「韓国GMがGM本社から借りた借入金3兆ウォン(約3千億円)を株式に出資転換するので、韓国政府も1兆ウォン(約1千億円)を支援してくれ?」
最近、ロイターは「GMが韓国GMの本社からの借入金を解決する見返りに韓国政府と産業銀行の支援を要求した」と、政府関係者の言葉を引用して報道した。政府もGMも公式確認はしていないが、こうしたGMの要求案は、政界やマスコミを通じて拡散し続けている。
21日、政界や政府関係者たちの話を総合すると、これまで知られたGMの政府支援要求案は、満期が到来した借入金に対する韓国GMの担保提供、産銀の増資参加、財政支援、インセンティブの4つに大きく要約される。GMの海外事業を総括するバリー・エングル社長は、今年に入って2月初めまでに政府省庁の関係者らに会い、韓国GMの経営正常化に向けて独自の案を言及し、このような内容を骨子とする政府支援要求案を提示した。GMが韓国で見せた一連の行為は、オーストラリアや欧州などで地元政府に要求したものと似ている。
チョン・ユソプ自由韓国党議員によると、韓国GMは本社から借りた27億ドルの債務を出資金に転換する代わりに、韓国政府に新規投資および出資金転換に産業銀行が保有した持分比率(17.02%)の分だけ参加することを要請した。これとともに韓国GM工場一帯を外国人投資地域に指定し、税制減免や財政支援などの恩恵を与えてほしいとも要求した。今月末に満期が到来する韓国GMの本社借入金5億8千万ドルに対しては、米国本社が韓国GMの工場を担保設定できるよう産銀が同意してほしいと要請したという。
まず、韓国GMの借入金はGM本社との非正常な取引で累積された負債と見なければならないという指摘が多い。GMが借入金を株式に変えて出資転換しても、韓国GMから取った利子収益と移転価格などを考慮すると、大きく損をすることはないということだ。業界関係者は「GMの意図に巻きこまれれば、2001年からの12年間に1兆7千億ウォンを支援して失ったオーストラリア政府と同じ目に合う」とし、「GMに保証を与えて融資する形式にするなど、最小限の安全装置を備えなければならない」と話した。
GMのグローバル事業再編戦略を見れば、3~4年後に「撤収カード」をまた取り出す可能性が高いため、財政支援をしてはならないという見解も少なくない。ややもすれば「底の抜けたかめに水を注ぐ」状態になるという懸念からだ。イ・ハング産業研究院先任研究委員は「支援するにしても、産業構造の変化と雇用に及ぼす影響を把握して制限的に行わなければならない」と話した。
GMの支援要請の事実を否定し消極的に対応していた政府は13日、群山(クンサン)工場閉鎖という“煮え湯を飲まされた”後になって態度の変化を見せた。政府は韓国GMの経営実態調査と自己救済案の提出が先だという立場だ。ぺク・ウンギュ産業通商資源部長官は21日、国会で開かれた産業通商資源中小ベンチャー企業委員会の緊急懸案質疑答弁で、韓国GM支援のための必須条件を再び提示した。ペク長官は「GMが不透明な経営問題を改善し、長期投資計画と雇用安定対策を打ち出してこそ支援を検討することができる」と述べた。また、別の政府関係者は「他の株主や国民、利害関係者を説得する適切な根拠があるかも判断してみなければならない」と話した。大量失業などに対する憂慮のために支援を通じた回生案に重点を置いていたことからは変化した空気だ。
チョン・ユソプ議員は「政府がGM側の支援要請の事実を否定している間に、韓国GMは群山工場閉鎖という攻め手を出した」とし、「政府が1カ月近く『具体的提案はなかった』と伏せていたため交渉の主導権を失うことになった」と批判した。