(232条)を置いているだけだ。「自国優先主義」を標ぼうしてきたトランプ大統領が、2001年以後初めてこの条項を鉄鋼に突きつけた。米国は自国の粗鋼生産量より鉄鋼使用量が多い世界1位の鉄鋼輸入国であり、外国産鉄鋼輸入が自国経済を支える機能をしているにもかかわらず、古い232条を動員したわけだ。

 巨大な消費市場である米国は、自国市場保護、特に“貿易報復”のための各種条項を通商関連の様々な国内法に用意している。世界貿易機関(WTO)協定加盟国として、協定の趣旨である「自由交易拡大」義務を履行しなければならないにもかかわらず、自国の国内法に各種の保護貿易手段を備えている。

 今年1月、韓国産などすべての外国産洗濯機と太陽光パネルに対して発動したセーフガード(緊急輸入制限)の根拠は、通商法201条だ。輸入先企業の反ダンピング事実が確定しなくとも、自国の特定産業・企業を保護するためにすべての外国産輸入を緊急制限する規定だ。また関税法702条は、米国商務省の「職権調査」を含んでいる。国際貿易通商で輸入規制措置は輸入先企業の低価格ダンピング販売行為および輸入国の輸出企業に対する各種政府補助金支援など不公正貿易で被害にあったと自国業者が提訴・請願すれば、通商当局が事実調査および規制に出るのが通常の慣例だ。韓国貿易協会関係者は「自国業者の提訴がなくとも商務省が職権で輸入規制に乗り出す件数が増え、特定産業を標的とする“ターゲット調査”がなされている」と話した。1980~2016年に米商務省が職権調査を始めたのは合計18件だ。

 特に強力な通商報復手段は、総合貿易法案「通商法301条」だ。301条は、一般301条、大統領の行政命令発動を規定した一層強力な「スーパー301条」、特許・商標権など知的財産権保護のための「スペシャル301条」からなっている。米国通商法は、単一の通商法体系ではなく、対外通商に関連した一連の国内法で構成されているが、トランプ行政府がこれを波状的に動員し、片っ端から「アメリカ優先主義」の保護貿易攻勢をかけている局面だ。貿易協会は「保護貿易傾向の米国通商法は、1980年代に入り米国の貿易収支赤字が急拡大する中で強化された」と話した。

チョ・ゲワン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/834736.html韓国語原文入力:2018-03-05 21:01
訳J.S

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